★阿修羅♪ > 国家破産46 > 274.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
東京 12日 ロイター] 日銀内では、6月利上げ説が金融市場で急速に広がったことに対し、驚きをもって受け止める声が多い。経済・物価は見通しに沿って順調に動いているものの、インフレ懸念が急速に高まる状況にはなく、前のめりで利上げを考える状況にはないという。日銀では、政策変更はあくまで「経済・物価次第」としており、4月全国消費者物価指数(CPI)や6月日銀短観を中心に経済指標を確認していくことになる。
6月ゼロ金利解除観測が広がった要因の1つに、福井日銀総裁の当座預金残高削減に関する発言があったと市場関係者は指摘する。福井総裁は7日、国際決済銀行(BIS)総裁会議出席のため訪れたスイス・バーゼルにおいて、当座預金残高削減終了まで「数週間」と指摘。市場では、5月中にもある程度の水準まで削減を終え、6月14・15日の金融政策でゼロ金利を解除するとの見方につながった。
福井総裁は、量的緩和解除直後の3月10日に「常識的には3カ月くらいで過剰準備は吸収できる」と述べており、2カ月経過した足元での発言が「数週間」になることに不思議はない。一部の日銀幹部は「これまでの福井総裁の発言と比べて目新しい内容はない」と述べている。
量的緩和解除以降、現在までの当座預金残高削減が「最も順調なペース」(幹部)で進んでいることは事実だが、政策委員を含め複数の日銀幹部は、これから先の当座預金残高削減は慎重に進めなければならない可能性があると認識している。こうした中での6月利上げ説は「あまりにも時期尚早」(複数の日銀筋)というわけだ。
さらに福井総裁は、4月28日の記者会見で「(当座預金残高の超過分の)回収が終わったからと言ってすぐゼロ金利が終わるわけではない。その後の経済・物価情勢次第だ。しばらくゼロ金利が続く可能性がある」と述べている。
こうした考えは以前から繰り返し示しており、日銀内でも、当座預金残高のある程度の水準までの削減は、利上げの「必要条件ではあるが十分条件ではない」との解説が聞かれる。
この部分は、量的緩和解除と大きく異なる点だという。「CPIが安定的にゼロ%」という明確なコミットメントがあった際には、政策変更時期は読みやすかったが、現状では、当座預金削減と利上げは直結しているわけではない。
<7月中間レビューに向けた経済指標が重要に>
ゼロ金利政策が非常に緩和的な政策であることは事実だ。ただ、インフレ懸念の高まりなどが見られない中で、「焦って利上げしなければ、取り返しのつかない事態になる、という切迫感はない」(複数の日銀筋)との認識が日銀内で広がっている。あくまで「今後の経済・物価情勢次第」(福井総裁)であり、物価や雇用、賃金などの経済指標を分析しながらの対応となる。