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解けぬインフレ警報
米利上げ 見送り
米連邦準備制度理事会(FRB)が八日、二年二カ月にわたった連続利上げを休止した。景気減速が背景にあるものの、エネルギー価格は高騰しており、米経済のインフレ懸念は根強い。米国の金融政策運営に不透明感が出てきたことで、復調してきた日本など世界経済の先行きを心配する声も上がり始めた。 (ワシントン=久留信一、経済部=鈴木宏征)
八日午後のニューヨーク株式市場。利上げ休止を伝える速報が流れると金利上昇打ち止め期待から買いが先行したが、最終的にダウ工業株三十種平均は前日比四五・七九ドル安で終わった。
しかし、利上げ休止に対する市場の反応は比較的冷静だった。市場関係者の多くが、この日の休止を事前に予測していたためだ。
「米国経済の成長は以前より緩やかになっている」。七月十九日、FRBのバーナンキ議長は米上院銀行委員会で証言し、景気減速に言及した。証言を裏付けるように、その後も今年四−六月期の国内総生産(GDP)実質成長率が前期比で3・1ポイント低下するなど減速を表す数字が続いた。
資産効果を通じて米経済をけん引してきた住宅市場には陰りがみえる。車社会の米国人の財布を直撃するガソリン価格も先行き高止まりする可能性が濃厚。二〇〇四年六月に始まった利上げは連続十七回、上げ幅は4・25%に及ぶが、これ以上の利上げは景気失速につながりかねず、休止のタイミングに市場の抵抗は薄かった。
問題は物価上昇への対応だ。高騰を続けるエネルギー価格は、原油の世界的な需要が引き続き旺盛な一方、中東情勢の悪化など地政学的リスクも抱え、大きなインフレ圧力となっている。
FRBはインフレ懸念が強まれば利上げを再開する姿勢も同時に打ち出したが、市場では逆に景気腰折れに備えた利下げを予想する見方も浮上。金融政策運営の先行きに一気に不透明感が広がってきた。
九日付の米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、景気軟着陸とインフレ抑制の両立を狙うFRBの政策運営について「エコノミストの多くは成功しないだろうとみている」と悲観的論調を掲げた。
「インフレ目標論」を持論とし、物価の番人としての役割を強く期待されて登場したバーナンキ議長。グリーンスパン前議長と同様、世界市場の信頼が得られるのか。今後数カ月間の政策運営が試金石となりそうだ。
■日銀『成長』シナリオに影響も
米国の利上げ休止は日銀の金融政策、とりわけ注目される年内追加利上げにどんな影響を与えるのか。市場関係者の見方は二つに分かれている。
「追加利上げは一層困難になった」と強調するのは、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト。「今回の米利上げ休止は、世界経済の転換期を示す象徴的な出来事。米国の景気減速に連動して日本も輸出減少などを余儀なくされ、『息の長い成長が続く』という日銀のシナリオも狂う」とみるためだ。
これに対し、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは「日銀は最近、『やれるうちに利上げする』というスタンスになっている。米経済が大きく鈍化しないと確認したうえで、十一月か十二月に追加利上げを行う」と予測する。
市場には「年内利上げなし」の観測もなお根強いため、日銀は先月下旬以降、福井俊彦総裁らが年内利上げを排除しない考えを相次いで表明。金融政策の自由度を確保することに躍起だ。
いずれにせよ、今後の米経済の動向が日銀の政策を左右する可能性も十分ある。
十月に発表される七−九月期の米GDP速報や、日銀の企業短期経済観測調査(短観)など日米の重要指標と、それらを受けた日銀幹部の発言に注視する必要がありそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060810/mng_____kakushin000.shtml