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http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200605150014a.nwc
米国の有機食品ビジネスが未曾有の拡大期を迎えた。小売世界最大手、ウォルマートによる有機食品の大規模販売プロジェクトが動き出すからだ。大手食品・飲料メーカーは大量供給体制を整えつつあり、年内にも全米のウォルマート店舗に大量の低価格有機食品が並ぶことになる。消費者に歓迎される一方、業界内には懸念の声も出ている。
≪ペプシコが開発≫
ウォルマートは、「エブリデーロープライス(毎日、格安品を提供)」というキャッチコピーに象徴される低価格路線を見直し、比較的裕福な顧客の取り込みで、単価を引き上げる戦略を進めている。有機食品の大規模販売は、高級衣料分野への進出と並ぶ、戦略の柱として、昨年から準備を進めてきたものだ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、すでに同社は複数の大手食品メーカーに対しウォルマート店舗で販売する低価格有機食品の開発を要請。これに応え、冷凍食品のゼネラル・ミルズ、清涼飲料のペプシコなど、大手食料品メーカーの有機食品が年内に発売される。
両社の製品はウォルマート以外の小売店でも時間を空けて販売される。シリアルフードのケロッグも独自に開発していた干しぶどう入り製品を「有機製品」の文字を目立たせたパッケージでウォルマート店舗などに供給する。
有機食品は一般の食品に比べ二−三割高とされるが、ウォルマートは高くても一割高程度に押さえる計画だ。
≪弊害指摘の声も≫
米国の有機食品は全食品市場の2・4%にすぎないものの、過去十年では平均15%成長を続け、現在年間約百四十億ドル(約一兆五千二百六十億円)の市場規模とみられている。
すでに一九九〇年代から有機食品の普及が本格化していた欧州では、英テスコや仏カルフールなど大手各社が販売を本格化させている。
英紙ガーディアンによれば、同国の大手小売店では昨年一年で有機食品の売上高が軒並み二割近く増加。米経営コンサルティングのハートマングループのハーベイ・ハルトマン最高経営責任者(CEO)は、ニューヨーク・タイムズに「有機食品は、もはやニッチ(すき間)産業とは呼べない巨大ビジネス」と語っている。
小売業界の巨人、ウォルマートの本格参入には、消費者の間に歓迎の声が広がる一方、懸念も出ている。そのひとつが、「生産業者への値下げ圧力が高まり、有機食品の質が低下する」との主張だ。中国など生産体制を十分に管理できない海外からの輸入が増えるとの指摘もある。
これに対しウォルマートは「値下げ分は大量販売によるコスト引き下げ分で吸収できる」と説明している。米国の食品市場に大きな変化をもたらす巨大プロジェクトだけに、今後もさまざまな論争を巻き起こしそうだ。