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会社は誰のものか (2)佐山 展生〔さやま のぶお〕(一橋大大学院教授)
(2005年10月27日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/85/m_and_a002.htm
◆大株主には社会的責任も
1976年、京大卒、帝人入社。三井銀行(現三井住友銀行)、投資ファンドのユニゾン・キャピタル代表取締役などを経て、2004年4月、一橋大大学院助教授。05年4月教授。04年4月からM&A助言会社のGCA代表取締役を兼務。51歳。
――ライブドアや村上ファンドによるM&A(企業の合併・買収)の方法について、どう考えるか。
「会社は誰のものかの議論があるが、会社の所有権は株主にある。ただ、会社の価値を誰が共有しているか、精神的な所有権には、答えがたくさんある。従業員、取引先、顧客もそうだし、トヨタ自動車や新日本製鉄のような企業がある地域は、地域にとっても価値がある」
――株主になれば、好きに何でもできるのか。
「法的には好きにできるが、倫理観としてどうか。私が投資する場合、投資先の会社が良くなって株価が上がり、利益を得たい。ところが、村上ファンドを率いる村上世彰氏は、一番は自分のファンドの投資家と言う。仮に会社が毀損(きそん)しても、投資家に還元しようとすることと同じ意味だ」
「多額の配当を引き出すことがどういうことかと言うと、会社の価値自体はその分減っている。村上氏は(企業価値を上げると)言っているのと、やっていることが違うのではないか」
――株主の責任とは。
「大株主は良い会社にする社会的な責任がある。株主だけもうかったら良いというものではない。株式の保有比率に応じた配当を受け取るなど、受け身なら構わない。しかし、議決権の過半数や3分の2の株式を取得し、株主の権利を積極的に、能動的に主張・行使し、会社を毀損したとしたら、倫理的に、株主の責任が問われてもおかしくない」
――会社にも改善すべき点があるのではないか。
「企業価値の最大化に向けて経営してきたかというと、胸を張ってやってきましたと言える経営者はそれほど多くないだろう。村上氏の存在は、あぐらをかいている経営陣に刺激を与えた意味では、高く評価している。企業が株主のことを考えるようになった。しかし、村上氏は自分の投資家しか見ていないのではないか。世の中の人は村上ファンドが、他のファンドとまったく異なることを理解すべきだ」
――楽天とTBSの問題をどうみるか。
「TBSの経営陣が経営統合を嫌がっているにもかかわらず、株を買い増したことは敵対的買収と言われても仕方ない。今後、楽天の三木谷浩史社長がどう動くかが焦点だ。新株予約権を使ったTBSの防衛策は三木谷氏の主張通り問題が多いが、ほかに対抗策はいくらでもある。大事なのはTBSの経営陣が具体的な事業戦略を出すことだ。TBS、楽天のどちらの案がいいのか利害関係者すべてで判断すればよい」
「ただ、注意しなければならないのは、今回の統合が(楽天とTBSの時価総額を反映し)実現すると、(現在は夫妻と個人会社で楽天株の過半数を持つ)三木谷氏が、統合後の新会社の株式の30%ぐらいを持つようになることだ。TBSのような放送局が、個人色がそんなに強くていいのかという議論が必要になる」(聞き手 中沢謙介)
(2005年10月27日 読売新聞)