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経団連「チーム御手洗」発足 技術立国へ次代託す
日本経団連の会長に精密・ハイテク産業であるキヤノンの御手洗冨士夫会長が就任したことは、日本経済が将来も繁栄を続けるカギが「技術開発で他国よりも先を行くこと」(奥田碩前会長)にあると見据えた産業界の選択だ。その意味で御手洗会長が率いる経団連が背負う最大の使命は、「技術に磨きをかけて成長する社会」(御手洗会長)の実現といえるだろう。だがリーダーシップの発揮や折衝能力など課題は多く、楽な船出にはなりそうもない。(村山繁)
御手洗会長がまずつきあたるのは経団連内でのリーダーシップだろう。これまでの経団連では、鉄鋼、電力など重厚長大産業から会長が就任してきた。取引関係が幅広く、指導力を発揮しやすいことが最大の理由だ。
奥田前会長が絶大なリーダーシップを誇ったのも、奥田氏の個性に加え、出身母体のトヨタが素材から部品まで幅広く扱い、世界のリーダー企業にまでのぼりつめている、との事情も大きい。
キヤノンは超優良企業だが、取引関係の規模で比較するとトヨタに見劣りする。御手洗会長が経団連で十分なリーダーシップを発揮するには、強力な個性と独自色を押し出さなくてはなるまい。
もうひとつが、課題解決に必要となる政治との折衝能力だ。
経済界が技術開発に精力を注ぐためには、無駄な規制や負担から解放されることが望ましい。奥田前会長は小泉純一郎首相と二人三脚で構造改革を進め、官から民への流れを加速、規制緩和を進めた。国債発行残高を膨れ上がらせる公共事業頼みの景気対策も姿を消し、デフレ不況からの脱出にも道筋をつけた。
しかし、構造改革そのものはまだ緒についたばかり。特に法人税について経団連は「国際競争力の維持、向上のためには、国際的に高い水準にある法人税の実効税率を引き下げるべきだ」と主張しているが、消費税増税が既定路線となっている現状では分が悪く、理解を得られる環境すらない。
御手洗会長には、その打開が求められるが、奥田−小泉の二人三脚のような関係が政権と築けるかは読み切れない。
奥田前会長の豊富な人脈と比較されると、御手洗会長は「政策で意気投合できる人脈はあるし、必要なパイプ(人脈)はいくらでも作る」と力説するが、一方で「政治との関係は政策本位」とも述べ、なれ合い関係になることに警戒感を示してもいる。財界OBは「その成否が御手洗氏が成果をあげられるかどうかを左右する」と指摘する。
奥田氏が技術立国実現の夢を託して起用した精密・ハイテク産業の御手洗会長が、本領を発揮するには、しばらく時間がかかりそうだ。
◇
■重量級スタッフ どう連携
発足した御手洗経団連では、会長だけでなく、副会長、評議員会の役員など会長の脇を固めるスタッフの活躍が重みを増しそうだ。会長を支えるスタッフには、歴代会長を送り出した名門企業がそろい、突出したリーダーシップで経団連の発言力を高めた奥田流から、チーム全体として発言力の維持、向上に取り組むスタイルに移行する可能性が高い。ただし、そのスタイルに御手洗会長自身がなじむまでに時間がかかるとの見方もある。
十五人いる副会長のうち、新体制発足に伴い新たに加わったのは渡文明・新日本石油会長と、江頭邦雄・味の素会長。続投組には東京電力、新日本製鉄、東芝などが名を連ね、御手洗会長の経験不足を補う力は十分だ。
御手洗氏とは同期の副会長仲間である柴田昌治・日本ガイシ会長は評議員会副議長で残り、すでに財界活動をしていた西室泰三・東芝相談役も評議員会議長に就任、「チーム御手洗」の相談相手と期待される。
その評議員会の副議長は今回、柴田氏を含めて六人を補充。中村邦夫・松下電器産業社長、佐々木幹夫・三菱商事会長らと、重量級が並ぶ。
これだけの陣容を構えれば前途は明るそうだが、落とし穴を指摘する声もある。御手洗会長自身が、キヤノンでは突出したリーダーシップで知られた経営者。自身の社長交代を当人が出席しないまま発表するなどの我流を貫くスタイルから、チームの「メンバー」から「合議的な運営は難しいのでは」と疑問視する声が早くも漏れている。
会長は、恵まれたスタッフを生かしきれるかどうかという、統治能力が早速問われる。民主党の小沢一郎代表が、「まず自分が変わる」と言って先頭に立った。御手洗会長はどうするのか−。
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≪経団連副会長の顔ぶれ≫
・三木繁光 三菱東京UFJ銀行会長
・宮原賢次 住友商事会長
・庄山悦彦 日立製作所会長
・西岡 喬 三菱重工業会長
・出井伸之 ソニー最高顧問
・武田國男 武田薬品工業会長
・和田紀夫 NTT社長
(平成15年5月)
・米倉弘昌 住友化学社長
・草刈隆郎 日本郵船会長
・勝俣恒久 東京電力社長
(平成16年5月)
・張富士夫 トヨタ自動車副会長
・岡村 正 東芝会長
・三村明夫 新日本製鉄社長
(平成17年5月)
〇渡 文明 新日本石油会長
〇江頭邦雄 味の素会長(平成18年5月)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/25kei001.htm