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医療過誤訴訟で和解 長野赤十字病院が4400万円 :無責任な管理者による安易な和解が医療崩壊を加速する
http://www.asyura2.com/0601/health12/msg/240.html
投稿者 どっちだ 日時 2006 年 9 月 21 日 15:30:59: Neh0eMBXBwlZk
 

http://www.chunichi.co.jp/00/ngn/20060920/lcl_____ngn_____006.shtml

医療過誤訴訟で和解
長野赤十字病院が4400万円

 長野市の男性会社員らが5年前、長女が生後10日で死亡したのは、長野赤十字病院(宮崎忠昭院長)が迅速な処置を怠ったためだとし、日本赤十字社(東京)を相手に慰謝料など約6000万円の支払いを求めた訴訟は、病院側が遺族に約4400万円を支払うことによって長野地裁で和解が成立した。

 訴状によると2001年3月、母親は「胎盤早期はく離の可能性がある」として長野赤十字病院に救急搬送された。医師らは当初「明確な所見はない」として経過を観察。その後、胎児の心拍数が低下したため帝王切開したが子どもは仮死状態で生まれ、死亡した。

 遺族は02年に提訴。病院側は全面的に争っていた。注意義務違反など過失責任は認めないとしながらも、手術までに時間がかかったことと、結果の重大性を認める内容の和解案で、今月14日に双方が合意した。
****** 中日新聞、2006年9月20日
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http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/09/__e3ba.html

ある産婦人科医のひとりごと
産婦人科医療全般、産婦人科医不足の問題、地域周産期医療の現状と未来、当医療圏の産科問題に対する取り組み。


2006/09/20
常位胎盤早期剥離による児死亡

コメント(私見):

通常、胎盤は児娩出後に自然に子宮から剥がれてきます。ところが、常位胎盤早期剥離という病気では、まだ胎児が子宮の中にいるのに胎盤が子宮から剥がれてしまいます。

胎盤が子宮から剥がれると、胎児への酸素の供給は突然ストップしてしまいます。剥がれる面積が小さいうちは胎児は何とか生きていますが低酸素のため弱ってきます。広い範囲で剥がれると胎児死亡となります。発症直後に胎児死亡となる例もめずらしくありません。胎盤後血腫のために母体の血液の状態が変化してDICという状態になると、血が止まらなくなり、出血のために母体の生命が奪われることもあります。

常位胎盤早期剥離は全妊娠の0.44〜1.33%程度に発症し、母体死亡率は4〜10%、児死亡率は30〜50%と言われています。自宅で発症した場合や他院からの母体搬送例では、来院時にすでに胎児死亡となっている場合が非常に多いです。

この病気で児が助かるかどうかは全くの偶発性に依存しており、手術の主な目的は母体の救命にあると考えています。

常位胎盤早期剥離がどの妊婦さんにいつ発症するかは全く予測できません。早急に無過失補償制度を整備する必要があると考えられます。

参考:

常位胎盤早期剥離について
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/01/post_754a.html

産科における無過失補償制度の創設
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/09/post_d6f6_5.html

****** 信濃毎日新聞、2006年9月20日

4400万円支払いで和解 新生児死亡訴訟で日赤と遺族

 長女が仮死状態で生まれ、10日後に死亡したのは長野赤十字病院(長野市)が所見を誤り迅速な処置をしなかったためだとして、両親が病院を設置する日本赤十字社(東京)を相手に慰謝料など総額約6000万円の損害賠償を求めた訴訟は19日までに、長野地裁で和解が成立した。双方によると、病院側が両親に和解金として4400万円を支払う。

 和解条項の補足説明の中で、帝王切開の決定に20分、分娩(ぶんべん)に40分の遅れがあり重大だ、と双方が確認。しかし、病院の注意義務違反が極めて悪質とはいえない、とした。

 和解について、○○さんは「完全に納得したわけではないが、主張の8割方を受け入れてもらった。今回の事故を今後の医療に生かしてほしい」とし、△△さんは「何を言っても子どもは帰ってこない。2度と繰り返さないで」と話した。

 一方、長野赤十字病院の宮崎忠昭院長は「過失はないと主張してきたが、最近は結果責任が問われる。訴訟が続けば双方の負担になる」と和解した理由を説明している。

 両親は2002年3月に提訴。訴状によると、△△さんは01年3月末、同市内の産婦人科医院で胎盤が子宮壁から離れる「胎盤早期はく離」の可能性を指摘され、長野赤十字病院に救急車で搬送された。同病院では経過観察になったが、その後、胎児(長女)の心拍が下がり、緊急で帝王切開手術をしたところ、仮死状態で生まれた。

(信濃毎日新聞、2006年9月20日)

****** 読売新聞、2006年9月20日

出産後に乳児死亡4400万支払いで和解

日本赤十字社

 生後10日で長女が死亡したのは長野赤十字病院(長野市)で帝王切開手術の開始が遅れたのが原因だとして、長野市の夫妻が日本赤十字社を相手取り、約6000万円の支払いを求めた損害賠償訴訟で、同社が4400万円を支払うことを条件に両者が和解したことが19日、わかった。

 この訴訟は、長野市の夫妻が2002年3月に長野地裁に提訴した。原告の夫(48)は「和解内容には必ずしも納得していないが、病院側はある程度の遅れがあったという責任を今後の診察に生かして欲しい」と話している。

(読売新聞、2006年9月20日)

**** Yahoo! 地域ニュース(SBC)、2006年9月19日

長野日赤出産医療ミス訴訟
病院側の和解金支払いで和解

出産の際の処置の遅れが原因で、5年前に長女が死亡したとして両親が病院に損害賠償を求めた訴訟は、病院側が4400万円を支払うことで和解したことが分かりました。

訴えによりますと、5年前に長女の○○ちゃんが、救急車で運ばれた長野赤十字病院で出産直後に死亡したのは、「胎盤が子宮からはく離し、赤ちゃんに酸素が届かない恐れがあったにもかかわらず、処置が遅れた」ためだとして、およそ6000万円の賠償を求めていました。

△△さんと病院は、きょうまでに「○○ちゃんが生まれるまでにおよそ40分の遅れなどがあり、結果は極めて重大なものの、注意義務違反の状況が極めて悪質とまではいえない」と互いに認めた上で、病院側が和解金4400万円を支払うことで和解が成立しました。

一方、長野赤十字病院では、「結果責任を重く受け止めています、今後、同じようなケースにも万全を尽くし、1人でも命を救えるように努力したいと思います」とコメントしています。

Yahoo! 地域ニュース(SBC)、2006年9月19日


コメント

確かに、早剥の場合は、golden timeは30分で15分以内が理想的とは言われているようですが...40分でも、「法的には」すでに遅いのですね。

前立ちの先生の確保、麻酔科医の確保、手術場のセットアップなどなど...そうこうするうちに、この程度の時間は過ぎてしまいそうです。

産科医の先生方の激務に、さらに拍車をかけそうですね。管理人先生もお体に留意しつつ頑張られてください。

投稿 befu | 2006/09/20 09:01

病院側が「○○ちゃんが生まれるまでにおよそ40分の遅れなどがあり、結果は極めて重大なものの、注意義務違反の状況が極めて悪質とまではいえない」ということを認めさせた所に、最後まで抵抗した姿勢が窺えますね。

ただ、やっぱりこれで病院側がお金を払うということになれば、産科医としては堪りませんね・・・。

投稿 やっぱり産科医 | 2006/09/21 07:00

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