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http://www.nantoeri.or.jp/riji/0206rijiheya.htm
貯蓄より消費を
資本主義経済においては、生産したモノは買ってもらわなければならないし、貯蓄した金は借りてもらわなければならない。ところが、日本では、みんなが自分だけは過剰に生産して貯蓄しようと企てる。
1980年代までの日本は、過剰に生産したモノを海外で売りさばき、貯蓄を生産設備の拡充に使い、さらに海外に売りさばくという循環によって繁栄してきた。しかし世界最大の個人金融資産を持つに至った国は、同じ方法で繁栄を続けることは出来ない。海外に売りさばくことが出来なくなった90年代以降、過剰な生産は急増する政府財政支出によって吸収されるようになった。巨額の国債残高は日本の政府部門の消費が過剰となった結果である。裏を返せば民間部門の過小な消費を、政府部門が公共事業によって補ってきたのである。
日本の経常収支は、年に10兆円規模の黒字を計上している。経常黒字は、国内の生産活動が消費に対して過剰な分だけ輸出が輸入に勝り、過剰な貯蓄が生ずる現象である。つまり、日本の財政赤字と経常黒字は、ともに、民間部門の過剰貯蓄が形を変えて現れたものである。
私たち日本人は、相対的に、稼いだ金を充分消費していない。その結果1400兆円もの個人金融資産を持つに至った。日本人は世界のどの国民よりも金持ちである。日本の経済規模が小さい間は、生産したモノを世界中で販売し、金を貯め込むことに専念しても、世界経済のバランスは崩さなかった。
今は違う。世界第2位の経済大国となり、その財政赤字と経常黒字は、世界経済を揺るがす波乱要因となる不均衡を蓄積している。この不均衡の裏にはアメリカの経常赤字が存在している。アメリカは貯蓄率がマイナスになるほど過熱した民間の消費部門が世界中で生産されるモノを買い集めているのである。
膨大な消費を可能にする経常収支赤字を支えているのが日本の過剰貯蓄である。そして現在日本の財政赤字もアメリカの経常赤字もすでに危機的な規模に達してしまった。日本とアメリカの経済は、抜き差しならない相互依存の関係にある。もはや、別々の国であることが不思議なほどである。このまま1つの国になるのでない限り、現在の極端な不均衡は、いずれ是正されざるを得まい。
今や私たち日本人は、貯めこんだ金を、日本政府やアメリカ人に委ねるのでなく、自ら消費しなければならないのである。もし買いたいモノがなければ、生産と貯蓄を減らさなければならない。
(この項次回に続く)
(柳谷 勝美;センター月報2002年6月号掲載)