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株主の方を向いた経営(3)配当――米企業に比べまだまだ(目からウロコの投資塾)
2006/09/07, 日本経済新聞 夕刊, 11ページ, 有, 850文字
株主の方を向いた経営といっても、多くの日本企業は独立取締役中心の企業統治への転換を嫌がっています。では、株主への配当という「実」を増やすことには積極的なのでしょうか。二〇〇五年度は上場企業(新興市場を除く)の半分近くが増配か復配をしました。東証一部上場企業の配当総額は約五兆五千億円と過去最高になりました。
東京証券取引所が公表している金融を除く三月期決算企業だけの長期統計を基に、上場企業の株主配分姿勢の変化を考えてみます。〇六年三月期の配当総額は三兆九千五百八十一億円と前年度に比べて二五・三九%増加しました。
〇五年三月期も前年度比二五・八増の三兆一千九百三億円でしたので、二期連続の大幅増です。一九八〇年代の一兆円程度から見ると様変わりです。ほかに上場企業の自社株買いが六月までの一年間で四兆五千六百億円ありました。
消却せずに金庫株として持つだけならば、本当の意味での株主配分ではないとの指摘もありますが、自社株買いの情報だけでも株式市場は好材料だと受け止めます。ちなみに六月までの一年間で消却した自社株は一兆一千百億円でした。
配当が多ければ多いほどいいのかどうかは、議論が分かれるところです。米マイクロソフトは八六年の上場以来、〇二年まで無配を続けました。利益を事業や研究開発に再投資した方が、株主には株価上昇の形でより大きく報えると考えていたからです。
ただ、最近では成長企業でも適度な配当を出した方が、個人投資家などより幅の広い投資家層に株式を保有してもらえる効果があるといわれています。
日本企業の配当は十分なのでしょうか。東証一部上場企業は二百八十兆円の純資産をもとに事業を展開して、その八・九%(自己資本利益率)に当たる二十四兆八千億円の純利益を稼ぎ、その二二・五%(配当性向)に当たる五兆五千六百億円の配当を株主に払っています。
米国企業(主要五百社)は純資産が日本の一・七倍なのに配当総額は約四・四倍。日本企業の配当が「まだ」か「もう」かを問われれば、「まだまだ」です。