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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu117.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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投資家たちは、誰もがいつどこでも軍事力で、紙切れを商品に
交換するよう強要できる間しか、印刷された価値を信じない
2006年4月11日 火曜日
◆「敗戦国ドイツの実像」 ユルゲン・エルゼサー著
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9980143010
◆米国のイラク侵攻の本当の狙いは何か
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200510201134024
▼ブレジンスキーの「チェス盤」
米国エリートの脅威分析における変化は、90年代の先駆者による重要著作3冊に示される。フランシス・フクヤマは1990年、「歴史の終焉」を予言した。社会主義の崩壊後、リベラルな資本主義が世界を制圧し、ゆえに闘争や戦争の時代は過ぎ去るだろうというのである。
サミュエル・ハンチントンは1993年、正反対のテーゼを打ち出した。西側は脅かされ、イスラム原理主義や中国の儒教をまとった危険な敵が台頭し、「文明の衝突」が迫っているという。ズビグニュー・ブレジンスキーもその4年後、「唯一の世界強国」にとっての危険を見たが、それは別方向からであった。彼は、中国についてはその他大勢の扱いをし、ムスリム原理主義もついでに言及しているにすぎない(ブレジンスキー自身、70年代末、アフガニスタンで神の戦士らと協力し始め、彼らを現実的に評価できるからかもしれない)。
彼の分析の中心は、石油資源の豊富なコーカサスからカスピ海に至る地域を支配することでもない。この問題は、全7章中1章で扱われているだけで、批評家たちはその意義を過大に評価している。原典のタイトルは「大チェス盤」というが、この意味は、そうしたこととはいささか異なる。「ユーラシアは今後も、世界の覇権をめぐる戦いが繰り広げられるチェス盤」なのである。「ユーラシアの西端、ヨーロッパには世界有数の政治力と経済力をもつ国がいくつもあるし、東端のアジアはこのところ、世界の経済成長の中心になり、政治的な影響力が高まっている。
したがって、世界政治に関与するアメリカがユーラシアの複雑な力関係をどのように管理していくか、とりわけ、圧倒的な力をもつ敵対的な勢力がユーラシアに出現するのを防げるかどうかが、世界覇権国としてのアメリカの力を保つうえで、決定的になっている」という。今のところ、その危険は小さい。ブレジンスキーにしてみれば、西欧が、「ほぼアメリカの保護国の立場にあり、……古代の属国や進貢国のよう」だからである。しかし、それはいつまでも続くのだろうか?
ブレジンスキーは、米国のほか、フランス、ドイツ、ロシア、中国、インドと、地政上の主要5アクターを挙げている。彼が一息に、ユーラシアの対抗勢力を米国覇権にとっての脅威と見る時、それはインドや中国ではありえない。両国は中心から離れすぎている。となると、ドイツ、フランス、ロシアで、これは実際イラク戦争で、ワシントンにとって深刻な邪魔者となった国々である。
もちろん同書もNATOへの忠誠を誓ってはいるものの、その内的論理から、モスクワ、パリ、ベルリンへの挑戦が生じている。ドイツ語版の序文で、ゲンシャー元外相は、この挑戦を察知し、「読者のなかには、著者の語法が、多くの箇所で、19世紀から20世紀初期の権力政治・勢力均衡政策の思考を想起させるため不快感を覚える人もいるだろう。
また、米国の永続的覇権をこれ見よがしに要求し、却ってユーラシア圏での反米傾向を強めかねないとの異論もあろう。覇権の追求がたいてい対抗勢力の形成を引き起こすという歴史的事例は、枚挙にいとまがない」と述べている。
▼ライヒスマルク、ドル、ユーロ
改めて確認しておくと、「9・11」以前、米国経済は不況に陥っていた。ドイツ銀行のアナリストたちは、「米国と日本は不況だ。ヨーロッパは、さほど被害を受けないで済むよう願うしかない。株式市場は世界中で、少しずつ、しかし全体としては明確な修正を経験した。この状況では、深刻な不況の危機を認め、1929〜33年の世界大恐慌と対比したくなる」と憂慮していた。
実際、看過できない類例がいろいろあった。1929年も、2000/01年も、たくましい成長期が長年続いたあげく、世界経済の冷え込みと株の損失が起こった。20年代米国におけるGDPの実質的な増大は平均4・2%で、1991〜2000年の3・8%を上回ってさえいた。
それでも、ドイツ銀行は、大恐慌再現の危険があるとは見ていなかった。「その根本的理由は、金融・財政が、1929年世界経済恐慌の経験から学習したことにある。……1929年の株価暴落後、米国発券銀行は、流動資産を用立てるのをためらい、金利は高いままであった。通貨の流通量は、1931年末までに4分の1下がった。……これに対し2001年、米国発券銀行は、即座に積極的な利下げ政策を始めた。……米国は、膨張的な金融・財政により、世界経済を支えようとしている」からであった。
「9・11」後、この膨張的な政策がさらにはっきりした。冷戦期のような大規模な減税・軍需委託計画で、ブッシュ政権は、景気のテコ入れを試みた。その結果は破滅的であった。なるほど景気は、2002年第1四半期に上向いたが、その後再び下降した。さらに国家予算が、再びはっきりマイナスに転じた。「米国に破産迫る」と、2002年6月、新聞は報じた。
2004会計年度、政府は3070億ドルという赤字記録を見込んでいる。こうして、天文学的な対外債務と爆発的な国際収支の穴の後、空虚の恐怖が、最後に残った米国経済の借方項目、国家予算における黒字をも食い尽くした。
ブッシュはヒトラーと同じことを恐れなければならない。軍が勝利に勝利を重ね進んでいる間は、架空資本のバブルは潰れない。米国が軍事的に撃破されれば、すさまじい通貨下落が巻き起こる。1929年暴落の繰り返しはありえないという擬似薬にもかかわらず、ドイツ銀行も「とは言え、この危険は残る。とりわけ、軍事行動が長引くか、さらなるテロが起こった場合がそうだ」と、危険を認めている。
今日ドル(およびドルで値段のついた有価証券)には、第二次大戦中のライヒスマルクと同じことが当てはまる。つまり投資家たちは、誰もがいつどこでも軍事力で、紙切れを商品に交換するよう強要できる間しか、印刷された価値を信じないということである。米国が、世界で2番目のイラクの石油資源を管理下に置けば、その国民経済の信用状態は高まる。
続いてサウジアラビアも「ならず者国家」と宣告され、米国にあるサウジの在外預金──1兆ドルとすら推定されている──が敵国資産として凍結されたとしたら、米国の対外負債の大部分が賄えることになる。また、中国や日本も、やはり1兆ドルという保有外貨をユーロに替えようとする誘惑にかられることはもはやないだろう。両国は、6割方イラクの石油に依存しており、これは米国系多国籍企業の完全な支配下に入るからである。
さらに米国は、イラクの備蓄石油を安く市場に投げ売りすることで、ロシアがユーロ陣営にこっそり移行するのを阻止できる。原油価格が世界中で、1バレル17ドル以下になれば(2003年初頭は30ドル)、ロシアの石油収入も下がり、プーチンに国家破産が迫るわけである。このことで、米国の批判者は数多く従順になった。
つまりイラクでは、「石油のための血」だけでなく、米国の支払い能力の防衛が問題なのであって、石油の支配は一面しか表していないのである。とどのつまり行われているのは、資源戦争ではなく世界通貨戦争、ドル対ユーロなのである。
【ユルゲン・エルゼサー略歴】
1957年プフォルツハイム生まれ。1980〜84年に教員生活を送った後、ジャーナリズムの世界に転身し、ハンブルクの『コンクレート』誌の編集部に在籍。最近では日刊紙『ユンゲ・ヴェルト』や週刊新聞『フライターク』などに寄稿。特にバルカン情勢の分析には定評がある。
(私のコメント)
アメリカがなぜイラクに侵攻したのかという理由については、いろいろ書いてきましたが、石油を確保するためとか、ドルの基軸通貨体制を守る為とか、イスラエルの脅威になるイラクを取り除くための三つ考えられます。それにアメリカのそれぞれの勢力が協力しあっての戦争なのでしょうが、計画は上手くいっているのだろうか。
アメリカの軍事力を世界に示す事によってドルの価値を守るという発想は13世紀のモンゴル帝国の紙幣を連想させます。同じく日本で紙幣が通用しているのも政府の支配権力が日本の隅々まで及んでいるからで、日本政府が崩壊してしまったら紙幣は通用しなくなり、幕末の時のような藩札が通用するようになるのだろうか。
中南米諸国のように経済が不安定な国も、自国の通貨よりもUSドルのほうが通用するようですが、アメリカが巨額の双子の赤字を抱えていてもドルが信用されているのはアメリカの軍事力の後ろ盾があるからなのだろう。そのアメリカの軍事力を世界に見せ付けるためにもアメリカは10年おきぐらいに戦争をしている。
逆に考えれば日本の円が世界の基軸通貨になれないのも軍事力の後ろ盾がないからで、いずれ日本の円はドルに飲み込まれてしまうのだろうか。EUのユーロがドルに対しての挑戦者となっていますが、ユーロがドルに取って代わるにはアメリカを上回る軍事力の後ろ盾が必要になる。
もっとも軍事力だけあれば通貨が信用されるのかといえば、アメリカと並ぶ軍事大国だったソ連の通貨のルーブルはあまり信用がなかった。ソ連の崩壊とともにルーブルは紙切れ同然になりましたが、通貨の信用度も国家の行く末を反映するようだ。
ブッシュ政権にとってショックだったのは、9・11テロのようなゲリラ的な攻撃にアメリカ本土がさらされた事ですが、これは古代ローマ帝国の軍隊が辺境に固定化されて、西暦410年に首都のローマに西ゴート族が進入してきてローマが占領された事を連想させる。当時の西ローマ皇帝のホノリウスの権威は失墜し、476年には西ローマ帝国は滅亡した。
9.11テロ事件に対するアメリカの反応は異常とも思えるほどで、ブッシュ大統領は「敵か味方か二つに一つ」と世界を脅した。犯人がはっきりしないにもかかわらずアフガニスタンとイラクに攻め込んだアメリカは軍事力を見せ付ける事で国家の権威を保とうとした。それはドルを守る事を意味した。
しかしアメリカがイラクの支配に失敗してアメリカ軍がイラクから撤退するような事があればドルは暴落するだろう。アメリカの誇るハイテク兵器や核兵器は使えない兵器である事が証明されて、やはりその国を支配するにはソフト面やハード面における人的な力が必要なのだ。しかしアメリカには経済的にも文化的にも60年代のアメリカの輝きはもはやない。
アメリカの国力の源泉であった国内の巨大油田は枯れようとしている。それに伴って石油は1バレル100ドルとか200ドルへと高騰して行くだろう。そうなればアメリカの自動車文明は衰退して、ゼネラルモータースも潰れかかっている。いずれボーイングの飛行機会社も潰れるだろう。
「敗戦国ドイツの実像」を書いたユルゲン・エルゼサー氏はヒトラーとライヒスマルクの関係を述べていますが、ドイツは敗戦がもたらす貨幣価値の暴落を何度も体験している。日本も敗戦後はハイパーインフレで国債や紙幣が紙切れになってしまった。しかしアメリカは敗戦によるハイパーインフレはまだ経験がないが、ベトナムで敗れた時は二桁インフレを体験した。
アメリカの1ドルは360円だったがドルショック・ニクソンショックで120円になってしまった。アメリカがベトナムと言う小さな国と戦争をしても勝つことが出来ず経済が疲弊してしまったからだ。そしてイラクに侵攻して3年たっても目処もつかない状況で13万人足らずの兵力でも維持する事も苦しいようだ。
テロリストたちはハイテク兵器も通常兵器も通用しないような方法で攻撃を仕掛けてきますが、テロリストを制圧するには膨大な兵力を必要としている。イラクの石油を手に入れようとするならばイラクに40万人の兵力を常駐させる必要がある。そんな事はアメリカでも出来るわけがない。ソ連でもアフガンに10年ものゲリラ戦で国は疲弊して崩壊してしまった。アメリカも同じ運命をたどるだろう。