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(回答先: 加藤医師業務上過失致死裁判に関する弁護団のコメント (公判前整理手続き時の報道関係者向けプレスリリース) 投稿者 どっちだ 日時 2006 年 7 月 30 日 02:01:24)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/20060526ik04.htm
(4)日本の制度不備を痛感
大野病院事故 医師逮捕に驚きの声
「えっ、それで医師が逮捕されるの?」
ワシントンの政府系医療機能評価機関の主任研究員、デボラ・クイーンが驚きの声を上げた。日本の福島県立大野病院で今年2月、帝王切開の手術中に女性患者(当時29歳)が失血死し、産科医が逮捕された事件を説明した時のことだ。
「医療過誤に刑事罰はなじまない」「逮捕の基準、異状死の届け出の基準が不透明だ」という医師団体などの従来の主張に、「たった1人の産科医が不在になれば地域医療が崩壊する」という要素が加わり、医療従事者の間で波紋が広がっている。
――そうした日本の事情を説明すると、クイーンは混乱した表情で、こう口にした。「なぜ、そんな分かりにくい制度や状況を放置しているのですか」
同じ言葉を、多くの医療関係者から聞いた。
◎
米国では、医療事故が刑事事件になることはきわめてまれだ。
病院での不審な死については、具体的な届け出の基準があり、専門職が解剖の適否を判断する。解剖して初めて医療過誤が発覚した場合も、検察側に連絡する義務はなく、通常は担当者の判断に任せられるという。解剖結果の情報は基本的に閲覧が可能。民事訴訟に使うことができ、州ごとのボード(専門家委員会)がこの結果を判断材料にすることもある。
大野病院の例のほか、患者の取り違え事故、先端技術を駆使した手術でのミスなど、日本で刑事処分の対象になるケースの対応について、医療制度に詳しいボルティモア大のアラン・ライズ教授に尋ねると、「医師は免許を失い、民事で訴えられるだろう」という答えが返ってきた。
米国の行政処分は厳しい。2000年の統計では、約70万人の医師のうち、免許取り消し1642人、免許停止745人、戒告・けん責1014人。免許取り消しだけでも日本の過去35年の累計の33倍に当たり、医師数が日本の3倍弱であることを考慮しても多い。
「行政処分が日本の刑事処分に近い懲罰的な意味を持っている。それでも『医師に甘すぎる』という国民感情がある」と、ライズ教授は付け加えた。
◎
日本では、「医療事故だけを業務上過失致死罪から除外する理由はない」とする法曹界と、反発する医療界の“溝”が埋まらない。
昨年、法医学、病理、臨床の3者が解剖と検証、評価を行うモデル事業が始まったが、過失の評価や公表の方法について明確な基準を出せずにいる。
「なぜ、県ごとにボードを作らないのですか。警察に頼らない事故検証と懲罰の仕組みを作らなければ、医療はダメになりますよ」。自由主義を掲げ、規制の強化には基本的に反対の立場であるはずの民間研究機関「ケイトー研究所」の担当者でさえそう懸念するのを聞き、日本の制度設計の遅れを強く感じた。(敬称略)
(2006年5月26日 読売新聞)
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