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今週の日本債券:軟調、イベント集中で買い控え−利上げ時期を見極め (ブルームバーグ)
2006年6月26日(月)06時50分
6月26日(ブルームバーグ):今週の債券相場は軟調(利回りは上昇)と予
想する見方が多い。週末にかけて月次の重要指標発表があるほか、米連邦公開市
場委員会(FOMC)では利上げ実施が確実視されており、注目イベント目白押
しのなかで買い控えが続くとみられる。日本銀行のゼロ金利政策解除は7月が有
力だが、日銀総裁の村上ファンドへの資金拠出問題もあって実施時期の見極めに
はなお時間がかかりそうだ。
新発10年国債利回りは前週の取引で上昇した。週初の19日こそ1.8%割れと
なる1.795%をつけたが、米金利の上昇が売り材料視されるとすぐに1.8%台に戻
した。その後も、20年債の入札不振や早期利上げの観測、さらには日経平均株価
の1万5000円台回復など手掛かりに、利回り水準を緩やかに切り上げる展開が続
き、結局は16日の終値より6.5ベーシスポイント(bp)高の1.87%で引けた。
10年債利回りの推移について、市場関係者7人にヒアリングしたところ、今
週の予想レンジは1.8%台前半から1.9%乗せが見込まれる。週後半にかけて注目
材料が続くことから、基本的には投資家から買いは期待しづらく、金利上昇を回
避する狙いでヘッジ売りが優勢となると警戒される。ただ、今週は長期や超長期
セクターの入札がないうえ、月末接近に伴って年限長期化の買いが見込めるため、
需給の良さを背景に1.80−1.90%程度でもみ合うとの指摘も多い。
7月の利上げが有力−金利低下余地は限界
今月半ばにかけて内外株価が急落する場面では、日銀の利上げ時期が後ずれ
するとの憶測が広がったが、ここにきて株価は戻り歩調をたどりつつある。
また、20日には日銀の福井俊彦総裁が金融政策について、「早めに、小刻み
に」対応する考えを示すと、市場では夏場の利上に向けた地ならしととらえられ
た。このため、米株相場が景気減速懸念から再び急落するようなことがないかぎ
り、国内株価も比較的に底堅く推移するとみられ、日銀の7月利上げを有力視す
る見方から金利低下の余地には限界がありそうだ。
実際、日経平均が1万4000円割れ目前まで急落した14日には、10年債利回
りが1.745%まで低下していたが、その後は株価反発と歩調を合わせる格好で
1.8%台後半まで水準を切り上げていた。
一方、日銀の福井総裁が「村上ファンド」に資金を拠出していた問題が尾を
引いており、これが総裁の進退問題につながるリスクも意識され始めた。
今回のスキャンダルに対して世論が批判的なことが、利上げの足かせになり
かねないとの見方もあるが、「福井総裁の問題がどう展開するかが最大の不透明
要因となったことで、押し目買いを考える向きにとっても様子見とならざるを得
ない」(三菱UFJ証券・石井純チーフ債券ストラテジスト)とも指摘される。
週後半の指標を見極め−CPIは上昇基調
日銀による利上げのタイミングを探るうえで、週後半以降に発表される景気
指標から目が離せず、とりわけ消費者物価指数(CPI、30日)の注目度が高い。
市場では生鮮食品を除く全国のコアCPIが、5月は前年同月比0.6%の上昇
が予想されており、この場合に昨年11月から7カ月連続の上昇となる。この場合、
「市場の考える利上げ時期が後ずれしていないだけに影響は限定的」(大和住銀
投信投資顧問債券運用部・伊藤一弥ファンドマネジャー)との指摘もあるが、あ
らためて7月利上げの可能性を意識する展開となりかねない。
このほか、29日には鉱工業生産指数が発表されるほか、30日には雇用や消費
に関する5月の指標発表が続くため、市場の様子見姿勢が続く公算が大きい。
さらに、来週早々には企業短期経済観測調査(日銀短観)が公表される。6
月調査の短観において、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス22と、
前回調査時のプラス20から2ポイント改善する見通し。
企業業績の改善や生産の増勢が景況感の改善につながれば、7月13、14日の
金融政策決定会合での利上げが意識される可能性が高く、「短期ゾーンがボラタ
イルな状態に陥るリスクもあるなか、インカム狙いの買いが長期債に膨らむこと
も期待しづらい」(新光証券・三浦哲也債券ストラテジスト)と言う。
28、29日に米FOMC−米金利は逆イールドも
米国では28、29日にFOMCが開催される。今回のFOMCでフェデラルフ
ァンド(FF)金利は0.25ポイント引き上げの5.25%が確実視されている。バー
ナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、インフレの兆しは「歓迎できな
い」と発言して以来、利上げ観測が徐々に盛り上がってきており、一部では最大
0.5ポイント高の5.5%にするとの観測も浮上し始めた。
市場では、利上げ実施後に材料出尽くし感が広がれば、米債市場で買い戻し
が入ると展開も想定されるが、「インフレ懸念が高まるなかでは引き締め局面が
続く可能性がある(みずほインベスターズ証券・井上明彦マーケットアナリス
ト)だけに、米金利が一気に低下に転じるとも考えにくい。
ただ、米国景気の先行きに関しては減速懸念も根強くくすぶるだけに、長期
金利が一段と上振れるとの指摘には至っていない。
米10年債利回りは23日の取引で5.22%と過去4年間で最高水準をつけたが、
「FOMCの利上げに向けて5.2%台半ばの水準があっても、景気の先行きを見据
えると5−10bp程度の逆イールドが居心地のよい水準かもしれない」(日本投信
委託・山田聡運用第二部長)とみられており、米長期金利の上昇に歯止めがかか
ってくれば、国内債の利回り押し上げ圧力も緩和されよう。
予想レンジとコメント
6月23日の午後5時までに集計した、市場参加者の今週の予想レンジは以下
の通り。10年国債利回りは280回債。
◎三菱UFJ証券・石井純チーフ債券ストラテジスト
先物9月物=131円70銭−132円35銭
新発10年債利回り=1.84%−1.92%
「金利は強含み。市場ではなお7月利上げの観測がくすぶるうえ、日経平均も
ひとまず1万4000円台で下値が固まってきた。不透明要因が多くて投資家からの
押し目買いが出にくいなか、どちらかといえばヘッジ売り優勢の展開ではないか。
米国のFOMCではインフレ警戒の声明が示されそうだが、一方で景気指標は確
実に減速してきただけに、米金利は上昇余地を探りつつも逆イールド化とみる」
◎みずほインベスターズ証券・井上明彦マーケットアナリスト
先物9月物=131円50銭−132円50銭
新発10年債利回り=1.83%−1.93%
「ゼロ金利解除に向けて金利は引き続き上昇方向か。5月の全国コアCPI
が前年比0.5%上昇を維持していれば、7月利上げの前提条件がクリアされよう。
米FOMCでは景気減速のトーン・アップもあろうが、長期金利はFF金利と並
ぶ5.25%をトライしそう。国内株価は次第に米株離れしてきて、日経平均がいず
れ1万6000円に向けて戻るようだと、金利には緩やかな上昇圧力が続くとみる」
◎新光証券・三浦哲也債券ストラテジスト
先物9月物=131円40銭−132円60銭
新発10年債利回り=1.83%−1.93%
「下値を徐々に切り下げる展開。1.9%台へのシフトも視野に入れる必要があ
ろう。今週は全国コアCPIなどの経済指標、米FOMCと重要イベントが目白
押し。来週初には決定会合を前に注目の日銀短観の発表も控えて、ゼロ金利解除
議論も一段と盛り上がりやすい。短期ゾーンがボラタイルな状態に陥るリスクも
あるなか、インカム狙いの買いが長期債に膨らむことも期待しづらい」
◎日本投信委託・山田聡運用第二部長
先物9月物131円70銭−132円70銭
新発10年債利回り=1.81%−1.91%
「イベントは多いものの一段と売り込む感じではない。株価の戻りが続けば
債券相場の上値を圧迫するとみており、10年債の1.7%台はやや遠くなったとみ
る。CPIが順調に上昇しそうなのもシナリオ通りであり、市場は引き続きゼロ
金利解除を織り込む展開だ。米国で利上げが行われることも逆風だが、景気オー
バーキルの意識も働くようだと、米10年債利回りの上限は5.25%程度だろう」
◎三井住友海上火災保険投資部・高野徳義グループ長
先物9月物131円80銭−132円80銭
新発10年債利回り=1.80%−1.90%
「10年債は1.80−1.90%のボックス相場。FOMCの利上げ幅によっては米
国債の影響も受けるが、海外勢は売り仕掛けづらい状況。第1四半期末は年度計
画のめどでもあり、1.9%は押し目買いだ。米国の利上げ動向をみるまでは株価の
上値も重い。一方、買い上げていくにはまだ材料不足だ。経済指標を見ながら金
融政策を見極めていく必要があり、少なくとも短観の公表までは動きづらい」
◎大和証券SMBC債券調査部・末沢豪謙チーフストラテジスト
先物9月物=131円80銭−132円80銭
新発10年債利回り=1.80%−1.90%
「方向感の乏しい展開。注目ポイントは、日米景気指標と株価、およびそれ
らを受けた日米金融政策の見通し。今週も、日銀のゼロ金利政策の解除時期や米
利上げ観測の"揺れ"が金融市場を振り回す展開が続きそうだ。月末週で、年金な
どの長期化入れ替え需要がある。投資家の参加率が低下していることもあり、需
給に与える影響は無視できない。下値を固める効果はありそうだ」
◎大和住銀投信投資顧問債券運用部・伊藤一弥ファンドマネジャー
先物9月物=131円80銭−132円80銭
新発10年債利回り=1.80%−1.90%
「相場は強含みにもみ合う。株価反発の影響が先週後半にかけてはやや弱ま
り、7月利上げに向けた政策変更の憶測に対する感応度も低下してきた。基本的
には注目指標発表を前に動きにくいタイミングだが、月末にあたって年金基金な
どからの年限長期化の需要が下支え要因となる。FOMCで利上げが実施されれ
ば、米国の長期金利もいったんは材料出尽くしで低下に転じる場面があろう」
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東京 赤間信行 Nobuyuki Akama akam@bloomberg.net
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