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経済面】2006年06月03日(土曜日)付
重い過去 損保ジャパンと三井住友銀
金融界で相次いだ不祥事の出口が、いまなお見えない状態だ。保険金の大量不払いなどで迷走を続ける損保ジャパンは2日、発表したばかりの首脳人事を急きょ撤回。融資先の中小企業に金融商品を押しつけ販売していた三井住友銀行も同日、元役員の報酬返上など関係者の処分を発表した。収益偏重のあまり、顧客やコンプライアンス(法令順守)をおざなりにしてきたツケは小さくない。
代表取締役4人の退任と自身のトップ就任を発表する佐藤正敏・損保ジャパン新社長(左)=2日午前、東京・日本橋本石町で
●大量不払いの損保ジャパン 会長人事を9日で撤回
不祥事続きで金融庁から業務停止処分を受けた損保ジャパンは2日、平野浩志社長が会長に就任する人事を公表から9日で撤回した。平野氏は子会社などへの天下りを取りやめた3人の副社長とともに、一切の役職から退く。重い処分を受けながらも「会長として財界活動をしたい」と述べた姿勢に社内外から非難の声が高まったためだ。だが、同日の記者会見に平野氏は姿を見せず、説明責任を果たさない同社の姿勢に改めて不信感が強まる結果となった。
「平野はすでに私人。私が代表者として説明します」。6月下旬の就任予定を繰り上げた佐藤正敏・新社長は、2日午前の取締役会後に開いた会見で繰り返した。
5月24日、平野氏と佐藤氏は社長交代の会見を開き、「不祥事による引責ではない」と強調。翌日、金融庁から処分を受けた後も、平野氏は会長職への意欲を示した。
それが一転しての辞任について、佐藤新社長は「早く新体制に移行する方が良いと、(退く)4人が相談して決めた」と説明。
当初発表した人事に非難が集まったことも理由として認めたが、平野氏の心境がどう変化したのか、最初の判断に誤りはなかったのか、十分な説明はなく、佐藤新社長も「今日は私の就任会見。平野が説明に来る必要はないと判断した」と言い切った。
●2000人以上から保険料取り過ぎ
首脳人事の差し替えに合わせて2日、新たな不祥事も公表された。
病気で働けずローン返済が難しくなった場合などに、ローン返済額相当分の保険金を受け取れる商品で02年7月以降、保険金受取期間には免除されるはずの保険料計約650万円を2112人から余分に取っていた。
また、大分市の損保代理店の顧客情報1万1950人分も紛失。ほかの損保会社を含む12社分の契約者の氏名や住所などが、記されていたという。
同社は金融庁の処分で、12日から2週間、全店で損害保険の勧誘・営業を停止する。
不祥事に加えての人事でのちぐはぐな対応で、同社の信用低下に歯止めがかからない事態が続いている。
●押しつけ販売の三井住友銀 前頭取ら報酬返納へ
三井住友銀行は2日、中小企業への金融商品の押しつけ販売問題を巡り、再発防止策などを盛り込んだ業務改善計画を金融庁に提出した。最大の責任は当時の経営陣にあるとして、西川善文・前頭取(現日本郵政社長)ら旧4役員に対し、現経営陣より多額の報酬返納を要請。4役員も返納に応じる方向だ。
西川前頭取と岡田明重・前会長は、現行の頭取や会長の月額報酬の5割にあたる額を半年分、ともに中小企業取引担当の元副頭取、栗山道義(現三井住友カード会長)と水島藤一郎(現年金・健康保険福祉施設整理機構理事長)の両氏は、現行の副頭取の月額報酬の3割にあたる額を半年分、それぞれ返納する。
一方、現職役員については、北山禎介会長と奥正之頭取が月額報酬の4割を半年間、公正取引委員会から排除勧告を受けた昨年12月時点で副頭取だった3人は月額報酬の3割を3カ月間、それぞれ減らす。金額に差をつけることで、旧役員により重い責任があることを明確にした。
その他の関係役員19人についても月額報酬の5〜20%を3カ月間カットし、関係部長12人を譴責(けんせき)処分にしたが、実際に違法販売をした担当者は処分しない。「今回の行政処分が、行内全体の販売態勢の不備を理由にしているため」(幹部)という。
再発防止策では、法令順守態勢の整備状況を点検するため、社外の有識者をトップにする業務管理委員会を新設。「お客さま本位研修」を新たに導入し、顧客の満足度を優先した営業姿勢を行員に徹底させるなどとしている。
同行は01〜04年度、取引上の優位な立場を利用して融資先の中小企業に金利スワップ商品などの購入を強要したとして、金融庁による一部業務停止命令を受けた。
http://www.asahi.com/paper/business.html