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□消費者金融の寡占化 [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=25997
【江上剛の経済・世相を斬る2】
2006年4月24日掲載
消費者金融の寡占化
銀行は融資残高より多重債務者の生活再建を競え
前田晃伸みずほフィナンシャルグループ社長から、畔柳信雄三菱UFJフィナンシャル・グループ社長に全銀協会長が交代した。
全銀協会長の交代はあまり大きなニュースにならないが、庶民にとっては大変重要なポストであることは間違いない。ところが2人の会見でのコメントが、なんだか庶民感覚とかけ離れているような気がした。
前田氏は、銀行の「儲け過ぎ批判」について問われ「儲け過ぎとは思っていない。むしろ海外の金融機関からはどうしてそんな儲からないのかといわれているくらいだ」と答えた。勘違いしているよなぁと極めて嘆かわしく思った。
儲け過ぎと批判しているのは、低い預金金利に抑えられ、かつ平気で住宅ローン金利を引き上げられる庶民なのだ。海外金融機関がどう言っているか知らないが、公的資金注入とゼロ金利で経営を復活させた銀行が、もっと謙虚にならずにどうするのだと言いたい。
世界の五指に入る銀行になってくれなどと庶民は前田氏にお願いしてはいない。安心して預けられ、適当な利息がもらえ、必要なときに融資してくれる親切な銀行を望んでいるだけだ。
一方、畔柳氏は、アイフルの過剰取り立てによる金融庁の行政処分について問われ「正当な(消費者金融に対する)ニーズが我が国に存在することは確かなことだと思う」と答えた。畔柳氏は正当なニーズに応えていくのが金融業の責任だというのだが、正当なニーズで消費者金融残高約11兆6000億円(平成17年3月末)、約200万人もの多重債務者を生み出すだろうか。
グレーゾーンが廃止されれば、中小の消費者金融業者の淘汰が進み、銀行系列の大手の寡占化が進むだろう。これは、すなわち銀行の責任が一層重くなるということだ。これからは融資残高ではなく企業を再建するように何人の多重債務者の生活を再建し、健全化させたかを競ってはどうだろうか。
●えがみ・ごう 作家。1954年兵庫県生まれ。「非情銀行」でデビュー。「異端王道」「腐蝕の王国」「座礁 巨大銀行が震えた日」など多数。近著に「円満退社」(幻冬舎)がある。