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積立比率、5年で16ポイント低下
米主要都市の公的年金基金の積み立て不足が深刻になっている。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が全米二十の主要都市の地方自治体年金基金の年金積み立て状況を調査した結果、〇五年末時点の積立比率は平均八四・〇%と、一〇〇%近かった二〇〇〇年末(九九・八%)に比べ大幅に低下した。〇一―〇二年の株価低迷の影響からいまだ脱し切れていない実態が浮き彫りになった。
S&Pの集計は人口規模で全米上位二十都市が対象。積立比率は年金資産を年金債務で割って算出、将来の年金を支払うために現時点で確保しておくべき金額がどれだけ資産として確保できているかを示す。
それによると、〇五年末時点で比率がもっとも低かったのは、フィラデルフィアの五三・〇。次いでボストン(六三・三%)、シカゴ(六四・五%)の順だった。
逆に比率が高かったのはミルウォーキー(一一六・七%)、サンフランシスコ(一〇三・八%)、ニューヨーク(九九・六%)など。ただ、いずれの都市も〇〇年時点から比率は低下した。
比率低下は〇一―〇二年の株式相場の低迷の影響が大きい。S&P五百種株価指数はそれぞれ一六%、一九%の大幅下落に見舞われた。通常、公的年金の運用資産の四〇―五〇%程度は米国株に振り向けられるため、そのあおりを受けた形。S&Pによると、公的年金は試算の目減り幅を五年以上かけて各年に均等にならす慣習があり、〇一―〇二年の株価低迷による損失が〇五年まで影響を及ぼす形になったという。
長寿化や給付金引き上げに伴って年金債務が拡大したことも積立比率の低下につながった。
自治体ごとに比率が大きく異なるのは積み立て不足を債券を発行して補うなどの運用手法の違いを反映した。債券発行は、その金利が年金運用で振り向けた債券投資の金利を下回ることを見込んで実施する。デトロイトやダラスなどがそうした手法で高水準の比率を維持したという。
S&Pは「〇六年には〇二年度までの損失の影響の大半が出尽くすため、相場が上向けば比率改善に向かう可能性がある」とみている。ただ「比率を一〇〇%に保つために必要な長期的な目標運用利回りである八%程度を確保するのは、運用担当者にとっては試練」とも指摘している。
(ニューヨーク=伴百江)