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[クロスマーケット]世界的資金フローのきしみは米国発、FRB対応が市場を左右
2006年 05月 19日 金曜日 19:46 JST
田巻 一彦記者
<東京市場 19日>
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日経平均 | 国債先物6月限| 国債279回債 |ドル/円(19:32) |
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16,155.45円 | 132.65円 | 1.905% | 111.87/88円 |
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+68.27円 | +0.35円 | -0.035% | 110.79/80円 |
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けもしくは午後3時の値。
下段は前日終値比。為替は前日NY終値。
[東京 19日 ロイター] 米国発の市場の動揺が、グローバルなマネーフローのき
しみを生み出している。米市場の参加者からはバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議
長の市場との対話手法に問題があるとの指摘も出てきているが、背景には「世界的なイン
フレリスク」の台頭への懸念があるとの見方も浮上。インフレへの米金融当局の対応の行
方が、今後の市場の動向を大きく左右するという情勢になりつつある。
<バーナンキ議長の信認が低下、米市場にぼやき>
米市場では、株式相場の変調が目立つ。ナスダックは18日で8営業日連続の下げとな
って過去12年で最長の続落を記録。ダウも引けにかけて下げ足を速め、下げ止まりの兆
しをみせていない。
ある外資系証券の関係者は「結局、バーナンキのせいだとの声が、NY市場では多くな
っている」と話す。いったん、利上げ打ち止めのムードが議事録の発表で高まったあと、
インフレ警戒感が台頭。一転して利上げ継続ムードとなって「バーナンキの信認が急落し、
このままインフレ後追いの政策を継続し、一部ではFFレート6%説まで出てきて、株と
債券の市場の両方を殺した、と言われている」と説明する。
ある邦銀関係者も「バーナンキの意図を読もうとした米市場関係者の多くが、米株と米
債の両方で打撃を受けているようだ」と話す。
<米当局の意図、利上げで貯蓄不足を是正との見方>
米当局の意図について、東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏は、FRB議長
がグリーンスパン氏からバーンナンキ氏に替わって、政策の焦点が変更されたと指摘する。
斎藤氏は「バーナンキ議長の特徴は、米経常赤字の巨大さに代表される不均衡問題の本質
を米国の貯蓄不足と見た点だ」と指摘する。
バーナンキ議長は、利上げすることで内需を抑え、貯蓄不足を修正していくが、そのま
まではドルが上がり過ぎるので、ドル安を容認するスタンスを取ったのではないか─と推
定している。
当初、米系ファンドをはじめ、米市場の関係者は米利上げはドル高との理解で、ドル・
ロングポジションを取っていたが、そこに突如としてドル安容認とも受け取れる米当局の
メッセージが出て、「まず、市場は為替で読み違えをした」と斎藤氏は分析する。
そのうえで「ここにきてインフレへの懸念も急速に出てきて、市場は当局が後手を踏む
のではないか、と思ってさらに混乱した」とみている。
<コーンFRB副議長の起用、信認の再構築か>
米市場の大きな振れの背景には、バーナンキ氏の市場に対する信認の低下が影響してい
るとの声は、東京市場でも出ている。第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生
氏は「FRB議長としての信認に関し、グリーンスパン氏からバーナンキ氏に交代して大
幅に低下し、結果的に利上げが後手に回ってオーバーキルになり、景気が後退するとの思
惑が、米市場での株、債券の急落につながっている」とみている。
熊野氏によると、FRBもその点を十分に意識し、FRB生え抜きで金融市場に精通し
ているコーン理事を副議長にする人事をホワイトハウスに働きかけ、信認の再構築に取り
組み始めたという。
<米株・債券での損失、米系勢は日・欧株や商品の利食いでカバーか>
ただ、いったん米国発で起きたグローバルな市場の変動は、なかなか収束の兆しをみせ
ていない。冒頭の外資系証券の関係者は、世界的な株安と商品市場の足元での大幅な調整
は、ドル資産のトリプル安が引き金になったとみている。その関係者は「米系ファンドな
どは、米株や米債で受けた損失をカバーするために、利益の出ていた欧州や日本の株、あ
るいは金やその他の商品を売って、リパトリ(資金の本国還流)をしていた」と話す。
別の外資系証券の関係者は「米市場関係者が浮き足立ってきたのは、インフレリスクの
足音に恐れを抱き、金融政策が対応しきれなくなるリスクを感じたからだ」と述べる。
特にBRICs諸国の台頭が、商品市況に与える需要増の影響について、市場はこれか
ら織り込み始めるだろうとの見通しも示している。
この点に関連し、東海東京証券の斎藤氏も「米、中が言われているような経済減速に直
ちに直面する可能性は低く、商品市況の足元の調整は一過性となって、中期的に堅調に推
移する可能性もある」との見通しを示す。
<オーバーキルかどうかが米経済の分水嶺>
一方、三菱UFJ証券・シニアエコノミストの吉川雅幸氏は「米国のコアCPIの上昇
は2%台であり、商品市況がこのまま上がり続けるとも考えにくい。インフレリスクに関
しては、やや騒がれすぎの面がある」と述べる。
ただ、この先の米金融政策が利上げを継続し、FFレートが6%程度まで上がるような
ら、「オーバーキルで、米景気の後退が鮮明になるシナリオになる」とみている。
そのケースでは、マネーは商品から債券にシフトすることになると予想している。他方、
米経済がソフトランディングするなら、この先は日、欧州、新興国の株にマネーが流入し
やすいとの見通しを示している。
日本の利上げの動向と海外マネーの関係で、冒頭の外資系証券の関係者は「06年度中
に2、3回の利上げがあっても、それで日本株の魅力が減るわけではない。日本経済と日
本株には魅力がある」と話す。
他方、別の外資系証券の関係者は「米経済がオーバーキルで減速すれば、日本株は買え
ない。今のところ、足元で日本株を売った海外マネーは、まだ、日本株に戻ってきていな
い」と語る。
バーナンキ議長がインフレをコントロールでき、米経済をソフトランディングさせるこ
とができるかどうかが、今年後半の世界経済とマネーフローの動向のカギを握っていると
言えそうだ。
http://today.reuters.co.jp/investing/FinanceArticle.aspx?type=domesticEquities&storyID=2006-05-19T104600Z_01_TK2819994_RTRIDST_0_JAAESJEA903.XML