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阪急、阪神株930円でTOB 村上氏売却なら540億円
巨額差益「買収者」批判も
村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が保有する阪神電気鉄道株式の取得を目指す阪急ホールディングス(HD)は二十九日、臨時取締役会を開き、阪神株を一株九三〇円で公開買い付け(TOB)すると決めた。村上ファンドとの交渉は継続しており、買い取り価格で合意を得ないままTOBに突入する。村上ファンド側に歩み寄りの気配があり、TOB成功の可能性があると判断した。実現すれば戦後初の大手私鉄同士の統合となる。
買い付け期間は今月三十日から六月十九日までの二十一日間。買い付け株数に上限は設けないが、発行済み株式の45%にあたる一億八千九百七十四万三千五百九十株の応募がない場合はTOBを解消する。阪急HDはまた、TOB成立後に両社の株主総会での了承を前提として、十月一日付で株式交換によって阪神が阪急HDの完全子会社になると発表した。
阪急ホールディングス(HD)が阪神電気鉄道株の公開買い付け(TOB)を決めたことについて、村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)は一株九三〇円という買い付け価格に不満を表明する一方で、「統合効果についての説明を十分に聞いてから総合的に判断する」と含みを残した。仮にこの価格で全株を売却しても、村上ファンドは推定で約五百四十億円もの売却益を得られる計算だ。しかし、村上氏側は価格の上積みを求めている。「モノ言う株主」として企業価値や株主価値の向上を求めてきた村上ファンドだが、ぬれ手で粟(あわ)の巨額の売却益を手にするだけであれば「グリーンメーラー(企業に高値で買い取らせる買収者)」という批判はまぬかれない。
TOBの成功は、阪神株の約47%を保有する村上ファンドが応じるかどうかにかかっている。阪急HDの買い付け価格九三〇円は、時価(二十九日の東証終値は九四八円)に近い数字。ここ半年間の平均の株価と比べると五〇円以上安い。一方、村上ファンドの平均取得価格は六五五円と推定されている。
村上ファンドとの交渉で阪急HD側は当初、八〇〇円台を提示していた。「今の株価は村上氏がふくらませた数字」(関係者)との思いがあるからだ。これに対して村上ファンドは一二〇〇円を主張。その後、村上ファンド側も要求額を引き下げ、ここ数日は九〇〇円台での水準で交渉が進み、二十八日の深夜時点では数十円まで縮まったという。
村上氏側は強気の交渉姿勢を崩しておらず、合意の見通しは立っていない。これは、外資系の投資ファンドなどが阪神株取得に意欲的との見方もあるためだ。阪急は今後、TOB価格の引き上げを迫られる可能性もある。
村上ファンドの保有株数は約一億九千七百万株。仮に現在の提示額九三〇円で全株を売却しても約五百四十億円もの売却益を得られるが、一〇円引き上げられるごとに売却益は約二十億円増えていく計算になる。
「上場企業は株主利益の最大化を目指すべきだ」という理想論と、「投資家のためにもうけるのがファンドマネジャーの仕事」という現実論を併せ持つ村上ファンド。村上氏が軽視されてきた株主に光を当てた点は評価されている。また、標的となった企業の株価は急騰するため、短期保有中心の個人投資家たちは拍手を送る。すべての株主の利益につながることから村上氏は「自分だけが利益を手にするグリーンメーラーではない」と断言する。
しかし、経営者にとっては、企業を食い荒らす好ましからぬ投資家と映る。「頭では分かるが受け入れ難い」とは株を買い占められた企業幹部の言だ。これは、行動様式がグリーンメーラーそのものであるためだ。
「やり方が下手だ。誰にもそっぽを向かれたら日本でやってられなくなるんじゃないか」。村上氏を社外取締役として招聘(しょうへい)したIT(情報技術)企業、ソフトブレーンの宋文洲会長も世論を敵に回すような最近の手法に懸念を示している。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/30iti001.htm