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http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2005_11/eu_01.htm
積極的労働市場政策は、低成長下でも就業率の上昇に寄与
経済成長はそれ自体、直接雇用を増加させるものではなく、就業率の上昇には雇用政策と積極的労働市場政策との適切なミックスが不可欠――。欧州連合(EU)欧州委員会が10月19日に発表した報告書「欧州の雇用(2005年)」は、低い経済成長率にもかかわらず、EUの就業者数が2004年には前年の2倍の0.6%増加。欧州雇用戦略に基づく雇用政策により失業率は前年と同じ9%に留まったと分析する。生涯学習、技能訓練への投資、個人的なキャリア指導などの積極的労働市場政策は、人々の労働市場への復帰に寄与する。
積極的労働市場政策が奏功
報告書は、「積極的労働市場政策に投資する加盟国は、失業期間の短期化、迅速な求人の充足、より目標を絞った訓練に対する投資の拡大、市場状況により適合した給与などを生み出し、その結果、パートタイム労働や有期雇用契約などのより柔軟な雇用形態が増加している」と指摘する。
若年者に対する職業紹介、職業訓練などの積極的労働市場政策は、当該対策予算を増やし、より対象を絞って実施したオランダ、デンマーク、アイルランド、スウェーデン、ベルギーにおいて成功を収めた。
EU全体における進展の度合いは、加盟国地域間および加盟国間(特に新旧加盟国間)で異なる。例えば、スペインは、所得格差の縮小が最も進展し、逆にポーランドでは、格差が最も拡大した。欧州統計局(Eurostat)によると、2004年のEUの地域別失業率には2.4〜32.8%もの幅があった。
失業率は緩やかに改善
1995〜2004年のEU15カ国の構造的失業率をみると、イギリス(3%)、ギリシャ・スペイン・フランス・イタリア・フィンランド(2%)で顕著に低下し、全体の失業率の緩やかな低下に貢献した。
1997〜2004年に、新規加盟国の構造的失業率は5.5%上昇。特にリトアニア、ポーランド、スロヴァキアにおいては8.5%上昇した。他方、スペイン、アイルランド、イタリア、ラトヴィア、ハンガリー、フィンランドでは、長期失業率が2%以上低下した。
2004年のEUの非労動力人口は9200万人で、失業者は1900万人であった。報告書によると、非労働力人口9200万人のうち、少なくとも14%(1300万人)が就職を希望していたという。
EU平均の15〜64歳の非労働率は30%であり、これらの人々は、働きもせず失業者登録もしていない。彼らは、教育訓練、家事、障害のため又は仕事をさがしていないために労働市場の枠外に置かれている。また、非労働力率が高い地域では単純に仕事が少ないために、多くの人々が職に就くことができない事情もある。
欧州では1970年以降、全体として所得格差が拡大する兆候はない。ただし国ごとには差異があり、イギリス、ポーランド、デンマークなどでは、1990年代に所得格差が拡大し、フランスなどでは縮小した。
所得格差と労働市場や経済実績との間には、明確な関係が認められない。例えば、所得格差が最も低いスカンジナビア諸国は、良好な経済と労働市場の実績を示している。
2004年のEU25カ国平均の就業率は、全体63.3%(対前年比0.4%上昇)、女性55.7%(同0.7%上昇)、高齢者(55〜64歳)41.0%(同0.8%上昇)となったが、リスボン戦略の2005年の就業率目標である全体67%、女性57%、高齢者50%には達していない。
なお、若年者の失業率は、全体の失業率の約2倍となっている。