★阿修羅♪ > 国家破産47 > 635.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□格差広がるアメリカ社会 [PJニュース]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2424880/detail
格差広がるアメリカ社会
【PJニュース 09月09日】− アメリカ経済はここ数年、景気の後退から抜け出して力強い成長を続けてきた。2004年と2005年の年間経済成長率は3%を超えるものだったが、今年の第一四半期には年率5.6%に上昇した。しかし、その後は年率2.9%の水準に戻っている。
EPI(経済政策研究所)の新たな調査によれば、今までのところ、平均的な働き手のアメリカ人は成長のおこぼれに与っていないようだ。実際の家計収入の中央値(半数の家庭はそれ以上稼ぎ、残りの半数の家庭はそれ以下の稼ぎという水準)は過去5年にわたり本当のところ下降している。この数字は経済成長が仕事と収入をかさ上げした1990年代とは対照的だ。顕著な仕事や収入の増加を伴わずに経済が拡大するということはアメリカのエコノミストや解説者を悩ませている。9月4日付BBCNewsのウエブサイトはこう伝えている。
上がらない賃金
EPIの研究員は「経済成長と生活水準の前例を見ない乖離は今日の経済的な課題である」と話している。2000年から2005年までの5年間でアメリカ経済の規模は9兆8000億ドルから11兆2000億ドルと実質14%伸びた。労働生産性も16.6%も伸びたが、同期間の家計収入の中央値は2.9%減少し、1990年代後半に記録した11.3%の伸びとは対照的だ。
アフリカ系やラテン系のアメリカ人家計での収入の減少はさらに著しい。労働市場への新規参入は厳しい状態となっている。大卒と高卒の時間当たりの賃金は2000年と2005年の間に実質的に下降し、実際に仕事が見つかっても健康保険や年金があるところは数えるほどだ。完備した賃金体系を提供していないアメリカ経済の実際が、一般市民がブッシュ政権の経済政策を支持しない一因となっている。ギャロップの世論調査によれば、ブッシュ政権の経済運営を支持しているのはわずか37%で、70%が経済状態は悪化していると答えている。こうした数字は11月に行われる中間選挙に大きな影響を与えることとなろう。
儲けはどこへ行ったのか?
何が起こっているかを理解する一つの方法は利益と賃金の乖離を考察してみることである。企業利益は2000年の17.7%から2005年には20.9%と大幅に上昇をみたが、賃金の方は記録的に低かった。一方、失業者ないしは労働を求めない者といった労働力の大きな部分は経済成長から取り残されたままだ。経済の回復にも拘わらず、失業率は高いままで、2000年末の4%に比べ最近の数字は4.7%となっている。過去5年間の雇用者数の増加は1.3%に過ぎない。1990年代には、雇用者数の増加がほぼ12%に達したので、これが同時期の収入増につながったものといえる。
増大する格差
仕事についているものでさえ、労働市場のなかで経済成長の分け前は同等に配分されていない。上位20%のものの収入は中間以下の層のものより大幅に収入が増えている。上位1%と0.1%のものは特に増加が著しい。1992年から2005年の間に、主要企業のCEOの報酬は186%増加した。同期間の時間当たりの賃金の伸びは7.2%だったが、CEOの収入の比率は平均的な労働者のそれの262倍となる。1960年代にはそれは24倍に過ぎなかった。
ブッシュ政権は資本取引に関わる税金を引き下げたが、これが格差を広げるのに寄与したのではないかという議論がある。しかし、減税は経済回復に不可欠で、より多くの仕事と高い賃金はGDPの成長によってもたらされると政府は主張している。さらに、減税によって投資が刺激され生産性が上がり、アメリカは世界経済のなかで競争力を維持できると言っている。
どうして賃金が上がらないのか?
EPI報告の著者は、低い最低賃金、力を弱めた労働組合、そしてブルー・カラーおよびホワイト・カラーの仕事の海外への流出などが労働市場の問題を解き明かすと主張している。確かに、連邦政府の最低賃金は、過去10年間、変わらないが、賃金に対する圧力はおそらくそれ以外のところにある。
一つは移民だ。彼らは未熟練労働市場に大きな影響を与える。もう一つは「中国効果」だ。価格の安い工業製品がアメリカ産業をして労働生産性を上げるため労働力を削減せしめている。連銀の議長、ベン・バーナンケは、最近、グローバリゼーションは勝者と同じく敗者を生んだということを認めている。「それが大きな生産性の向上をもたらしているとしても、製造パターンの変更は労働者と一部の企業の収益に脅威をもたらしているようだ」と彼は話している。
政治家にとって、平均的な家庭が、将来、経済成長から出来るだけ多くの分け前をどうしたら得られるようにするかを理解しようとすることが今年の中間選挙の大きなテーマの一つとなろう。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJニュースはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 宇田川 正昭【東京都】
この記事に関するお問い合わせ
パブリック・ジャーナリスト募集
2006年09月09日07時04分