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【製紙 再編】思惑買い…北越株急騰
王子製紙が北越製紙に対して株式公開買い付け（ＴＯＢ）による経営統合を申し入れた問題は、株式市場でも注目を浴び、関連株価に大きな影響を与えている。ＴＯＢを突きつけられた北越の株価は急騰。業界再編への思惑が先行して製紙株は総じて上昇した。ただ、本当に王子がＴＯＢを実施するかどうかは流動的な部分があり、市場も再編劇の先行きを見守っている。（原口和久）
王子がＴＯＢ実施の方針を発表した直後の２４日、東京株式市場では北越株に買い注文が殺到した。王子が北越株のＴＯＢ予定価格を１株８６０円と表明したためで、この日は結局、値幅制限上限まで上昇（ストップ高）して前週末比１００円高の７３５円。値上がりは翌日も続き、一時８３０円まで急騰した。２８日の終値は８０２円。
ＴＯＢの場合、買収者は通常、買収対象となる企業の株価に一定額のプレミアムを乗せてＴＯＢ価格を決める。時価よりも高値で買い取るため、株価はＴＯＢ価格との差を縮小（サヤ寄せ）する形で上昇する。
さらに敵対的な買収の場合には、被買収企業側に友好的な買収者（ホワイトナイト）が登場して、より高いＴＯＢ価格を提示することも想定される。こうした思惑が加わって、ＴＯＢ銘柄は投資家の買いを大量に集めることになる。
たとえば、弁当・総菜屋チェーンのオリジン東秀の買収合戦では、ディスカウントストア大手のドン・キホーテが今年１月、敵対的なＴＯＢを実施。ＴＯＢ価格を２８００円とした。その後、オリジン側の要請に応じる形で大手スーパーのイオンが３１００円でオリジン株のＴＯＢを行い、株価は２段階で急騰する格好となった。
ただ、今回の王子、北越のケースでは、王子によるＴＯＢは条件付きで現時点では確実に実施されるかどうかも明確になっていない。
ある市場関係者は、「ＴＯＢへの思惑で買ったものの、場合によってはハシゴを外される恐れもある。（将来の売り圧力となる）信用買い残も急増しており、次の動きが出てくるまで投資家は先行きを見守ることになるだろう」と警告している。
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■三菱商事副社長「増資は予定通り」
三菱商事の水野一郎副社長は２８日の決算発表記者会見で、王子製紙から経営統合を提案されている北越製紙の第三者割当増資について、「機関決定しており、方針は変わらない」と述べ、予定通り引き受ける考えをあらためて表明した。
王子は北越株の公開買い付け（ＴＯＢ）実施の条件として増資の撤回を挙げており、北越と三菱商事の対応が注目されている。
水野副社長は「経済合理性を考えて（増資引き受けを）判断した。それなりの株を持っていることに意味がある」と指摘。資本関係を結ぶことで北越との提携も成果が出せると訴え、予定通り８月７日に約３００億円を払い込むとの考えを示した。
水野副社長は「（友好的な買収者である）ホワイトナイト（白馬の騎士）をやる気もない」と述べた。３者の間で話をまとめる可能性については、「そういうつもりもない」と否定し、静観する姿勢を強調した。
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■財界でも話題の的 日本経団連が夏季フォーラム
２日間の日程で静岡県小山町で開かれた日本経団連の「夏季フォーラム」が２８日終了した。御手洗冨士夫会長（キヤノン会長）の就任後、初めてのフォーラムは「日本の原点を見直す」がテーマ。環境問題や経済構造改革など、新たな日本の在り方をめぐって意見交換した。
フォーラム会場では、王子製紙による北越製紙に対する敵対的株式公開買い付け（ＴＯＢ）問題も話題となった。
新日鉄の三村明夫社長は鉄鋼世界首位のミタル・スチールが２位のアルセロールを統合した例を引き合いに出し、「これから両陣営が、企業価値をどう向上させるかの知恵の出し合いになる」と予測。東芝の岡村正会長も「それぞれのステークホルダー（利害関係者）の利益を第一に考えるべきだ」と説いた。
三菱重工業の西岡喬会長は、王子と自らが社外取締役を務める三菱商事という大企業がかかわっているだけに期待感を込めて「話し合いで落としどころを見いだすのではないか」との見方を示した。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/29kei003.htm
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