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以下の記事は朝日新聞と東京新聞の16日金曜日の夕刊の一面トップ記事なのですが、朝日新聞では自衛隊がイラクから撤退する理由として次のような奇妙な理屈をでっち上げています。
イラクでは「地域によるが治安の回復が見られる」
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ムサンナ州でイラク政府に「治安権限移譲」することになった。
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派遣の基本計画の撤退4条件のうち、「復興の進展」に続いて「政治プロセスの進展」も満たされた
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「陸自撤退」
要するに、治安が回復して治安権限をイラク政府に委譲することになったので自衛隊は撤退する、という理屈のようだ。
しかし、同時に「バスラの治安は悪化しており、権限移譲委員会でムサンナ州の移譲が順調に決まるのかどうかなど、流動的な面も残されている」という矛盾したことも記述している。
また、そもそも自衛隊派遣の「大義名分」は「治安」ではなく「復興支援」なのだから「治安権限移譲」で「復興支援」が不要になるわけではない。
この朝日新聞の「理屈」で納得できる人は居ないだろう。
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自衛隊が撤退する本当の理由は、次の構造だ。
英軍が治安をまもってくれなければ自衛隊はイラクに要られない
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英軍がイラクから逃げだす
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英軍が撤退するので自衛隊も逃げだす
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朝日新聞は大本営発表の体質に先祖返りした。
東京新聞では「英国が、月内に治安権限をイラク正統政府に移譲して撤収する意向を伝えてきたのを受けて、日本政府も撤収を具体的に検討することにした。」ということを全面に出し、「政府は陸自の撤収について・・(2)サマワの治安を担当している英豪軍と同時に撤収する−ことを原則としてきた。」ているので、朝日新聞のような奇妙な理屈をでっち上げているわけではない。
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朝日新聞
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http://www.asahi.com/politics/update/0616/004.html
陸自撤退、月内に決定 イラク
2006年06月16日16時53分
「イラク 治安移譲条件整う」 ←紙面での小見出し。Web版になかったので、たけ(tk)追加。
政府は、イラク南部サマワに派遣している陸上自衛隊の撤退を月内に決定する方針を決めた。サマワを含むムサンナ州の治安権限が、多国籍軍からイラク正式政府へ来週にも移譲される見通しになったためだ。小泉首相が最終判断したうえで、29日の日米首脳会談の前に撤退を表明する。首相は自民党総裁としての任期が切れる9月末までに陸自を撤退させる意向を固めており、政府は陸自のクウェートへの出国を1カ月程度で終わらせ、8月中にも撤退を完了させる方針だ。
イラク情勢をめぐっては、ブッシュ米大統領がイラクを電撃訪問してマリキ首相と会談。その後、日米英豪4カ国は15日にロンドンで実務者会合を開き、撤退に向けて意見交換した。このなかで英国は、早ければ19日にもイラクでの治安権限を移譲したい意向を表明。豪州は同調し、米国も英軍の判断を尊重する考えを示した。これを受け、日本政府は撤退への条件がほぼ整ったと判断したと見られる。
麻生外相は16日午前の記者会見で「地域によるが治安の回復が見られるのは確かだ。イラクから(陸自の)撤収ができるかに関しては、早めに出来うる状況になりつつある」との認識を示した。
政府は8日にイラク正式政府の治安関連3閣僚が決まったことを踏まえ、派遣の基本計画の撤退4条件のうち、「復興の進展」に続いて「政治プロセスの進展」も満たされたと判断。「治安権限移譲」は、ロンドン会合を受けて来週にも開かれる3閣僚や米英の現地司令官らによる権限移譲委員会で決まる見通しを立てている。残る条件の「多国籍軍の動向」については、治安維持にあたる英国軍とほぼ同時に撤退する必要があると判断している。
治安権限移譲については、英国のイングラム国防担当閣外相が4日の額賀防衛庁長官との会談で、近く移譲される候補地としてムサンナ州などを挙げていた。
ただ、バグダッドやバスラの治安は悪化しており、権限移譲委員会でムサンナ州の移譲が順調に決まるのかどうかなど、流動的な面も残されている。
一方、クウェートを拠点とする航空自衛隊の輸送支援活動は、米国と国連からの要請を受け、現在のサマワ近郊タリルから首都バグダッド、北部アルビルへ拡大することを検討している。
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東京新聞
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http://www.tokyo-np.co.jp/feature/iraq/
月内撤収開始で調整 イラク陸自
政府 英の権限移譲受け
政府は16日午前、イラク南部サマワに駐留している陸上自衛隊の撤収を月内にも始める方向で調整に入った。サマワを含むムサンナ州の治安を担当している英国が、月内に治安権限をイラク正統政府に移譲して撤収する意向を伝えてきたのを受けて、日本政府も撤収を具体的に検討することにした。順調に進めば、7月中にも撤収が完了する見通し。
イラク復興支援特別措置法に基づいて2004年1月に陸自に派遣命令が出て以来、ほぼ2年半にわたる復興支援活動を終えることになる。
麻生太郎外相は16日午前の記者会見で「地域にもよるが、治安状況が回復しているのは確かだ。(陸自が)早めに撤収できる状況になりつつあるかと思う」との見通しを示し、外務省幹部も「総合的な判断ができる状況になった」と、撤収の具体的な調整に入ったことを認めた。
近くロンドンで開かれる日米英豪4カ国の実務者会合で、各国間の意見を調整する。治安権限移譲の時期や手順が決まれば、日本政府は陸自の撤収を正式に決定する方針だ。陸自部隊はサマワからクウェート経由で帰国する予定。
政府は陸自の撤収について(1)イラクの政治プロセスの進展や治安の状況に照らして時期を判断する(2)サマワの治安を担当している英豪軍と同時に撤収する−ことを原則としてきた。
春先には先行きが不透明だとして、今秋以降に先送りする案も浮上したが、5月20日にマリキ氏を首相とする正統政府が発足。イラクに駐留している多国籍軍から正統政府に、治安や行政の権限を移譲する準備が進められている。
治安面では、テロを繰り返してきたイスラム教スンニ派武装集団「イラク聖戦アルカイダ組織」を率いるザルカウィ容疑者を殺害し、テロ減少への期待が高まっている。
(2006年6月16日)