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私鉄業界 次は?戦々恐々 買収防衛 広がる相互乗り入れ
TOBの成功で阪急ホールディングスは念願の阪神電気鉄道との経営統合に進み、戦後初の大手私鉄同士の再編が実現する。統合の契機は両社の含み資産を狙った投資ファンドだったが、優良資産を抱える私鉄はほかにも多い。関西では新たな再編の火種もくすぶり、関東私鉄では買収防衛も視野に乗り入れや株式の持ち合いが広がる。こうした動きが私鉄業界の勢力図の塗り替えにつながるか注目される。(柿内公輔)
≪関東でも?≫
「次にあるとすれば関東私鉄だろう。投資会社やファンドが『渋谷』を狙っているらしい」
今年に入ってから関東の私鉄関係者の間で、そんなうわさが駆けめぐった。「渋谷」とは、渋谷駅を起点に路線網を広げる東京急行電鉄。実際、2月には米投資会社キャピタル・グループが東急株を買い占めて第2位の株主に浮上し、社内に緊張が走ったという。
阪神と阪急の統合のきっかけは、村上世彰(よしあき)氏
率いる投資ファンド(村上ファンド)の阪神株の買い占め。阪神の不動産などの含み資産が標的となったが、優良な含み資産を抱えている会社は関東私鉄にも多い。東急を筆頭に、東武鉄道や小田急電鉄、京王電鉄などは沿線に百貨店や商業施設、ホテル、不動産を豊富に抱え、阪神や阪急ともイメージが重なり合う。
実際、京成電鉄はプリヴェが株を買い進め筆頭株主になったほか、西武グループも村上ファンドの株取得攻勢にあった。
そんななか、私鉄各社では、新株予約権などの対抗策を柱とする買収防衛策を導入する動きが相次ぐ。関東では京成や小田急、関西では近畿日本鉄道や南海電鉄がそうだ。
≪再編も選択肢≫
一方で、私鉄同士で株を持ち合う動きもある。京浜急行電鉄は今年、西武ホールディングスに追加出資することを決めた。西武も京急に出資しており、両社は東京・品川地区にホテルや商業施設を多数展開する。西武の後藤高志社長は「京急と力を合わせ品川の魅力を高める」と話す。
関東では、鉄道会社間の乗り入れも活発だ。東京メトロと乗り入れる私鉄が多いほか、東急と相模鉄道は先月、相互乗り入れに向けた営業構想の認定を国に申請した。JR東日本も3月から、日光観光などで東武と相互乗り入れを始めた。
こうした動きが再編にまで発展する可能性については、「短期的には考えにくい」(大手私鉄幹部)との見方が強い。私鉄同士あるいはJRとの競争が歴史的・地理的に激しい関西と違い、関東では「すみ分けの関係だった」(同)からだ。
ただ、人口減少時代で鉄道収入は今後は頭打ち。補完関係となる鉄道会社同士なら、「M&A(企業の合併・買収)がサバイバルの選択肢になりうる」(鉄道アナリスト)との指摘もある。
関西でも新たな再編が動き出す可能性はある。「複数の関西私鉄について再編を検討した」と明かすのは、ほかならぬ阪神の縄田和良専務だ。村上容疑者も、阪神側に京阪電気鉄道との統合を持ちかけた経緯がある。
統合後の阪神・阪急の連結売上高は東急、近畿日本鉄道に次ぐ第3位。これは他社にも脅威で、JRとの競争も激しさを増す。「第2、第3の再編が動き出す可能性は高い」(在阪私鉄大手関係者)というわけだ。
私鉄業界に激震を起こした阪神株問題。余波は尾を引きそうで、私鉄各社の中長期的な経営戦略や、業界の勢力図にも波紋を広げそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/22kei001.htm