★阿修羅♪ > 国家破産46 > 282.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□NTTのしのび笑いが聞こえる [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26196
【この会社の人と事件】
2006年5月9日掲載
NTTのしのび笑いが聞こえる
竹中懇談会は掛け声倒れ
NTTは、分離・分割を巡る竹中平蔵総務相との戦いに圧勝しそうだ。
この戦い、竹中大臣が一方的に仕掛けたもの。まず昨年末。大臣は私的組織として「通信・放送の融合の在り方に関する懇談会」(座長・松原聡東洋大学教授)の設置を宣言。年初から、不祥事が相次ぐNHKの民営化や受信料制度改革と並ぶ課題として、地域通信網の独占事業者、NTTの分離・分割を検討してきた。
だが、当初から、大臣の動機を懸念する向きがあった。今秋の政権交代をにらんで、次期政権の経済運営のバイブルにもなる「経済財政運営の基本方針(骨太方針2006)」に、竹中流の政策を盛り込み、大臣自身の地位保全に役立てようとしているというのである。
急造の私的懇談会に、ITとは無縁の学者らを集め、議事を非公開の秘密会合としたことも、懸念を増幅した。短期間にまともな報告を作れるのか疑問だし、作成できても抵抗勢力の説得は困難だからだ。
そして、竹中大臣の政府・与党内での急速な影響力の低下もあって、懸念は的中しそうだ。報告はきょう(9日)の審議を経て、16日にもまとまる予定だが、総務省関係者は、「『国民・利用者のための改革』は掛け声倒れ。大臣のやる気がうせたのか、中身を伴わない」と言う。肝心の内容は、(1)国際放送強化のための国費投入など、NHKの焼け太りを容認、(2)NTTの抜本的な「資本・構造分離」は中長期的課題として先送り、(3)英国が実施し、喫緊の課題とされた、独占の地域通信網分野とその他のブランドなどを変える「機能分離」の細目も盛り込まない――といったお粗末なものになりかねない情勢だ。
表向き沈黙を守り、竹中懇の自滅を待ったNTTの戦略は大成功だ。
NTTは内々ながら、6月に2期目の任期が満了となる和田紀夫NTT社長が、続投に必要な竹中大臣の承認を取り付けた。さらに、近く発表する決算は絶好調。数年来、電話が斜陽で経営が苦しいと主張し抜本改革の先送りを求めてきたが、お荷物のはずの基幹子会社NTT東西がそろって、数百億円規模の大増益を達成する見通し。大型増配も検討中。
竹中大臣が、地域アクセス網の独占を容認すれば、IP放送や音楽配信といった新サービスは、どれもNTT抜きでは提供しにくくなってしまう。このまま、NTTだけに、ブロードバンド時代の覇者の座を約束してよいのか。【町田徹】