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【経済面】2006年08月29日(火曜日)付
和解協議、再び平行線 三菱UFJvs.住信
住友信託銀行が、信託部門売却の基本合意を守らなかったとして、旧UFJホールディングス(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)を訴えた損害賠償請求訴訟の控訴審が、28日の第2回口頭弁論から東京高裁の勧告による和解協議に入った。大企業同士の合併・買収(M&A)の破談が初めて法廷に持ち込まれた裁判の焦点は、決裂した一審の和解協議と同様、和解金額の多寡に移った。だが、核心部分となる「独占交渉義務違反」の損害見積もりを巡っては対立が解けておらず、弁論も並行して続けられる。
宮崎公男裁判長は28日の口頭弁論で、「早期に紛争解決するということで、話し合いをしていただきたい」と発言。弁論後、裁判長の勧告で両者は和解協議に入った。
100億円の損害賠償を求める住信側に対し、旧UFJ側は賠償には応じないとの立場を崩さず、9月の次回協議までに両者が対応を検討することになった。ただ、両者とも早期決着を求めており、和解協議の行方は和解金を含めた条件次第といえる。
和解協議に先立つ口頭弁論で、住信側は裁判所から求められた損害の範囲と内訳について明らかにした。統合に向けた外部の専門家への委託費2億8千万円や、統合作業にあたった従業員が稼ぐはずの利益6億7千万円、旧UFJの独占交渉義務違反で被った損害116億8千万円など計147億5千万円と主張。このうち、100億円を請求するとした。
これに対し、旧UFJ側は「独占交渉義務は失効しており、損害賠償の責任はない」と反論。買収準備にかかった実費も、住信の負担が当然として請求棄却を求めた。
旧UFJは04年5月、信託部門を約3千億円で売却する基本合意を住信と交わした。ところが、信託部門を売却しても本体が9月末決算で危機的状況を回避できないという見通しが強まり、同年7月になって住信との合意を白紙撤回。旧三菱東京フィナンシャル・グループとの経営統合にかじを切った。
このため、住信は、統合が実現した場合に得られたはずの利益の一部の1千億円を賠償するよう請求した。東京地裁の提案で、両者は和解を協議したが決裂。今年2月の一審判決は「一方的な白紙撤回の通告などでは、旧UFJ側の独占交渉義務は消滅していない」としたが、統合の最終契約を結ぶ義務については認めず、住信の訴えを棄却した。
住信は東京高裁に控訴したが、焦点を統合の最終契約が結べると期待した利益の侵害による損害に絞り、請求額を100億円に減額した。5月にあった初の控訴審で、東京高裁は和解による決着を探る可能性を示唆していた。
一審判決は、土壇場になって信託部門の売却を撤回した旧UFJ側の契約意識の甘さも指摘した。国内にも本格的なM&A時代が到来するなか、大手銀行再編を巡る控訴審の行方が今後のM&A契約のあり方などに与える影響は大きい。
◇ ◇
◆住友信託銀行と旧UFJをめぐる動き
04年5月・住友信託への旧UFJ信託の売却を発表
7月・旧UFJが住友信託に旧UFJ信託売却の白紙撤回を正式に申し入れ
・旧UFJが旧三菱東京との経営統合の交渉入りを発表したのに対し、住友信託が交渉中止求め東京地裁に仮処分申請
・東京地裁が交渉中止の仮処分を決定。旧UFJが東京地裁に異議申し立て
8月・東京地裁が異議を却下、旧UFJが交渉再開のため東京高裁に抗告
・東京高裁が旧UFJの抗告を認め、旧UFJが旧三菱東京との交渉を再開
・住友信託が最高裁に特別抗告し、最高裁への許可抗告を東京高裁に申請
・旧UFJが旧三菱東京と経営統合の基本合意を締結
・東京高裁が住友信託の許可抗告を認める決定
・最高裁が住友信託の特別抗告と許可抗告を棄却
10月・住友信託が旧UFJと旧三菱東京との統合交渉差し止めを求め提訴
05年2月・旧UFJと旧三菱東京が統合契約を締結
3月・住友信託が交渉差し止めに加え、損害賠償1千億円を請求
10月・旧UFJと旧三菱東京が統合し、三菱UFJフィナンシャル・グループが誕生
11月・住友信託が統合差し止め請求の取り下げを表明、請求を損害賠償に一本化
06年1月・三菱UFJ傘下のUFJ、東京三菱の両銀行が合併、グループ統合が完了
2月・東京地裁判決、住友信託の損害賠償請求を棄却
5月・東京高裁で控訴審スタート
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