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http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200606280003a.nwc
中国情勢に詳しい香港誌、「争鳴」最近号によると、中国の温家宝首相は先月初めに開かれた国務院の会議の席上、国内の金融システムの現状について「危機感」を表明。早急な対策の必要性を強調していたことが明らかになった。(上原隆)
メーデー前後に2回にわたって開催された会議は金融問題をテーマにしたもので、財政省、中国人民銀行(中央銀行)、銀行、銀行業監督管理委員会、国家外国為替管理局など関係当局の担当者が出席したという。
≪抵抗、混乱生む≫
議題には「金融危機」も取り上げられ、温首相が現在の国内の金融システムの状況に対する率直な認識を示した。
温首相は、「私は前々から警告してきた。経済成長率の伸びや、外貨準備高の新記録などを聞いて楽観してはならない。数字や記録、報告をもとに喜んだり陶酔してはならない」と戒めた。
また、「中央政府のマクロコントロール政策は常に目に見えない挑戦と抵抗を受けており、予期した効果があがっていない」と指摘。「一部の地方、経済システムは中央の政策に逆らって、抵抗、混乱の要因を生み出している」と批判した。
その上で、「私は国内金融の現状を憂慮している。金融は経済発展や社会の安定、政局の安定にとって最も重要な要因であり、金融システムが一旦崩壊すれば、収拾がきわめて難しい大規模な危機が発生する」と懸念を表明した。
温首相は、農村部の耕地の乱開発、都市に流入した農民出身の労働者(農民工)の生活、医療、教育問題とともに、金融システムの適切な管理を政府が直面する3大問題に位置づけた。
また金融システムの問題は単に数百億、数千億元といった金銭的な規模の問題ではなく、政治、社会にまで波及するとし、ひとつの部門や指導者が負担できるものではないとの考えを示した。
温首相は、憂慮すべき問題の筆頭は、「中央政府の政策や通達が地方に浸透せず、地方政府が勝手に都合のよい政策を実施し、法規違反や癒着が続いているため、金融政策に整合性が欠け、あちこちでバラバラの金融政策がとられていること」だと断じた。
さらに、「こうした事例は毎日起きており、日々悪化し、蔓延(まんえん)している」と述べた。
≪法規破壊恐れる≫
温首相は、法律によって自己規制、自浄能力がはたらかなければ、中国は金融分野で国際社会の圧力を受けることになると警告。「最も恐れるべきことは中国が自ら金融システム関連法規を破壊してしまうことだ」と述べた。
中国政府が公表した金融に関する情報によると
〔1〕2001年5月から今年3月までに四大国有商業銀行に注入した公的資金は計3兆4700億元(1元=14・5円)にのぼり、4月には中国銀行に1370億元が注入され、5月には中国工商銀行に850億元が注入された。
〔2〕四大国有商業銀行の今年3月末の不良資産は、工商銀行が8670億元、中国銀行が5450億元、中国建設銀行が6830億元、中国農業銀行が2540億元に達している。
〔3〕地方商業銀行115行の3月末の不良資産は、1兆5470億元で、このうち52行は破綻(はたん)の危機に直面しており、地方政府の支援を受けている。
〔4〕政策銀行の3月末の不良資産は、3行合わせて760億元を上回っている。同時期の地方別の不良資産は、広東省が7200億元、浙江省が3100億元、江蘇省が2700億元、上海市が1900億元にのぼるなど、経済発展が進む地域での金融システムがはらむ問題は看過できない状況にある。
政府系シンクタンク、中国社会科学院のリポートは、金融危機が発生した場合、政治的動揺も起きると分析。金融機関が預金の払い戻しに応じられる都市は全国の5〜7%程度に過ぎないと予測している。
急速な経済成長を続けてきた中国経済だが、量的な拡大に比べ、制度面の質的向上は遅々として進まないようだ。