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高まるドル安リスク
(2006年5月2日執筆)
1概況 ついに下抜け、活発なドル売り
4月21−22日に開催されたG7の共同声明で、世界経済の不均衡是正のため、中国などに為替相場の一段の柔軟性が求められたことから、ドル円は急落して始まった。
前週末のクローズレベルが1ドル116.55円だったのに対し、月曜日(24日)は115.95レベルでギャップオープン。長らく続いていた一定レベルでの動き=三角保合(さんかくもちあい)=を下抜けし、テクニカル系ファンドからのドル売りが持ち込まれたことや、アダムス米財務次官が「G7と一連のIMF(国際通貨基金)会議に非常に満足」と発言したこともあり、24日中に114.24まで下落することとなった。
その後は、本邦輸入企業や機関投資家のドル買いに支えられ、一時115.39まで値を戻す局面もあったが、27日に中国人民銀行(中国の中央銀行)が0.27%の利上げを実施したことや、バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長が利上げ打ち止めを示唆したことからドル全面安となり、ドル円は週末に113.66の安値まで売り込まれた。
2見通し ドル安継続か?!
ドル安の流れはドル円に留まらず、対欧州通貨でも顕著になっている。ユーロドルは昨年5月以来の高値を更新、ドルスイスも昨年9月以来の水準に到達している。
その背景には、1)米利上げ打ち止め観測が急速に台頭していたこと 2)イランの原爆問題を発端に、地政学的リスクが高まっていること 3)中東や欧州の中央銀行が外貨準備高のドルからユーロへのシフトを推し進めていること 等が挙げられ、テクニカル的にもチャートポイントが次々にブレイクされており、このドル安の流れは暫く続きそうだ。
一方ドル円についても、今週も下値を探る可能性が高い。先週末に発表された日銀展望レポートでは、今年度の成長率見通しが上方修正、物価上昇幅も徐々に拡大する見通しが示され、ゼロ金利解除に対する思惑が高まりそうな雰囲気。また、テクニカル的にも三角保合を下抜けし、5/1には重要なサポートレベル(1ドル113.41円:今年の安値)もブレイクしており、円高が加速する可能性が強まっている。今週の注目は、5日発表の米雇用統計。予想を下回れば、ドル安が一気に進む可能性もあり、目が離せない。
4ズバリ 今週の予想レンジ
今週の予想レンジは 111.50-114.50円
ギャップオープン
当日の始値が、前日の終値と乖離(かいり)し始まること。通常、為替市場では24時間取引が継続していることから、ギャップオープンすることは稀であるが、今回のように週末の材料を受けて発生することもある。ここまで大きなギャップが生じるのは年に一度か二度程度。
本邦輸入企業や機関投資家のドル買いに
先週は“米系ファンドのドル売り VS. 本邦勢のドル買い”の構図で進んだが、今週は日本が大型連休に入るため、ドル買いの需要が減少することが予想され、円高スピードが速まるリスクもあり留意が必要。
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苅谷 達朗(かりたに・たつろう)
みずほコーポレート銀行 国際為替部
みずほコーポレート銀行国際為替部の為替ディーラーが執筆を担当します。(「先週」「今週」などの表記は、執筆日を基準にしています)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/kawase/ka060502.htm?from=os1