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ブログ「医療制度改革批判と社会保障と憲法」より
http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2
格差社会(不平等社会)では、「負け組」(貧困層)には、医療も「高嶺の花」時代の到来ですね。
【介護保険と障害者支援と高齢者医療】
[ 社会保障 ] / 2006年12月29日
今日(12月29日)の朝日新聞1面に「診療報酬 75歳以上 外来も定額」との記事がありました。
入院は「包括診療報酬制」とすでに報道されています。
政府・厚生労働省は、着々と改悪のための準備をすすめています。
■介護保険と障害者支援と高齢者医療
介護保険制度は、日本の社会保障制度「改悪の雛型」だと、再三にわたって指摘してきました。
2000年(平成12年)にスタートした介護保険制度、その後の展開や動向、また、連動しての老人医療制度の改悪、さらに、障害者福祉が支援費制度に移行し、さらに障害者自立支援法へと、改悪されてきました。
介護保険制度に盛り込まれていた「改悪の雛型」としての企図が、具体的な形として見えるようになってきています。 その「改悪の雛型」としての企図・布石はあまりにも多く、本質的なものから技術的なものまで、多岐にわたっています。
そのいくつかについて、順次、問題指摘をしていきたいと思います。
■公費での措置から、保険制度での給付へ
従前、介護は「公費で措置」されていました。公費で措置とは、「介護が必要となった場合には、社会的な保障として、無料で介護サービスを受けることができた」と言い換えることができます。
この介護保険の創設で、当然のこととして保険料の負担が、また、介護サービスの1割の自己負担が、生じることとなりました。このことが、低所得者層にとって、とりわけ介護サービスの1割自己負担が、重い負担となりました。
現在でも、介護サービス受給者の過半が、低所得世帯であることから、重い負担に喘ぎ、負担回避のため受給可能なサービスをも受けない、という実態があります。
■障害者も公費での措置から、支援費制度、そして、自立支援法へ
障害者支援についても、2003年(平成15年)4月からは、公費での措置から、支援費制度に変更になり、引き続きの変更として、障害者自立支援法という稀代の悪法が、成立することになりました。
そして、2006年(平成18年)4月から従来の精神通院医療費公費負担・更生医療・育成医療は、自立支援医療に変更され、 また、障害者福祉サービス(支援費制度・精神障害者居宅生活支援事業)も変更されました。そして、どちらも原則として、費用の1割分が利用者の負担になりました。
障害者福祉は、現在時点では保険制度ではありません。しかし、介護保険の実態と、障害者福祉改悪の動向とを重ね合わせると、近い将来の「介護と障害者福祉を合体させた保険制度」が、透けて見えてくるのではないでしょうか。
■介護サービスの給付ではなく介護サービス費の給付
医療保険は、「療養の給付」ですが、介護保険は、介護サービスの給付ではなく、「介護サービス費の給付」です。療養の給付とは、その患者の治療に必要な医療や薬剤が現物給付されます。治療に必要なかぎり限度などありません。
しかし、介護サービス費の給付は、その人に必要な介護サービスが給付されるのではなく、要介護度によって介護サービス費が決定され、その範囲内で介護サービスを選択することになっています。その限度を超えたサービスは、全額自己負担となります。
このことを医療に置き換えれば、原則禁止されていた「混合診療」にあたります。
■後期高齢者医療保険に給付の制限を導入
2008年(平成20年)4月から、75歳以上の高齢者だけで組織される健康保険、後期高齢者医療保険が創設されることになっています。その高齢者医療保険「独自の診療報酬体系」を構築するとして、社会保障審議会の特別部会での検討が進められています。
その検討の内容は、一般の健康保険とは異なる診療報酬体系、すなわち「改悪の雛型」をふまえて、後期高齢者への医療給付の制限・抑制が持ち込まれようとしているのです。
【介護保険と障害者支援と高齢者医療 2】
[ 社会保障 ] / 2007年01月07日
■入院は「包括払い」、外来は「定額制」
『後期高齢者医療制度の創設に当たり、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるような新たな診療報酬体系を構築することを目的として、後期高齢者医療の在り方について審議するため、社会保障審議会に専門の部会を設置する』として、2006年(平成18年)10月5日に、第1回部会が開催され、2007年(平成19年)3月までに、「基本的な考え方」を取りまとめるための、議論が続けられています。
その議論の一部が、マスメディアなどでも紹介されています。それは、75歳以上の高齢者の診療報酬については、入院は「包括払い」とし、外来は「定額制」にする、という厚生労働省の方針が伝えられています。
また、国保中央会は12月25日に提言を発表しました。それは、『高齢者全員が地域の診療所から主治医(かかりつけ医)を選び、初期診療は登録した主治医だけが担い、その主治医が受け取る診療報酬は、その診療所を登録した高齢者の人数に応じた定額払い方式とする』という内容になっています。
いずれにしても、後期高齢者医療については、給付の制限や抑制が持ち込まれようとしています。年度末の3月が取りまとめの期限であることから、注視・看視を続けなければなりません。
■ 混合診療の解禁と私的健康保険
介護保険は、認定された「要介護度」によって、「介護サービス費」が決定され、障害者福祉は、認定された「障害程度区分」により「サービスの支給量」が決まることとなっています。その限度を超えたものは、全額自己負担となります。
高齢者医療についても、給付額での制限、診療内容の制限、治療や手術や薬剤の制限など、さまざまな議論がなされています。その詳細は未決定ですが、給付制限が持ち込まれることは必至となっています。
言い換えれば、きわめて給付水準の低い高齢者の健康保険が創設され、そこに全員が強制加入させられるということです。その限度を超えたものは、当然のこととして全額自己負担となります。
そのことを見越しての、「混合診療の解禁」が医療制度破壊法のなかに盛り込まれているのです。その保険の限度を超えた「療養を給付」する、混合診療体制を支える私的健康保険の必然性・必要性が、俄然大きくなりました。
このビジネスチャンスを生かすために、カタカナ医療保険会社は何年も前から、「入れます、入れます」の宣伝で、高齢者の囲い込みを進めてきたのです。
この間の経過が示すように、この高齢者への制度改悪の攻撃が、若年層を含めた全体に波及するのは、まさに時間の問題です。
■ 介護保険料の年金天引き
介護保険導入時の大きな柱のひとつが、保険料の「年金からの天引き」という徴収方法でした。
国民皆年金制度のもと65歳以上の高齢者は、その年金額の多寡は別にして、制度的には全員が年金受給していることになっています。それは、月額1万5千円、年額18万円以上であれば、その年金支給時点で、介護保険料の「特別徴収」という名の天引きを強行したのです。仮に制度に不満などがあっても、保険料を納めないという、「抵抗する権利」まで奪ったのです。
65歳以上の介護保険料の徴収は、大部分が年金天引きの特別徴収ですが、そうでない普通徴収もないわけではありません。
それは、公租公課の対象とされない遺族年金や障害年金などの受給者であり、また、例外的な無年金者や、65歳到達時点の移行期や、何らかの理由で年金支給が差し止めされているときなど、納付書で収める普通徴収ということになります。
■ 遺族年金・障害年金からも天引き開始
公租公課の対象としない、また、天引きなどが禁止されていた、遺族年金・障害年金からの天引きが、2006年(平成18年)10月から開始されています。
このことによって、年金からの天引きができていないのは、老齢福祉年金と恩給のみの受給者となり、どちらも、明治生まれの長寿者などで、きわめて少数になると思われます。
2008年(平成20年)4月スタートの、後期高齢者医療保険の保険料も、年金天引きと、当然のことのように決定されています。
また、65歳以上の前期高齢者の国民健康保険料が、年金天引きされることも、さきの医療制度破壊法で、決定されています。
これは、厚生労働省試案で示されていた、「前期高齢者医療制度を創設して保険料を年金天引き」が、先送りになったものの、65歳以上のすべての高齢者から、年金天引きでの保険料を徴収するという、厚生労働省の執念・執着の表れだといえます。
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