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□牛乳 もっと飲んで!とあの手この手 ペットボトル化も? [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060502-00000023-maip-soci
牛乳 もっと飲んで!とあの手この手 ペットボトル化も?
牛乳離れが進んでいる。北海道では3月、生産過剰となった集荷済みの生乳1000トンが捨てられ、酪農家は減産傾向を強めている。生産現場の努力に報いようと、牛乳をもっと飲んでもらう新たな取り組みも始まった。【坂巻士朗】
北海道農協などが廃棄処分を決めた3月16日を境に、道庁農政部長の西山泰正さん(57)は、勤務中の習慣を変えた。「庁舎に着いたら、まず牛乳をコップに一杯。お客さんに出したら一緒に付き合うので、勤務中に5杯は飲んでいます」
次長、局長ら同部の幹部計5人が飲んでいるため、1日に1リットル入りが5、6本は空くという。費用は自腹だ。「苦労している地元生産者のために、私たちもなんとか力になりたい。職員にも呼び掛けている」と西山さんは話す。北海道内では、牛乳を使ったアイデアラーメンの店も現れた。
「明治乳業」(東京都江東区)は4月から、牛乳のほか、チーズやヨーグルトといった乳製品を3回の食事に合わせてとるよう、社員と家族計1万人に呼び掛けた。ヨーグルト製造「チチヤス」(広島県廿日市市)も昨秋から社員に同様の協力を求めている。
牛乳の生産量は、94年度の435万キロリットルをピークに減少傾向となり、04年度は392万キロリットルにとどまった。牛乳離れの理由はどこにあるのか。
日本酪農乳業協会は、▽朝食など食事の際だけに飲まれる傾向が強い▽健康や美容に良いというイメージが弱まっている−−と分析する。学校給食での消費量が全体の1割を占めるため、少子化の影響も大きい。
同協会の本田浩次会長は「20代の2人に1人が朝ごはんを抜く現代の生活では、牛乳の消費を朝食時に過度に期待するわけにはいかない。健康面から豆乳や野菜ジュースを選ぶという人にも、牛乳の魅力を十分に伝える努力が必要」と説明する。
厳しい状況をばん回するため、協会が取り入れようと考えている作戦がある。厚生労働省令で、ガラス瓶か紙パックに詰めるよう決められている牛乳の“ペットボトル化”だ。
厚労省基準審査課は「省令は1951年に制定されたため、牛乳の容器としてペットボトルは想定されていない。しかし、申請があれば、食品安全の面から認められるかどうか審議する」と説明する。
牛乳を主成分としたコーヒー牛乳などの乳飲料は02年、既にペットボトル詰めが認められている。手軽に持ち運べる利点があり、本田会長は「省令の改正に向けての話し合いを国と始めている」と前向きだ。
ペットボトル容器で、売り上げを大きく伸ばしたのは緑茶だ。全国清涼飲料工業会によると、90年は5万5000キロリットルの生産量だったが、00年に500ミリリットル以下の小型のペットボトル容器を本格導入したところ、生産量は1.5倍に増加。その後も毎年1〜4割増を続け、05年は264万キロリットルに上った。
同工業会は「15年で50倍以上も伸びた製品は他に聞いたことがない。急須でいれていたお茶を、ペットボトルで飲めるようにしたことで、食事の時だけではなく、のどが渇いた際の飲み物に変えた点が広く受け入れられた」と指摘する。
「いつでもどこでも飲める牛乳」がペットボトル化で実現するか。生乳廃棄といった悲しい場面を繰り返さないため、試行錯誤は続く。
(毎日新聞) - 5月2日17時10分更新