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http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02738.HTML から転載。
2006.6.30(その2)
森田実の言わねばならぬ[187]
「景気回復感、全国に拡大」の朝日新聞報道に異議あり。地方経済の実態は悪化している。
「烏を鷺」〈と言うが如し〉(日本の諺)
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地方の友人から電話がかかってきた。
「朝日新聞6月29日朝刊の『景気回復感、全国に拡大』という記事を読みましたか。朝日新聞が47都道府県の地域経済団体トップら2人ずつ計94人に行ったアンケート調査の結果によると、地元の景気の現状を上向きと見る回答が63%に達し、昨年6月の前回調査の29%の倍以上に増えたということですが、地方にいるわれわれの実感とは違う。朝日は地方を知らないのではないか」。
地域経済がどうなっているかは、地方を回っていればわかることである。私は週に3〜4回地方講演に行き、地方の中小零細企業者や農業者、商店主らと話し合うが、上向きという感じはほとんどない。むしろ悪くなっているという見方のほうがずっと多いのである。 こうしたアンケート調査結果と実感との食い違いがどこからくるかといえば、アンケート回答者がいわゆる「勝ち組」に属していることに起因する。回答者は各都道府県の代表的商工会議所と地域金融機関などのトップである。彼らは「勝ち組」に属している。
こういう調査によって地方経済の現況を判断する前に、新聞社としては徹底的な調査を行わなければならなかった。新聞社は自らの取材によって判断すべきである。地道な調査活動がない場合、国民に誤ったメッセージを送るおそれが出てくる。
もう一つのテーマである格差拡大のほうは、比較的正直に現状を反映している。 地域間の経済的格差が「広がっている」は87%に上る。原因については74%が「小泉政権の政策が影響」と回答している。
山陰地方の金融機関の代表は「地方切り捨て。公共工事に依存した本県には大ダメージ」と言う。公共事業削減が大きい。四国、沖縄の代表も「均衡ある国土の発展という考え方が薄れた」と、「地方切り捨て」の今日の風潮を批判している。当然のことである。
残念なことだが、新聞社も官庁も地方の実態について疎くなっている。小泉内閣の地方切り捨て政策が展開されるとともに、中央官庁や中央の報道機関の地方・地域への調査・取材の能力と熱意が衰えている。これが、小泉内閣の地方切り捨て政策をやりやすくしている。
「国家の実力は地方に存する」(徳富蘆花)という真理を、もう一度、思い起こすべきである。地方を軽視していたら、国力は衰えるばかりである。根本的に考え直すべき時がきている。国民全体が地方の重要性を考えるべきである。地方の景気はよくなっていない。朝日新聞よ、烏を鷺と言うがごときことは止めてほしい。
景気回復感全国に、地域格差は「拡大」9割 本社調査(朝日新聞)
http://www.asahi.com/business/update/0629/001.html
2006年06月29日03時00分
朝日新聞が47都道府県の地域経済団体トップら2人ずつ計94人に実施したアンケートで、地元の景気の現状を上向きとみる回答が63%に達し、昨年6月の前回調査の29%に比べて倍以上に増えた。この景気判断を都道府県ごとに平均して3段階に整理したところ、拡大・回復傾向が30都府県、踊り場・足踏み状態が17道府県、下降・停滞感はゼロだった。1年前と比べると景況感の改善は全国に及んでいるが、地域間格差が「広がっている」との答えが89%に上っており、回復度合いは地域によって差があるようだ。
調査は6月1〜20日、47都道府県の代表的商工会議所と地域金融機関などのトップらに対し原則として面談で実施した。
地元の景気の現状は、「拡大している」が前回の0%から3%に、「緩やかに回復している」が29%から60%に増えた。一方、なお「足踏み状態」との答えも、東北、中国、四国などを中心に36%に上った。