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□プール事故報道比較:排水口?吸水口?さく?ふた? [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0608/0608059090/1.php
プール事故報道比較:排水口?吸水口?さく?ふた? 2006/08/06
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7月31日、ふじみ野市の市民プールで悲しい事故が起きてしまった。
各紙は、吸水口のふた(さく)の管理についてのみ注目しているが、直接の原因がそこにあるにせよ、秒速2.4m(朝日新聞)という流速の危険性を考えれば、「(吸水口付近の)設計」に安全性への配慮が欠けていたと言えないだろうか。
しかし、8月1日の各紙記事を見る限りその視点はないようだ。
また、報道を比較すると記事の優劣がはっきり判る。WEB版の普及はメディアにとって、プレッシャーと思われるのだがそのわりには・・・
用語の使い方でも、「吸水口と排水口」「さくとふた」「アルミとステンレス」とまちまちだ。
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まず、祖父の代から長年の購読で、筆者がすっかり洗脳された?(笑)、朝日新聞から検証する。
●市民プール排水口に女児吸い込まれ死亡 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY200607310376.html?ref=rss
記事には、
「・・・流水プールの側面にある排水口に吸い込まれ、排水管の中に閉じこめられた。・・・」とあるが、「排水口」、「排水管」は誤りだ。「排水」は水を排出するためのものだ。
このプールは、プール側面の(3カ所の)「吸水口」から水を吸い込んで、「循環パイプ」の中央部分に設けられたポンプで加圧し、プール側面の(3カ所の)「排出口」から勢い良く吐き出す構造らしい。それなら、「吸水口」、「循環パイプ」が相応しいのではないか。
「さく(※1)」という用語の選択も適当とは思えない。筆者には、垣根やフェンスのような形がイメージされてしまう。
また、流水プールの仕組み(ポンプ、吸水口と排出口のことなど)が説明不足だ。記者がそれを理解していないから、「排水口」、「排水管」という誤った用語を使うのだろう。
現場の記者から上がってきた原稿を、デスクが「これで伝わるか」という読者の視点でチェックしたとは思えない記事だ。
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●小2女児が吸水口に吸い込まれ…死亡 毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060801k0000m040011000c.html
記事には、
「・・・吸水口(直径約50センチ)から奥に約5メートル入ったパイプ(同30センチ)の・・・」
「・・・流水プールで泳ぐうちに側壁の吸水口に吸い込まれたらしい。」
「流水プールは全長120メートル、幅5.5メートル、深さ1メートル。吸水口は断面が円形で、外側には格子(※3」状のアルミ製のふた(縦60センチ、横60センチ)が2枚・・・」
「この流水プールはポンプ3台で水を吸い、それを吐き出して流れをつくる構造で、ポンプは1台当たり毎分10トンの水を吸い込む・・・」とある。弘田恭子記者、町田結子記者の署名記事だ。
アルミ製は誤りではないのか。強度上アルミは不適と思われるし、テレビ画面で見る限り筆者にはステンレスに見える。
しかし、流水プールの仕組みも説明され、吸水口付近の図解もされている。さらに、「プールで起きた最近の主な水死事故」も併記されるなどきめが細かく、優れた記事だと思う。
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●流水プール事故、ふたは針金で固定…ボルトの一部紛失 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060801it04.htm
記事には、
「・・・吸水口(直径約60センチ)には、格子状のアルミ製のふた(約60センチ四方)2枚・・・)とある。
図がなくても、おおむね形状は推定できるが、「ふた(※2」」は、マンホールのような平面的に置かれ密閉されたものを想像してしまうので、「(吸水口の手前に付けられた)金属製の縦格子のふた」のほうが適当と思われる。
「アルミ製」については、毎日新聞へのコメントに同じ。
流水プールの仕組み(ポンプ、吸水口と排出口の関係)は説明不足ではないか。
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●流水プールで小2女児死亡 吸水口に吸い込まれる 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/060731/sha077.htm
記事には、
「・・・約5メートル奥の水循環用パイプの中からから救助され、病院に運ばれたが・・・」
「・・・吸水口の奥にあるステンレスのパイプ(直径30センチ、長さ14メートル)・・・吸水口付近の水流は秒速2.4メートル。吸水口の入り口は直径約60センチの楕(だ)円(えん)形。奥にいく程細くなっている。」とあり、詳細だ。
また、≪プール事故・安全対策に不備 原因究明急がれる≫には、
「・・・吸水口はプールの流れを作るため深さ約1メートルの壁面の中央部分にあり、さく状のステンレス製ふた(約60センチ四方)2枚で半分ずつふさいでいた。」と、読者がイメージしやすく記述している。
≪「学級の中心だった」≫には、「誰とでも仲良くできる人気者−。瑛梨香ちゃんは埼玉県所沢市立小手指小学校で、そんな評判だった。・・・」と、被害者像を暖かく伝えている。
第1報あるいはそれに近い記事と思われるが、詳細に取材され書かれている。記者の、状況を把握しつくそうという思いが伝わって来る。最も優れた記事だと思う。
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●吸水口、小2のまれ死亡 格子型ふた脱落 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060801/mng_____sya_____005.shtml
記事には、
「流水プールの吸水口に・・・約十メートル奥の吸水管と起流ポンプとの接続部分付近で・・・」
「・・・水を循環させて流れをつくる屋外流水プール。一周約百二十メートルで水深は約一メートルあった。・・・長径六〇センチの楕円(だえん)形の吸水口に・・・」
「吸水口は通常、格子型のアルミ製ふた二枚(六十センチ四方)がボルトで固定・・・」
と書かれており、「アルミ製ふた」を除けば、優れていると思う。
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●小2女児、プール吸水口に吸い込まれ死亡 日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G3104H%2031072006&g=K1&d=20060801
記事には、
「・・・吸水管内で・・・吸水口の柵が外れており・・・アルミ製の柵(約60センチ四方)2枚・・・」とある。
朝日新聞などと同様に、筆者には「柵」と「アルミ製」が気になる。
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なお、念のため、広辞苑で調べてみた。
※1さく(柵):角材または丸太をまばらに立てて貫を通し、土地の境界・区画などに設けるかこい
※2ふた(蓋):物の口をおおいふさぐもの
※3格子:細い角木を縦横に間をすかして組んだもの。窓または出入口に取り付ける建具
(江口征男)
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