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イスラム金融 / イスラム銀行 †
原油価格の高騰でイスラム金融が活発になっている。中東産油国の石油収入は05年3000億ドルに達したと見られ「オイルマネー」の行方が注目される。その行く先の一つにコーランの教えに従い資金を運用するイスラム銀行がある。
コーランは「利息」を禁止している。正確に言えばカネを貸すだけで確定した利息をとる行為を否定している。事業者にだけリスクを負わせ、自分は担保を取って安閑と利息を貪(むさぼ)るのは不道徳、という考えだ。
「ベニスの商人」を否定するのがイスラム金融と思えば分かりやすい。
だが金利を否定すると銀行は成り立たない。そこで金利を取らずに資金を融通する試行錯誤が20世紀半ばから検討されてきた。
銀行は借り手と共同事業を行い、成功すれば利益を折半し元金に上乗せして回収する。あるいは銀行が資材を買ってリースし手数料を取る。方法は様々だが銀行も事業リスクをとり、失敗すれば損失を被る。貸手も責任を負うのが特徴だ。
取引先にも厳格な規定がある。酒、賭博、ブタ肉など戒律に触れる資金提供はしない。利益の過半が金利収入という企業もダメ。つまりサラ金やマネーゲームにはカネを提供しない。
誠実、公平、相互扶助がイスラム教の根底にある。イスラム銀行には「シャリア委員会」と呼ばれる組織があり、資金がイスラム法に従って使われているかを審査。モラルを収益より重視する経営で、企業の社会的貢献(CSR)や企業のコンプライアンス(法令順守)に似た潮流である。
流れはアジアに広がっている。マレーシアはマハティール前首相の時代にイスラム金融が盛んになった。ヘッジファンドによる投機が引き金になったアジア通貨危機への怒りが発端だ。タイはタクシン首相が地域の活性化にイスラム金融を奨励した。
9・11がこの流れを加速した。反米感情がイスラム回帰を促し、金融の世界も戒律が重視されるようになった。米国に向かったカネが資産凍結を恐れイスラム圏にUターンした。シティバンクやパリバ銀行など米欧の金融機関までが、子会社や専門支店を作ってイスラム金融を始め資金獲得にやっきになった。そこに石油価格の高騰が重なる。
バーレーンやドバイの目抜き通りには「イスラム銀行」の看板があふれている。いまや40カ国余で200を超える銀行が約3000億ドルの資金を動かしている、といわれる。
(略)
【経済】イスラム金融の台頭
山田厚史(編集委員)
朝日新聞 be