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ピロリ菌で酵素誤動作、胃がん作る新たな仕組み解明
2007年04月02日03時06分
http://www.asahi.com/life/update/0401/OSK200704010097.html
胃にすみ着くピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃がんを作る仕組みを、京都大大学院医学研究科の千葉勉教授(消化器内科)、本庶佑(ほんじょ・たすく)教授(免疫ゲノム医学)らのグループが解明、1日付の米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表する。本来は免疫細胞にしかないはずの酵素がピロリ菌の刺激で現れ、誤動作することががんの引き金になっているという。これまで知られていなかった新たな発がんメカニズムの解明として注目される。
ピロリ菌は胃粘膜の細胞の間に潜り込んで胃炎を起こし、さらに症状が進むと胃がんを起こす可能性が指摘されている。ピロリ菌が感染した胃粘膜の細胞では、その遺伝子の一部に突然変異が起きていることがわかっており、それが起こる仕組みが追究されていた。
そこで本庶教授らが注目したのが、99年に自らが発見したAIDという酵素。この酵素は、細菌などの多様な外敵に対して、様々な抗体を作るようにBリンパ球という免疫細胞の遺伝子に突然変異を誘導する働きを持つ。通常はBリンパ球でしか働かないが、遺伝子操作で全身で働くようにしたネズミでは、胃がんや肺がん、リンパ腫などを起こすことを明らかにしていた。
そのため、今回グループは、ピロリ菌に感染したネズミの胃粘膜細胞でAIDの有無を調べてみた。すると、本来ないはずのAIDがたくさん存在していることが判明。さらにその細胞では、がん抑制の作用を持つp53遺伝子など、複数の遺伝子に突然変異が起きていることを確かめた。さらにヒトの胃がん組織でもAIDがたくさん存在していることを見つけた。
C型肝炎ウイルスに感染した肝臓のがん細胞でも同様の現象を確認しており、千葉教授は「ピロリ菌やC型肝炎ウイルスの感染で炎症が起き、それが引き金となって免疫細胞にしかないはずのAIDが作られて細胞の遺伝子に突然変異を起こし、がん化につながっていると思われる。さらに詳しい発がんメカニズムを調べ、予防や治療に役立たせたい」と話している。
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