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「子どもの肥満」が問題にされるのは、子供時代に肥満の状態だった場合、 大人になった時点でも肥満が継続してしまう傾向が有る為です。子供達に 肥満傾向が見えているのは先進国に共通する状況なのですが、カリフォル ニア大学の小児保健の専門家が、それを引き起こしているのは、近年増加 した食品産業の食料品だ、と主張しているそうです。
彼は、現在大量生産されている食料品には砂糖が大量に含まれ、繊維質が 少ない為、「Insulin(インシュリン)」のレベルが押し上げられ、食料 品についての選択権を持たない子供達が、否応なく肥満状態におしやられ ているのだ、と語っています。
米国の肥満状態が深刻なレベルになっている事は以前にも記事としてとり あげていますが、英国の子供達の4人に1人が既に肥満の状態に有るそうです。 現代の食物がよりグラム当たりで高カロリーになり、見た目にはそうは感じ られない量の食物から、過剰にカロリーを得てしまう事が、事態を悪化させ ているそうです。
日本の事が気になりますが、最も肥満割合高い小学校高学年男子が10%だそ うですので、幾分低いのかもしれません。日本の基本的な食事は未だに穀類 中心ですので、それが肥満抑制の点でプラスに働いているのかもしれません。 なお、日本の小児肥満の現状については、実際に治療を担当しているお医者 さんによる判りやすい資料を見つけたので、記事の最後に概略をまとめてあ ります。お子さんがいらっしゃる方は、原資料(HTML版)をぜひ読んでみて 下さい。
小児肥満の増加は、「中毒性」の有る、砂糖が大量に含まれた工業生産 食糧品への依存によって引き起こされている、と米国のある研究者が主張し ています
カリフォルニア大学・サンフランシスコ校の小児保健専門家のRobert・Lustig は、砂糖が大量に含まれ、繊維質が少ない食事が、ホルモンのバランスを 崩しているのだ、と語っています。
それは子供達が食べ過ぎることを意味する、と彼は「Nature Clinical Practice Endocrinology & Metabolism」の場で語っています。
太り過ぎもしくは肥満の状態に有る子供達の数は、米国と英国で増加しつつ あります。英国の子供達の4人に1人が肥満の状態に有るという事を、 今年の初めに公表された公式統計は明らかにしています。
また、2型糖尿病のような「大人」の病気も、子供達の間に姿を見せ始めて います。Lustig教授は、食品製造業が作り出した食べ物が、「中毒性の環 境」を作り出し、子供達が大樹超過に陥る運命を宣告したのだ、と語っています。
彼は、あまりにも大量の「fructose:fruit sugar(果糖」と、あまりにも 少ない繊維質の両方が、「Insulin(インシュリン)」のレベルを押し上げ る方向に働いているのだ、と付け加えています。
「Insulin」は、食事をとった後に身体の脂肪の蓄えから脳へと向かう信号 を阻害し、また満足を与える「dopamine(ドーパミン)」の急激な放出を 刺激する事によって、食べること促進するように脳に働きかけます。
選択肢は存在しない
Lustig教授は、食品製造業が過去の30年以上に渡ってそれを変えてきたの だ、と語っています。かつては糖分を持たなかった種々の食糧品に砂糖が 加えられています。また、多くの食糧品から繊維質が取り除かれている のです。それが「本質的に中毒性の」食料品を作り出しているのだ、と 彼は主張しています。
Lustig教授は、子供達はそのような不健康な選択肢を提供されているのだ から、子供達の食べ方が悪いのだと彼等を非難する事はできないかもしれ ない、と語っています。「personal responsibility(事故責任)という 概念は、子供達には維持できるものでは無いのです。子供達は、太って などいたくはないのです」、と彼は付け加えています。
「幼い子供達は、家庭や学校での食物の選択に責任を負いません。また、 肥満が目立ち始めている幼稚園の子供達が、それに対して自分で責任を 持つ事が出来る立場にある、などとはとうてい言えないでしょう。私達 が、それをなんとかしなければ、子供達は失敗し続けるでしょう」
「British Dietetic Association(英国栄養学会)」に所属するCatherine・ Collinsは、「現代の食事のエネルギー密度は、あなたの食事の為の皿の上 の非常に適切に見える量の食物によって、高いカロリーの食事を食べる事を 比較的容易にしている、という事を意味しているのです」、と語っています。
子供達は潔白だろうか?
「例えば、l50グラムのチョコレート・バーには、270キロカロリーが 含まれています。つましそれの「エネルギー密度」は、1グラム当たり 5.4キロカロリーなのです。しかし、同じ150グラムの重さを持つバナナ の持つカロリーは、140キロカロリーなのです」
「けれども私は、それぞれの子供、もしくは親が「潔白だ」と考えても 良い物かどうか迷っています」
子供の時代には、大人よりも体重1キログラム当たりにして、より高いエネ ルギーが必用とされる経口があるのです。それは、健康的な食欲として現 れてきます。また、Lustigは子供達が「自分の運命の主人」では無いと示 唆していますが、彼等は小遣いによって、ある程度まで彼等の食べる物を コントロールしています」
「私達は、子供達が小遣いを食料品以外の物に優先して使うように、彼等を 励まさなければなりません。もしくは彼等の食事と健康的な標準とを「 benchmark(比較)」してするように推奨しなければならないのです」、と 彼女は付け加えました。
訳補 : 子供の肥満
日本の小児肥満の状態を、久留米大学医療センター小児科の先生がまとめた 資料が有りましたので、小児肥満を治療する立場の医師からは状況がどのよ うに見えているのか、という事をご紹介します。
文部科学省の「平成15年度学校保健統計調査報告書」によると、子供達の うち肥満の傾向を持つ子供の数が、過去30年の間に3倍に増加しているそう です。
小児肥満を作り出している原因は、「食生活の乱れ」なのですが、周囲に ふんだんに食物が存在し、自分のお小遣いで購入する事も可能ですので、 特に油分や塩分の高いスナック菓子や糖分が多い清涼飲料水などから、過剰 なカロリーを摂取している可能性が高いそうです。
また、肥満傾向を持つ子供達は、脂っこい物、肉類、甘い物を好み、野菜が 嫌いだという共通点を持つそうです。現代の食事が柔らかい物中心になって いる事も、肥満傾向を増長しているようだと指摘されています。
「早食い」、「大食い」という部分も指摘されますが、それはきちんとした バランスの食事が提供されていない事によって起きている部分が有るそうで す。また、食事の時に「何かをしながら食べる」というのも満腹感を得られ にくくする悪い習慣だ、と指摘されています。
肥満度と、テレビ等(ゲームを含む)の視聴時間にも、正の相関が有るそう です。まあ、人間の時間はみんな24時間しかありませんので、テレビに時間 をとられれば、その分身体を動かす時間が減る、という事は自明です。また、 長時間のテレビ視聴によって、言葉の発達が遅れたり、夜更かし、睡眠不足 による生活習慣の乱れが肥満を加速している事も懸念されています。
運動不足も、顕著になっているそうです。これには1960年代に「テレビっ子」 だった世代が、今「親」になっていて、既に親世代が身体を動かす遊びを知 らない世代だ、というのも影響していると語られています。社会環境の変化も 有って、「遊び」というものが変化してしまった部分の肥満への影響は大きい そうです。
例えば、「教室」の人間関係は同年齢だけのものですが、昔は遊ぶ時は、 年齢の幅が有る程度存在していた雑多な集団が形成されていましたので、 「人付き合い」についても自然と学ぶ事になっていました。社会の環境が 変わって、遊ぶための場所も、遊ぶ為の時間も、遊ぶ為の友達もいなくな ってしまった事は、多分とても大きな変化だったのだろうと思います。
文書は、「親の食生活を変えれば、子どもの食生活も変えられるのである。 ぜひ、子どもの健康・成長のために、親がまず生活習慣を改善する努力を していただきたい」、と結ばれている。
特に小さい子供は自分では食べるものを選べないのだから、大人が気をつけ るべきだというのは当然の事だと思えます。また、判断力の劣る子供を補助 するのは、より多くの知恵によってそれを見ることが出来る大人の責務だと も思います。実は肥満の指導を受ける必用が有るのは、子供達にまともな食生活 を与えてやれていない肥満児の親達の方なのかもしれないですね。
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