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この方の死因は慢性心不全による心室細動ですぜ。
慢性心不全って、狭心症や心筋梗塞など心筋に回る血液が足らなくなった虚血性疾患、高血圧、心臓弁膜症、などなどに起因する、無理が祟って心臓がバテてしまった状態。
慢性心不全と診断されたら「 いつ死んでもおかしくない 」のが常識、と思っていたのは医療者だけだったんでしょうね。
一般の方は別として、新聞記事に書くときぐらい、裏付け資料に当たったりもしない愚図なんでしょうか、新聞記者って。そんなことではなくて、きっと賢い記者さんは確信犯なんだと疑います。
柳沢大臣の度重なる「 失言 」が、確信に基く「 演技 」なのと同じでしょう。
--(天漢日乗--------------------------------------------------------------
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/03/70_64b3.html
2007-03-07
メディアは医療を潰すのか
慢性心不全の70歳女性の院内死亡が提訴されただけで記事にする長崎新聞の不思議→加筆あり
簡単に話をすると
うちのおばあちゃんは心臓が悪くて入院してました。トイレで倒れたので、病院内で救急に運んでもらったのですが、除細動をかけるのが7分遅くて死んでしまいました。病院が7分早く除細動をかけてくれたら、おばあちゃんはもっと長生きできたと思うので、提訴します
ということである。それは遺族感情だから、他人はなんともいえないのだが
判決が出たわけでもなく、提訴の段階でわざわざ記事にする必要
がどこにあるのか。そのあきれたメディアは
長崎新聞
である。
昨日から、2ちゃんねるのあちこちに元記事が貼られ、
この訴えが認められるようだと、日本中の病院が閉鎖になる
とまで言われている重大な話だ。
3月6日のながさきニュース
遺族が賠償求め提訴 奈良尾病院で「除細動遅れ死亡」
二〇〇五年二月、新上五島町の県離島医療圏組合奈良尾病院に入院していた女性=当時(70)=が心室細動で死亡したのは除細動の遅れなど病院側の過失が原因として、遺族ら九人が五日までに、同組合に損害賠償約四千二百万円の支払いを求める訴訟を長崎地裁に起こした。第一回口頭弁論は四月十七日。
訴えによると、女性は同年二月十二日、体調を崩し血圧が高いことから同病院に入院。十四日午前六時半ころ、病院内のトイレで倒れているのを入院患者が発見した。駆け付けた看護師の呼び掛けに「はい」と答えたが、同三十四分に心室細動の波形が確認された。
医師らは心臓マッサージをした後、同四十三分に電気的除細動器でショックを与え、除細動に一回成功。しかし、心臓の収縮力が次第に衰え、同七時五十分に死亡した。死因は慢性心不全による心室細動だった。
原告側は「除細動が早期に行われていれば生存の可能性があった」と主張。病院側は「適正に処置したと認識している」としている。
心室細動は心臓が不規則に細かく収縮と緩みを繰り返す状態。心臓のポンプ作用が失われて心肺停止につながる。この心室細動を除去することが除細動。除細動による救命率は、心停止から一分以内なら90%と高いが、五分で約50%、十分で約10%、十二分を超えると数%に低下するという。
〇四年七月の厚労省通知で、従来は医師や救急救命士だけが使えた自動体外式除細動器(AED)の一般使用を解禁。県によると、昨年八月現在、県内計百十七の公共施設に設置されている。
いったいどういう経過で亡くなったかを医学的に分析しているのは、Yosyan先生のblog「新小児科医のつぶやき」の記事
2007-03-07 長崎除細動事件
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070307
とコメント欄の双方をお読みいただきたい。
遺族の訴え通りに除細動を掛けることは病院内であってもかなり難しい
除細動が遅れたから救命できなかったのではない
という意見が大半である。特に、ER医のはしくれ先生の次のコメントは知っておきたい。
ER医のはしくれ
『 m3.comにもこの記事スレとしてあげておきました。除細動がすぐにできなくて救命できなかったことがすべて病院の過失であるという短絡的な誤った思考を世間にあたえてしまうという意味で、報道そのものが大変罪深い記事であると思います。訴訟がおきても報道を控えるという思慮深さが報道機関にあってほしい。
それが我々の力で如何ともし難いのが歯がゆくてならない・・。』
長崎だから原爆などというつもりはないが、現在
日本の敗戦末期
に喩えられている
医療崩壊状況
に、
原爆級の衝撃が与えられた
のは事実である。
なぜ長崎新聞は
慢性心疾患の高齢の患者さんが心臓病で亡くなったことを、病院のミスだという遺族の考えに賛同した
のか。
心臓病の人が心臓病で病院で亡くなるのは、病院が悪いのか
と問いたい。
病気が治らなければ、すべて病院の医療ミスなのか
と。
医師はすべての病気を治せる魔術師なのか
と。
どう考えても、報道の暴走である。
長崎新聞への問い合わせ先。
〒852-8601 長崎市茂里町3-1 TEL:(095)844-2111
報道部:houdou@nagasaki-np.co.jp TEL:(095)844-2114
続き。(14:00)
救急の専門医の友人が
なぜこの訴訟が起きたか
を説明してくれた。すなわち
AHA(アメリカ心臓協会)が「病院内では除細動まで3分」というAED設置基準を提唱しているからだろう、
というのだ。しかし、今回は
1. 朝の6時半という朝の検温・採血時間帯にトイレで倒れていた(病棟の看護師は検温などに回っていて手薄)
2. 「除細動まで3分」というのは発作が起きてから3分ということで、常時モニターでもしてない限り、「自分でトイレに行ける患者さんの突然の発作」には、看護師がつきっきりで行動を見ているような状態でもない限り、迅速な対応は無理という状況である。
遺族の割り切れない感情はわからないでもないのだが、こうした提訴を一々報道する必要があるのか、はなはだ疑問である。
入院したから、100%治るわけではないし、これは慢性心不全の高齢の患者さんなのだ。いつ発作が起きてもおかしくはない。そうした意識が記者にないのか、それとも何か別な「要因」によって、長崎新聞が記事にしたのか。
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