★阿修羅♪ > マスコミ批評3 > 146.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□憂楽帳:感動の言葉 [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/yuuraku/news/20060519dde041070084000c.html
憂楽帳:感動の言葉
「鳥肌が立ちました」。サッカーのワールドカップで日本代表に選ばれた選手の後輩のコメントである。興奮さめやらぬ表情でそう語る人に、最近よく出くわす。そのたびに複雑な気分になる。
本来、寒さ、恐怖を示す「鳥肌が立つ」を「感動した」という意味で使っている。これまで新聞やテレビで「誤用」と指摘されてきたが、使う人が後を絶たず、認知されつつあるようだ。新たな意味として加えた辞書も出た。
誤用派が多数を占めれば、新たな正解として幅をきかせるのだろうか。芥川龍之介は、言葉の意味が変遷することへの違和感を随筆に書いている。「夜明け」という意味だった「平明」が「手のこまない」に、「死んだ父」を示した「先人」が「古人」という意味に変わったのに腹を立て、「だれもみな間違ってしまえば、もちろん間違いは消滅するのである」とやけ気味につづる。
W杯は近い。「鳥肌が立った」と感動する人は多いだろう。うっかり「誤用」と言うと、仲間外れにされそうだ。怖い。なんだか鳥肌が立ってきた。【米本浩二】
毎日新聞 2006年5月19日 東京夕刊