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消費者は知らない食の舞台裏 連載D 欧米ではカジキに厳しい摂取制限・メチル水銀の蓄積を懸念[ゲンダイ]
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投稿者 feel 日時 2006 年 9 月 30 日 03:11:24: /berAdga6DXu.
 

2006年9月26日号 日刊ゲンダイ
http://gendai.net/
消費者は知らない食の舞台裏 連載D
垣田達哉

欧米ではカジキに厳しい摂取制限
メチル水銀の蓄積を懸念
マグロも心配

 「マグロにメチル水銀?キンメダイじゃないの」
 キンメダイの残留メチル水銀が話題になったのは2003年6月。マグロが公表されたのは05年。マスコミ、とくにテレビはキンメダイの時に比べて、マグロの時は小さくしか扱わなかったので印象が薄いのだろう。しかし、クロマグロ(本マグロ)やメバチマグロにもキンメダイ同様に、残留メチル水銀の心配は強い。
 日本はメチル水銀問題で、魚介類の摂取制限の対象を妊婦(妊娠しているか、妊娠している可能性のある女性)に限定しているが、欧米各国は日本より対象者を広くとらえている。米国とEU(欧州連合)は「妊婦以外に授乳中の母親、幼児」、英国は「幼児だけでなく16歳以下の小児」、ノルウエーは「授乳中の母親」、カナダ、アイルランド、オーストラリアは「すべての人」としている。

 摂取基準の中身も日本よりはるかに厳しい。米国は「幼児に魚介類を与える際には、勧告に従い、なおかつ量を減らすべき」と決めていて、EUも「授乳中の母親や幼児もマグロを週2回以上食べるべきでない」と厳密だ。英国は「16歳以下の小児もサメ、メカジキ、マカジキを食べるべきではない」、カナダは「すべての人がメカジキ、サメ、マグロは週に1食とすべき」で、「幼児および妊娠可能年齢の女性は月に1食とすべき」と、もうほとんど食べるなと言っているに等しい。アイルランドも「妊婦、授乳中の母親、幼児以外の人でも、サメ、メカジキ、マカジキを多くても週1食とすべき」と勧告しているのだ。
 マグロやキンメダイも要注意だが、欧米各国はどちらかというとカジキの危険性を重視している。日本はメカジキを「1週間に80cまで」、マカジキを「週に160cまで」としているが、米国はメカジキを「摂取を避けるべき」、つまり 「食べるな」としている。EUはメカジキ、マカジキを「週に多くて1食100c以下」とし、さらに「メカジキ、マカジキを食べた場合は、その週はいかなる魚も食べてはいけない」と非常に厳しい。
 表現も日本とは大きな違いがある。欧米では「すべき」という表現を使って「勧告」に近い強い口調だが、日本は「心がけましょう」なので、消費者は「どちらでもよいのかな。守らなくても問題はないだろう」という印象を持ってしまう。
 メチル水銀は「神経障害」の危険性がある。欧米諸国が「厳格すぎる」のではなく、日本が「あまりにも楽観的すぎる」のではないだろうか。 (つづく)

◆かきた・たつや 1953年岐阜県生まれ。慶応大学卒業。消費者問題研究所代表として、食品表示や食の安全についてアドバイスを続けている。近著に「テレビじゃ絶対放送できない『食』の裏話」(リヨン社)。

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