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□ダレが過大な収益目標を命じたのか [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26123
【江上剛の経済・世相を斬る2】
2006年5月1日掲載
ダレが過大な収益目標を命じたのか
三井住友行政処分
三井住友銀行が銀行法第26条違反で金融庁による法人部門の一部業務停止を含む行政処分を受けた。平成18年5月15日から同11月14日まで半年間、金利系デリバティブ商品の販売を停止させられたのである。これは三井住友銀行が銀行=債権者という優越的地位を利用してデリバティブの強引な販売をしていたからだ。
同行に関しては私自身もこんな苦情を聞いたことがある。
「A社は1億円を三井住友銀行から、2億円を他の銀行から借りていた。三井住友銀行の営業担当から、金利変動リスクをヘッジするためにデリバティブのセールスを受けA社は1億円だけ了解したが、他行の分もやりましょうと強引に迫られ、結局3億円のデリバティブに付き合わされてしまった。ところがA社は借り入れを返済してしまったので3億円のデリバティブが不要になった。そこで解約したいと申し出た。すると解約手数料を数千万円も要求されたという。結局A社はデリバティブの分だけコスト高になった」
強引なセールスは何も三井住友銀行に限ったことではない。収益目標の達成のためにどの銀行も必死でデリバティブを売りまくっているというのが実情なのだ。それを売らなければ収益目標が達成できない。
それでは達成も出来ないような過大な収益目標を誰が計画したのか。それは実質的には金融庁が命じたものだ。公的資金を注入された銀行が金融庁に提出した収益計画があまりにも過大であり、利息収益だけでは到底達成できないのだ。皮肉にも今回の事件は金融庁が銀行を処分しながら、その原因は金融庁にある。
金融庁は銀行を無理な営業に走らせない適切な収益目標を設定しなければならない。一方、事件の責任から退職金の返還を求められている西川前頭取がこのまま日本郵政の社長でいいのだろうか、再考の余地はないのか、そんな声も聞こえてくる。
●えがみ・ごう 作家。1954年兵庫県生まれ。「非情銀行」でデビュー。「異端王道」「腐蝕の王国」「座礁 巨大銀行が震えた日」など多数。4月末、経済サスペンス「大罪」(徳間書店)を上梓。