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http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/09/post_d6f6_6.html
ある産婦人科医のひとりごと
産婦人科医療全般、産婦人科医不足の問題、地域周産期医療の現状と未来、当医療圏の産科問題に対する取り組み。
2006/09/17
大野病院医療事故:裁判所が争点初提示 初公判12月に (毎日新聞)
コメント(私見)
胎盤を剥離する際に、突然、大出血が始まって、その時点で初めて、『もしかしたら、これは癒着胎盤かもしれないぞ』と、執刀医は判断することができます。その際、執刀医は、まずは通常の止血の処置を試みて、どうしても止血ができない場合に限り、最終的に子宮摘出を決断することになります。
癒着胎盤であるかどうかは、摘出した子宮の病理検査によって初めて診断できます。癒着胎盤を強く疑い、子宮を摘出したが、摘出子宮の病理検査で癒着胎盤が否定されることもあり得ます。大量の出血が始まる前には、そもそも癒着胎盤と診断することは不可能です。
また、帝王切開では、1000〜2000ml程度の出血であれば、日常よく経験する通常の出血量の範囲であり、その程度の通常の出血量のうちに、いきなり子宮摘出を決断することは普通あり得ません。
助産師にろ、産婦人科医にしろ、分娩を取り扱っている以上は、取り扱う分娩件数の多少にかかわらず、いつ癒着胎盤の症例に遭遇するかは、全く予測できません。一生涯、遭遇しなくて済むかもしれないし、今日の勤務中にも遭遇するかもしれません。すなわち、プロとして分娩を取り扱っている以上は、どの妊婦も癒着胎盤の可能性があることを常に肝に銘じ、いつ癒着胎盤の症例に遭遇しても直ちに対応できる準備と覚悟が必要だと考えています。
トラックバック:
大野事件の続き... (いなか小児科医)
http://swedenhouse-oita.cocolog-nifty.com/pediatrics/2006/09/post_d324.html
大野事件、公判前整理手続き (今日手に入れたもの)
http://blog.so-net.ne.jp/kyouteniiretamono/2006-09-17
参考:
癒着胎盤で母体死亡となった事例
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/02/post_1b76.html
癒着胎盤について
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/03/post_ba84.html
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会:
県立大野病院事件に対する考え
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/05/post_42f3.html
****** 毎日新聞、福島、2006年9月16日
大野病院医療事故:
裁判所が争点初提示 初公判12月に
−−公判前整理手続き
◇第3回公判前整理手続き
県立大野病院で帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の第3回公判前整理手続きが15日、福島地裁であった。今回は裁判所から初めて争点についての考えが示された。手続き終了は11月となり、初公判は12月にずれ込む見通しだ。
手続きでは、裁判所から「胎盤の癒着がわかった段階で、大量出血を予見して剥離(はくり)を中止し、子宮を摘出すべきだったか」が主たる争点との考えが初めて示された。これについて弁護側は手続き後の記者会見で、「止血をするために胎盤をはがすことは臨床では当然のことで、出血を放置して子宮を摘出することは危険だ」と主張した。これに対し検察側は、「大量出血をする前に子宮を摘出すべきだと主張しており、(止血することが重要だとする弁護側の主張は)前提となる事実が異なっているように思われる」と話した。
次回は10月11日に行われ、弁護側が主張を記載した「予定主張等記載書面」を改めて提出する。11月10日に検察側が意見を述べて手続きを終了する見込みだ。【松本惇】
(毎日新聞、2006年9月16日)
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