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http://www.bund.org/culture/20070215-2.htm
食の安全、骨幹がゆらいでいる
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O−157、鳥インフルエンザ、ノロウィルス。日常生活の安全が守れなくなっている。食文化そのものの見直しが必要となっているのではないか。
殺虫・殺菌を名目に食品に放射線が照射される
島田吾朗
推進役は原子力業界
内閣府原子力委員会は2006年10月、「食品への放射線照射について」をまとめ、スパイス及び一般食品への放射線照射を解禁するように厚生労働省、農林水産省、文部科学省に通知した。
放射線の食品照射とは「放射線の作用により病原菌、病害虫、作物の生物細胞において細胞死が起こることなどを利用し、殺菌、殺虫、発芽抑制などを行う技術」(同報告書案)だ。ガンマ線などの強いエネルギーを持った電離性放射線を食品に照射することで、食品や生物に含まれる水が分解され、活性酸素(細胞組織を著しく傷つける作用がある)が生じる。その活性酸素がDNAを切断することによって、食品の発芽組織を損傷させたり、食品中にいる虫や細菌を殺すのである。
香辛料への放射線照射は、2000年12月に全日本スパイス協会が、香辛料94品目について放射線照射の認可を求める申請を厚生労働省に提出していた。だが消費者団体の反発が強く、厚労省も検討に入ることはなかった。
しかし、05年10月にまとめられた『原子力政策大綱』で、「食品照射のように放射線利用技術が活用できる分野において、社会への技術情報の提供や理解活動の不足等のために、なお活用が十分進められていない」と、突如食品照射の促進が打ち出された。これを受けて原子力委員会は、05年12月に食品照射専門部会を設置した。
報告書案では「香辛料への照射について、(中略)検討・評価が行われることが妥当であると考える。更に、その他の食品についても、産業界のニーズや社会動向等を踏まえ有用性が認められる場合には、適宜、検討・評価が進められることが期待される」と、香辛料に続き他の食品にも照射を広げていくことに期待を表明している。
食の安全を管轄する厚労省ではなく、「原子力の有効利用」を掲げる原子力業界が音頭をとっている放射線照射推進なのだ。
照射食品の安全は疑問
食品への放射線照射の研究は、1943年アメリカで陸軍の要請による兵士の食料を長期間保存する研究から始まった。日本では、1968年から「ジャガイモ、タマネギ、米、小麦、みかん、ウインナーソーセージ、水産練り製品」の7品目について研究が行われ、1972年にはジャガイモについて照射が許可された。その後、タマネギについても認められる見通しだったが、動物実験で様々な問題が指摘されたため、そのまま認可されることなく現在に至った。
今国内で放射線照射を実施しているのは、北海道士幌町農業協同組合のジャガイモだけである。1974年から30年以上にわたって照射が続けられているが、出荷量は年間8千トン(日本のジャガイモ消費量は年間220万トン)だ。
このジャガイモを知らずに食べている可能性は否定できない。照射食品には「放射線照射」の表示義務があるが、消費者がそれを目にする機会は皆無に近いからだ。箱には「ガンマ線照射済、芽止め、日付」のスタンプが押されているが、箱から出して小分けされてしまえばわからない。
また、農薬や添加物などと違い、照射を検知する技術も確立していない。基準を上回る照射がなされていようが、照射の事実が隠蔽されていようが、分からないのである。生産者や流通業者、小売業者を信じるしかないのだ。
食品照射専門部会によれば、「2003年時点で、52ヵ国及び台湾で230品目が許可され、このうち31ヵ国及び台湾で40品目が実用化されている。世界の照射食品量は現在、年間約30万トンに及び、食品の安全に貢献するものとして実績を蓄積してきている」という。
だが、実際には安全評価をめぐって、世界各地で論争が続いている。
放射線の照射は、食品中の発芽組織や細菌だけを狙い打ちするわけではなく、食品全体が放射線を浴びる。食品全体がDNAレベルで影響をうけるのである。
照射食品の安全性に関する試験は動物実験によって行われている。日本で照射タマネギをネズミに食べさせて行われた実験では、3世代目のネズミに骨と生殖器の異常があらわれた。照射タマネギは発芽率は低くなるものの、カビや細菌に対する抵抗力が弱くなり、腐敗しやすくなるという実験結果もある。放射線照射によってビタミン類が破壊されることもわかっている。
ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究センターが行った実験では、照射によって生成する「2―ドデシルシクロブタノン」をラットに投与したところ、腸細胞のDNAが切断され、強い発ガン作用が認められた。とても「安全」だと太鼓判を押せるような状況でないことは明らかだろう。
長期保存のための照射要請
O157中毒が起こって以来、アメリカでは殺菌のために、肉や野菜、果物など多くの品目への放射線照射が許可されてきた。ところが消費者の抵抗が強く、流通が拡大しない。それでアメリカ政府は、学校給食に照射食品を使うことを決めた。だが、各州の教育委員会では照射食品の使用を禁止するなど、消費者団体のみならず広範な反対運動がまき起こっている。
アメリカの消費者が反対しているのは、照射食品の安全性に対する不安からだけではない。たとえば食肉の場合、照射しすぎると照射臭が発生する。あまり強い放射線をあてることはできないのだ。
また、たとえ照射しても食肉を完全無菌にすることはできない。食中毒を避けるためには、食べる時に十分火を通さなければならない。つまり食照射の殺菌効果は、「適切な調理方法」に勝るものではないのである。実際、食中毒は流通段階ではなく、調理を行う飲食店や家庭における不衛生が原因である場合が大半だ。だとしたら何のために放射線を照射するのか。
照射が要請されている94品目の中には、コショウ、ゴマ、サンショウ、シソ、ショウガ、トウガラシ、ナツメグ、ニンニク、パセリ、マスタード、ローレル、ワサビなどお馴染みの香辛料のほか、タマネギ、ニラ、ニンジン、ネギ、ミョウガなどの野菜まで含まれている。これらが認められたら、私たちは毎日照射食品を食べることになってしまうだろう。
日本では食品衛生法によって照射食品の輸入は禁止されているが、香辛料への放射線照射はすでに海外で行われているため、加工食品として日本に輸入されている可能性もある。香辛料に対する照射解禁はこうした状況の追認ではないかという指摘もある。
香辛料で認められれば、肉・野菜・穀物・魚介類・果物など、ありとあらゆるものに放射線照射が認められるだろう。そうなれば、食料輸入大国日本をめざして海外から大量の照射食品が輸送されてくる。照射食品の一番のメリットは長期保存にあるからだ。日本の食料自給率の低下は、こんな形でも国民の健康を蝕もうとしている。
(グリーンアクションさいたま)
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解明半ば、ノロウィルスを防ぐには?
元木菜々子
今冬はノロウィルスが大流行した。感染者が1週間に6万人という過去最も速いペースで増加している。子どもたちだけでも300万人の感染者を出した。しかもその内7割は7歳以下の子どもたちだ。池袋のホテルでも、利用者374人がノロウィルスによる感染性胃腸炎になったなんてこともあった。
私は小学校の給食調理の仕事をしている。去年の11月には同じ区のY小学校で生徒の4割からノロウィルスによる症状が出た。初めは給食が原因かと疑われたが、保健所が検査をした結果、給食からではないと分かりほっとした。もし給食が原因だったら同じ区の学校の調理室すべてに検査が入るところだった。
ノロウィルスというと牡蠣の食中毒のイメージがある。都内での食中毒発生数の半分はノロウィルスによるものだ。しかし今回の犯人は牡蠣ではないらしい。海外でも生牡蠣を食べる文化のないドイツ、英国、デンマークなど、広範囲の国で例年を上回る流行が報告されているからだ。
ノロウィルスはもとは『小型球形ウィルス』SRSV(small round structured virus)と呼ばれていた。1998年のО―157事件のあと、食中毒菌として認定された。
「ノロウィルスは人の腸の中で繁殖し、腸の表面の繊毛を剥がしてしまうため下痢を起こすと考えられている。便や吐物を介しヒトからヒトへ感染する」(毎日新聞 12月27日 朝刊)
生牡蠣が危険と言われていたのは、吐物や便に含まれたノロウィルスが下水を通じて河川、海にたどり着き、牡蠣などの二枚貝が菌を取り込んでしまうためだ。
ノロウィルスは夏の暑さのもとではあまり増殖しない。85度以上で1分で死ぬといわれているとおりだ。今年の流行はノロウィルスの遺伝子が変化して、感染しやすくなったのではないかという説もある。
では実際に感染を防ぐにはどうしたら良いのだろうか? 感染予防としてまず、石鹸を使った手洗いが重要だが、もし目の前で感染者が嘔吐してしまったらこうしよう。
@ 換気をする事(ノロウィルスは直径約38ナノメートル=1ミリの100万分の38の大きさしかないので空気中に飛散しやすい)。
A マスク、手袋を着用し、使い捨てトレーなどに原液の塩素系漂白剤を含ませた雑巾を用意する。
B 嘔吐物が付着した床やその周辺を漂白剤に浸した雑巾で静かに拭き取る(菌が飛散してしまう前にすぐに殺菌することが大切)。
C 使用した雑巾などはすぐにビニール袋に入れ処分する(この時また漂白剤をかけてから封をすると完全に殺菌できて良い)。
以上を慌てずに素早く対処する必要がある。
私の働く小学校でも生徒が嘔吐してしまった事態が3回ほどあったが、こうやって処理していた。職員室でも、自分の子どもの通う幼稚園から、ノロウィルスを貰って来てしまった先生が一人いた。調理をする側としては給食に影響が出ないかヒヤヒヤさせられた。
調理室で特に注意するのは加熱調理だ。加熱食品の中心温度が85度以上になるように注意する。魚などを焼いている時は、栄養士さんと一緒に中心温度計とにらめっこをしながら温度確認をする。前よりも温度にはナーバスになるくらい気を使うようになってしまった。
しかし加熱しすぎると、魚などはパサついてしまい美味しくなくなってしまう。安全第一の為だから仕方がないのだが、O157とかノロウィルスとか、何故次々と感染症がでるのだろうか。
日本人は神経質なくらい消毒しすぎだと言われている。それで逆にバイ菌に弱い日本人を自ら作っているのだ。それでか高齢者や子どもたちに菌やウィルスなどの影響が大きく出てしまう。
菌に弱い立場に合わせて消毒するしかないのが現状だ。時にはナーバスになりつつも、かわいい子どもたちの「ごちそうさま!」を聞けるのを楽しみに今日も手洗いをする毎日だ。
(給食調理員)
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肉食信仰が病気の欧米化を招いた
岩本洋
今、話題になっているメタボリックシンドローム、危険数値は男性でウエスト85センチ以上女性で90センチ以上といわれる。日本では2000万人以上の人が肥満であるとされ、その半数が医学的に問題のある肥満と考えられている。ふとっていることが高血圧や高脂血症、糖尿病を伴いやすくし、心筋梗塞や脳梗塞になる確率が高いことは以前から知られていたが、そのメカニズムがわかってきたのだ。
体脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に分けられるが、内臓脂肪がふえるとこれらの病気を引き起こす物質が分泌され、逆に防ぐ物質「アディポネクチン」の分泌が減少するという。
内臓脂肪が多いかどうかは、へそ周りの腹囲を測ることでおよそ推測できる。内蔵脂肪が増えることで大腸がん、乳がん、子宮がんになりやすくなる。そういう研究結果もある。現在日本人の死亡数の3割以上はがんだ。
どうしてがんの発生率がここまで高くなったのか。かって日本人に多かった心疾患や脳血管疾患を、がんがはるかに抜き去っているのは食生活の変化がその要因だ。食の欧米化によって病気の傾向も欧米化したのである。
日本では一部の地域を除いて明治時代になるまで肉食をしてこなかった。しかし政府はアジア、アフリカなどを次々に植民地化していく欧米に対抗する力を得るため、西洋化、近代化が必要と考え、食の西洋化を推し進めようとした。明治5年には天皇の名において全国民に肉食の解禁を布告し、天皇の食事にも牛肉を供するなど、率先して洋食をとりいれていったのだ。
日本の近代化は食生活を欧米化することから始まったのである。その傾向は敗戦後のGHQによる学校給食へのパン食や牛乳の導入などによって更に日常化していった。
しかし当のアメリカでも、20世紀初頭までは黒パンなどの穀物、野菜、豆類を多く取り、肉類や乳製品の摂取が少ない食生活を送っていたのだ。それが変化したのが、社会にファーストフードが流行し、動物性食品と砂糖の摂取量が増えてからだ。それと共にアメリカ人のがん発生率も高まり続けたのである。
アメリカでADHD(注意欠陥多動性障害)がみられるようになったのも、生活環境に有害な添加物を含む加工食品が流通するようになってからだ。このアメリカで先行した現象が、日本にもそのまま移植されてしまったのである。
街を歩けば、いたるところに外食産業のファーストフード店がある。コンビニエンスストアでは24時間弁当や、すぐ食べられるように加工された食品が棚にならぶ。便利でなに不自由なく食べ物が手に入る現在、食の健全性は二の次にされているのだ。
加えて流通の面でもエネルギー多消費型のシステムであり、東京にいるのに青森や九州からの生鮮野菜などを消費できる。 しかしこれは、石油がなくなったら全く通用しない。今後はキューバ型の自給的有機農業が全世界での目標とされる以外ないのだ。キューバでは1991年ソ連崩壊とアメリカによる経済封鎖で、石油などの輸入がストップした。しかし有機農業による食糧の100パーセントの自給に成功している。キューバでは都市の空き地や庭、住宅のバルコニーまで利用して、農作物を生産している。自分たちの身の回りで身の丈にあった作物をつくり、それを自ら収穫して日々の食事に活用しているのだ。食生活の転換の必要はもはや誰もが感じていることだろう。
(サークルいまじん)
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(2007年2月15日発行 『SENKI』 1237号6面から)
http://www.bund.org/culture/20070215-2.htm
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