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□米国の流通体制、食の安全追いつかず=広がる汚染野菜の不安 [ライブドア・ニュース]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2553650/detail
米国の流通体制、食の安全追いつかず=広がる汚染野菜の不安
牛肉が野菜よりも進む大腸菌対策 専管当局不在も安全対策の甘さの一因とも
【ライブドア・ニュース 10月10日】− AP通信によると、全米で8月下旬からホウレンソウが原因とみられる病原性大腸菌O(オー)157による食中毒被害が拡散したのに続き、今月8日には、カリフォルニア州の野菜栽培業者が自社の灌漑用水システムに同病原菌の汚染のおそれがあるとして、複数の州に流通されたレタスを回収する一件があり、米国の野菜の安全性が再びクローズアップされている。
▽:米国の生鮮食品に汚染の連鎖か
レタス回収に踏み切ったのは、先に大腸菌が検出されたホウレンソウの栽培業者と同じカリフォルニア州サリナス・バレーのヌネスという業者。大腸菌感染の可能性がある疑いが出ているというが、同社の「フォクシー」ブランドのレタスからは、実際に大腸菌は見つかっておらず、また、感染被害者も出ていない。
一方、8月30日にカリフォルニア州産に端を発した大腸菌感染ホウレンソウの影響は、数日内にも全米で20州以上に拡大、高齢者2人と2歳の子供が死亡したほか、200人以上が下痢や吐き気などの症状を訴えた。
▽:迅速な流通至上主義に食の安全が取り残される
米国では、食物の生産地から消費地まで極力スピーディーに流通する体制が確立されている。しかし、こうした迅速な流通至上主義には脆さもはらんでいることも事実で、今回の病原菌の拡散事故は、問題点を内包したシステムを浮き彫りにしたようだ。生産地から集荷された野菜は卸売市場に中央へと集まるが、そこでの検査体制は確立されていない。先のホウレンソウの200人以上の被害者うち、72時間以内に症状を訴えた人は3分の1と、影響は瞬く間のうちに広がる。
米疾病対策予防センターの食品媒介疾患科の主任、ロバート・タウクセ氏は、「消費者はホウレンソウの袋を開けたとき、一体何カ所の畑から野菜が混ぜ合わされているかなどは気にしないだろう。もし、いずれかの畑に問題があれば、箱詰めの腐ったりんご状態になり得る」と指摘する。
米国では、汚染野菜問題は1995年の発生以来、今回で20回を数える。このため、食品安全の消費者団体などからは、どこか専門の機関が食品安全を管理し、規制を強化すべきと提唱してきた。米国の消費者連合の食品政策局長のキャロル・フォアマン氏は、「サリナ・バレーで栽培した野菜に消費者に被害が出てはじめて問題が発覚するようなシステムでは欠陥がある」と指摘する。
食品安全を専管的に扱うFDA(食品医薬品局)では、問題に対応するよう業界で取り組むよう指示しているというが、FDA自体には農務省が肉や家禽類に対して行っているような食品安全や検査プログラムがないため、「食品流通システムは1極集中化しているのに、中央の安全当局が不在」(公共の利益における科学センターの食品安全局長)という現状だ。
▽:野菜より進んでいる食肉の安全性
食肉に関しては、1993年1月にファーストフード・チェーン「ジャック・イン・ザ・ボックス」のハンバーガーの加熱処理が不十分だったため、汚染されたO157によって4人の死亡者を出す惨事があった。これを受けて、農務省では安全基準を引き上げと検査体制を強化し、さらに1996年には流通網での主要なポイントで科学的なモニタリングを行う体制を導入した経緯がある。
米国食肉協会のランディ・ホフマン副会長は、「この有機体をコントロールするのに数年がかかったが、現在は十分対処されている」と語る。現在、米国ではO157による疾患が、政府が統計を開始した10年前と比較して29%ほど減少しているが、2005年の最新の統計では前年比で増加がみられた。
一方、今回の汚染ホウレンソウで元凶となったナチュラル・セレクション・フーズでは、すべての野菜についてサンプリング・テストを開始し、結果が出揃うまで出荷を控える意向だ。いったん消費者に出回ると、牛肉のように加熱処理せず生で口にする機会の多いホウレンソウやレタスなどの野菜の感染対策は非常に重要だ。これまで8月下旬のホウレンソウ感染を含め、病原菌の原因について解明されていない。
このためFDAやFBI(連邦捜査局)は現在、感染源を特定するため、ホウレンソウに大腸菌が付着したルートとして、汚染した灌漑水、肥料、さらに自身が感染の危険にさらされている労働者らも調査している。ただ、牛肉の表面上で感染するのと違い、「ホウレンソウやレタスはバクテリアが茎や葉の内側に入り込むとの調査研究もあり、大腸菌がどこに隠れているか分からない」(米疾病対策予防センターのタウクセ氏)と、野菜の感染の対応に苦慮しているようだ。
タウクセ氏は、食肉業界が家畜を処理する際にどのように汚染されるかを理解するのに数年を費やしたように、生鮮食品業界も数年が必要とされるだろうとの見通しを示している。 【了】
■関連リンク
大腸菌O157汚染のホウレンソウによる食中毒被害、全米25州175人に拡大(2006年9月26日)
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2495328/detail
米FDA、ホウレンソウの大腸菌感染に“誰かが手を加えた”形跡なしと判断=21州に広がる(2002年9月19日)
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2465082/detail
ライブドア・ニュース 金子登記者
(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/)
この記事に関するお問い合わせ
2006年10月10日19時14分
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