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(回答先: タミフル:インフルエンザの季節控え、多用ご注意 異常行動との関係「未解明」―「毎日新聞」 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 11 月 22 日 22:13:14)
この記事のコピーを10枚ほどパウチッコして待合室に置いときましょうかね。どさっと置いて「ご自由にお取りください」は、著作権上まず過ぎですし。
前のシーズンも、インフルエンザ疑いか診断(ほぼ)確定した患者さんやその親に「タミフル使いますか?」って質問すると、あれこれ時間とって大変でした。今シーズンは、使うかどうか悩んじゃう患者さん、かなり多いでしょう。いろんな立場の意見を集めた資料集を用意して、タミフル適応と診断した時点でドサッと渡して、「ハイ、あっちでじっくり読んでから決心がついたら教えてください」って対応にしようかとも思ってます。
=引用==========================================================================
http://www5f.biglobe.ne.jp/~iyatsue/html/Doctorsink.htm
Doctor’s Ink
医療関係の読み物置き場。
ただし、これはあくまでも、「僕が考えていること」で「全国・全世界の医者の一般論」ではありません。ご理解を。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~iyatsue/tamijapandr.htm
「タミフルを普通の人にどんどん処方している日本の医者」
参考リンク(1):タミフルを普通の人にどんどん処方しているのは日本の医者だけ (by 『Life is beautiful (11/13))
http://satoshi.blogs.com/life/2006/11/post_6.html
まずは、↑の参考リンクをご一読ください。
そろそろまた、市中病院の臨床医にとっては(そして、たくさんの高齢者の方々にとっても)辛い冬がやってきます。「インフルエンザの特効薬」ことタミフルについては、僕自身も昨年はかなりたくさん処方したのですが、その後、子供の精神症状などの副作用の可能性が示唆されたこともあり、今年は「タミフルは要りません」という患者さんが増えてくれるといいなあ、と僕も思っています。
ここで書かれている、【日本以外の国では「万が一、鳥インフルエンザが人から人への感染能力を持ってしまった場合に使うために備蓄しておくべき特効薬」との扱いであり、健康体の人がインフルエンザにかかった時にやたらと処方したりはするものではない。】というのは、確かに「正論」ではありますし、人類全体にとっては、そのほうが有益なのだろうと思います。でも、残念なことに、日本の医療の現場というのは、そんな「正論」をふりかざすのは、なかなか難しい場所ではあるんですよね。
参考リンク(2):「ピルの話」と処方する側、される側の事情
http://www5f.biglobe.ne.jp/~iyatsue/html/pill.htm
↑は主に経口避妊薬である「ピル」の話なのですが、少なくとも、日本の(というか、僕は海外の病院で働いたことはないので、日本のことしかわからないんですけど)患者さんの中には、まだ「病院に行ったのに注射もしてくれない」「薬も出してくれない」という人がけっこう多いのです。正直、僕たちだって、患者さんの状態によっては、【「何しに来たの?ゆっくり寝てなさい」と追いかえされてしまう】というような対応をしても良いのではないかと考えることはありますし、本当に「客観的な症状がない」場合には、説明だけで帰っていただくこともあるのです。
確かに、元来健康な若者〜中年くらいの患者さんが風邪や通常のインフルエンザで受診された際には、別に抗生物質やタミフルを使わなくても、家でゆっくり休養していれば、そのうち良くなる人がほとんどです。ところが、多くのそのような「抗生剤もタミフルも必要ではない患者さん」が、「会社や学校を休めない」「1日でも早く治さなければならない」「症状がきつい」ということで、病院を受診されるのです。
そこでもし僕が「いや、タミフルっていうのは日本以外の国では……」と患者さんを説得しようとしたらどうなるかというと、結果は実に簡単です。その患者さんは、二度と僕がいる病院に来なくなり、「あそこの病院に行ったら、薬も出してくれずに説教された」と悪い評判が広まり、その患者さんは、「ゴチャゴチャ言わずに、タミフルをさっさと処方してくれる病院」で、お目当ての薬をもらうだけのことなのです。
いや、少なくとも人類全体という観点からみると、「こんなに抗生物質やタミフルを濫用している日本の医療は間違っている」と僕も思います。でも、その一方で、抗生物質やタミフルを処方するというのは、少なくとも目に見える範囲の短期的には症状を緩和するという実効があり、患者さんもそれを求めているという以上、「望ましくはないけれど、それが可能な状況である以上、それを拒否することは難しい」し、医療者だって食べていかなければなりませんから、他の病院との競争に打ち勝つためには、「処方しないわけにはいかない」のです。
僕は正直、そういう医療を好ましいとは思わないけれど、だからといって、「処方することによるデメリット」と「処方しないことによるメリット」を比べてみると、「本当は家でゆっくり休めればいいんですけどねえ……」と呟きながら、処方箋を書くしかないのです。もしここで、「人類全体にとって正しい(であろう方法)にこだわり続ければ、人類が困る前に、僕や僕の病院のスタッフが、路頭に迷ったり飢え死にしてしまいます。
本当は、医者たちがみんな申し合わせて、「タミフルを使いすぎないようにしよう」という取り決めができればいいのですが、経営という面では病院同士もある種の「ライバル」ではありますし、そもそも、患者さんが「簡単にタミフルを出してくれる病院」を選ぶかぎり、「タミフルの処方はデメリットが多い」という明らかな根拠が示されなければ、こういう状態は続いていくのでしょう。現場ではみんな、「迷い」があるのは事実なのですが……
最後にひとつ申し添えておくと、アメリカの医者が「薬は要らないから、家で寝てろ」と言えるのは、アメリカでは、ひとりひとりの患者さんの「診察料」が高くて、日本のように「薬を出さないと病院経営が成り立たない」ような診療報酬体系とは異なること、そして、患者さんひとりあたりの医療費が高いので、そんなに大勢の患者さんを毎日診なくてもやっていけることなどの理由があります。そして、アメリカの場合は、日本よりもはるかに「病院を受診すること」への敷居が高く、患者さんの経済状態や保険の種類によって、治療内容そのものが制限されてしまうことが多い(そして、患者さんの側も、それを受け入れている)のです。
いや、Satoshiさんのような、インテリジェンスが高い、人類全体のことまで考えてくれる「理解力のある」患者さんだけだったら、日本の医者だって、そんなにタミフルを処方しなくて済むと思いますよ。むしろ、日本の医者はアメリカの医者ほど偉くないので、「タミフルを処方させられている」のです。
でも、考えてみてください。逆に、アメリカの保険制度が日本と同じものだったとしたら、果たして、ごく普通のアメリカ人は、タミフルを病院で要求しないと思いますか?
ちなみに、「薬漬け」にされている日本人は、今のところは、「世界で最も長寿の人々」のグループに属しています。
追記:僕があまりうまく書けなかったことが、↓の参考リンク(3)にしっかりと書かれていますので、ぜひ読んでみてください。
参考リンク(3):レジデント初期研修用資料 ('05/8/26) 「共有地の悲劇」
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2005/08/post_269.html
=ここまで================================================================================
さて、鳥インフルエンザが変異してヒト−ヒト感染を起こす≒新型インフルエンザの流行は、近く確実に起きます。しかし、流行する段階での病原性の高低を含め、どのような流行になるかはわかりません。現在の状況は、建前はフェーズ3です。
この段階でタミフルやリレンザをどう使うべきかも、悩ましい問題です。
フェーズ3なんだから、普通のインフルエンザには出来るだけ使わず、備蓄に回せるように配慮する。
もしかして既にフェーズ4A(隠されてる)かもしれないから、普通のインフルエンザには原則として使わない。
少なくとも、役人はフェーズ3段階での対策である「通常インフルエンザに対して適正使用を行うよう、関係者に呼びかけてまいりたい」を、「あれこれ」実行しているようにも見えます。
=引用==============================================================================
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/04.html
新型インフルエンザ対策行動計画に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/04.html#1-3
I-3 流行(パンデミック)はどのように6つのフェーズ(段階)が分かれているのですか。また、現在、どのフェーズですか。
現在は、トリからヒトへの感染が海外で認められている(国内で発生していない)フェーズ3となっています。
《略》
フェーズ3 (パンデミックアラート期)
ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的にない
フェーズ4 (パンデミックアラート期)
ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている
フェーズ5 (パンデミックアラート期)
ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認され、パンデミック発生のリスクが大きな、より大きな集団発生がみられる
フェーズ6 (パンデミック期)
パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している
後パンデミック期
パンデミックが発生する前の状態へ、急速に回復している
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/04.html#2-1-5
(新)II-1-5 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄計画はどのようになっているのか。
Answer
今年、タミフルは、インフルエンザシーズン前に1200万人分準備されており、通常のインフルエンザに対応するための十分な量が確保されています。この通常の使用とは別に、国および都道府県において、新型インフルエンザ対策として、抗インフルエンザウイルス剤の備蓄を開始することになりました。
新型インフルエンザが流行した場合の国内の受診患者数は2,500万人に上ると推定されています。備蓄量については、最低流通量(流行終期における残存の見込み量)の400万人分を差し引いた2,100万人分が必要と考えています。新型インフルエンザは、いつ発生するかは断定できないため、製造業者の供給体制に応じて、できる限り早急に備蓄を行っていく予定です。また、国と都道府県で半分(1,050万人分)ずつ負担することとしています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/04.html#2-1-6
(新)II-1-6 通常インフルエンザに対する抗インフルエンザウイルス薬の適正な使用方法について教えてください。
Answer
抗インフルエンザウイルス薬は、臨床症状や検査結果などによってインフルエンザと診断された患者などに使用するものです。新型インフルエンザ発生に備えて、通常インフルエンザに対して適正使用を行うよう、関係者に呼びかけてまいりたいと考えております。
なお、抗インフルエンザウイルス薬であるタミフルの効能・効果、副作用等については、「新型インフルエンザに関するQ&A 第IV章.リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)について」を御参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/03-01-4a.pdf
フェーズ4〜5(45〜67ページ)(PDF:224KB)
フェーズ4A
(ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている)---国内非発生--
[抗インフルエンザウイルス薬の適正使用]
・ 各医療機関に対して、通常のインフルエンザ(H1N1,H3N2,B型)患者には、原則として抗インフルエンザウイルス薬の使用を控えるよう指導する。
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