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【経済面】2006年08月01日(火曜日)付
民営郵政、真っ向競合 グループ経営計画 地銀、猛反発
郵政民営化を準備する日本郵政は、31日発表したグループの経営計画で拡大路線を明確に打ち出した。経営体質の弱さを拡大によって補い、競争力を高める戦略だ。地方銀行などと真っ向から競合する事業が多く、激しい摩擦が予想される。
新しい郵政グループの姿
住宅ローン、クレジットカード、中小企業向け融資、信託、医療保険などの保険商品開発……。民営郵政の業務内容はどれも既存の銀行や生命保険会社とぶつかる。「ゆうちょ銀行」は国内最大の三菱東京UFJ銀行を、「かんぽ生命保険」は日本生命を資産で上回る。その巨大さを生かして事業を広げる考えで、議論の当初にあった「公的金融の適切な規模縮小」はそっちのけだ。
ゆうちょ銀は、民営化後も数年は政府が大株主で、圧倒的な信用を背に地銀の領域を侵食しかねない。瀬谷俊雄・地銀協会長は31日、「業務肥大化に強い危惧(きぐ)を覚える」との談話で猛反発した。
路線を巡っては郵政内部に意見対立があった。
「郵政のビジネスモデルはお寒い限り」との危機感をもつ西川善文・日本郵政社長は拡大を唱えた。ゆうちょ銀の直営店は「1千店以上必要」と主張し、郵貯の預け入れ限度額の撤廃も求めた。ゆうちょ銀の資産は世界最大だが、運用はほぼ国債一辺倒で、今後の金利上昇(債券価格の下落)局面で大きなリスクを抱える。企業融資ができる人材やノウハウもない。
一方、生田正治・日本郵政公社総裁は、無制限な拡大には「民営化の趣旨からすれば抑制的であるべきだ」と慎重さを求めた。国会でも噴出した「巨大な官業がそのまま競争に乗り出せば市場が混乱しかねない」との懸念に配慮したからだ。
竹中総務相は31日の記者会見で「民間と同じ環境でしっかり競争すれば国民の利便性が増す。ゆうちょ銀行の資金量は今後(自然に)減るわけで、規模は縮小していく」と肥大化批判に反論。ただ、総務省幹部は「民間会社に、あの事業はだめ、とは言えない。民営化の制度設計が不十分なところに原因がある」と言う。新規事業の参入の可否は、政府のチェック機関である郵政民営化委員会が決める。
◆出身省庁の意向背景に? 4事業会社に「社長」
日本郵政は4事業会社に最高執行責任者(COO)を「社長」の肩書で置く。ゆうちょ銀行に高木祥吉・日本郵政副社長を、かんぽ生命保険に山下泉・日本郵政公社総裁代理執行役員を、郵便局会社に寺阪元之・スミセイ損害保険社長を、郵便事業会社に団宏明・日本郵政副社長をそれぞれ起用する。民間出身者の起用が決まっている4社の最高経営責任者(CEO)は「会長」となる。
4人の社長起用の背景には金融庁や総務省、日本郵政公社などの主導権争いも見え隠れする。民営化後に金融庁の監督下に入るゆうちょ銀の社長に前金融庁長官の高木氏が、郵便事業会社社長に旧郵政省出身の団氏がそれぞれ登用されたのは「出身母体の意向が反映された」との見方もある。
◇ ◇
●ゆうちょ銀行社長
高木 祥吉氏(たかぎ・しょうきち)東大法卒、71年大蔵省(現財務省)に入り、02年7月から金融庁長官。06年6月から日本郵政副社長。58歳。
●かんぽ生命保険社長
山下 泉氏(やました・いずみ)東大経卒、71年日本銀行入行、金融市場局長を経て、02年アクセンチュアに移る。03年から日本郵政公社に移り、05年4月から総裁代理執行役員。58歳。
●郵便局会社社長
寺阪 元之氏(てらさか・もとゆき)京大理卒、69年住友生命保険に入り、常務、専務などを経て、04年4月からスミセイ損害保険社長。59歳。
●郵便事業会社社長
団 宏明氏(だん・ひろあき)東大法卒、70年郵政省(現総務省)に入り、03年1月から郵政事業庁長官、同4月から日本郵政公社副総裁、06年6月から日本郵政副社長。58歳。
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