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JMM [Japan Mail Media]  「団塊の世代」大量退職の影響
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/733.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 3 月 27 日 22:43:38: ogcGl0q1DMbpk
 

                              2006年3月27日発行
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JMM [Japan Mail Media]                 No.368 Monday Edition
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                        http://ryumurakami.jmm.co.jp/

▼INDEX▼


■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第368回】

   □真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
   □金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
   □菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
   □津田栄   :経済評論家
   □山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
   □岡本慎一  :生命保険会社勤務
   □杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務
□三ツ谷誠  :三菱UFJ証券 IRコンサルティング室長

 ■ 『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』


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 ■ 先週号の『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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 Q:702への回答ありがとうございました。箱根から戻ってきました。娑婆に戻
ってきたという感じです。昼間は日本対韓国の野球をボーッとして見ていました。日
本は勝ちましたが、紙一重の勝負だったと思います。上原投手の集中力が7回までに
一瞬でも切れていたら負けていたでしょう。韓国チームの内外野の守備は見事なもの
でした。日韓が野球で競い合うのはすがすがしいものがありました。これを機に、日
中韓台のチャンピオンシップを争う、サッカーの欧州チャンピオンズリーグのような
交流試合が行われるようになるといいのではと思いました。
 
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■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第368回目】
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====質問:村上龍============================================================

Q:703
 来年から「団塊の世代」の大量退職が始まります。700万人に上ると言われる大
量のリタイアは日本経済にどのような影響を与えるのでしょうか。

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※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
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 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

 団塊世代の退職が始まる、いわゆる2007年問題は、今のところ、経済全体にプ
ラスの影響が大きいように見えます。2007年の団塊世代の大量退職が、景気の回
復による労働市場の改善を後押ししているからです。来年の就職戦線は、専門家によ
ると、「ここ10年以上、見たことがないほどの売り手市場」といわれています。9
0年代後半からの氷河期といわれた時期とは様変わりです。また、2004年後半か
ら、給与所得者の給与も明確に上昇傾向を示しています。雇用・所得環境が好転した
ことが個人消費の底堅い展開を下支えし、それが景気のしっかりした足取りをサポー
トしています。

 しかし、団塊世代の退職は経済にとって一時的な特殊要因で、それが過ぎてしまう
と、基本的には労働市場に中立の要因になると考えられます。団塊世代の退職は、様
々な影響を与えます。その影響を、社会の制度と経済活動の二つの観点から整理しま
す。

 先ず、社会制度について最も大きな問題は、社会保障をどうするかだと思います。
2007年問題が到来することによって、わが国の少子高齢化から発生する色々な問
題が顕在化します。今までは、あまり現実味が無かったことが、目の前にやってきま
す。それを避けて通ることはできません。出生率は、政府の予想を上回るペースで下
落しています。現在の賦課方式(支払われた保険料を集めて、それを給付者に分配す
る方式)が維持できないことは自明でしょう。

 1947年に生まれた人たちの本格的な年金需給は、2012年からといわれてい
ますが、それは目前に迫っています。2012年以降、700万人を越える受給者が
権利を取得することになるでしょう。その原資を何とか捻り出さないと、年金制度の
維持は難しくなります。小泉政権による年金制度改革は遅れていますから、早晩、ど
こかの時点で本格的な改革の議論が必要になると考えます。

 また、団塊世代が退職期を迎えることで、企業の退職制度、あるいは労働市場が変
わる可能性が高いと思います。現在、多くの企業は60歳定年制を使用しています。
しかし、60歳を過ぎても働きたい、体力や能力もあるという人材は多いでしょう。
企業は、そうした人材を生かす工夫を始めています。ある大手自動車企業は、勤務経
験や技術を格付けして、本人に働く意思がある場合、雇用を延長する制度を取り入れ
ました。こうした制度は、今後、他の企業でも採用されることが予想されます。そう
すると、昔は60歳以上のシニア層は引退して、悠々自適に暮らすというライフスタ
イルが、変わることが想定されます。

 団塊世代の退職を経済活動の視点から見ると、先ず、退職した人たちは多額の退職
金を手にします。その資金が消費に向かうとすれば、一時的に個人消費を増加させる
ことが考えられます。それは、短期的に経済成長率を高めます。一方、退職した人た
ちは、仕事を継続しない限り、年金以外の収入がなくなるはずですから、中長期的に
は、消費水準が下落することも考えられます。しかも、公的年金制度には不安な部分
もあるため、消費性向が落ちて、全体の消費水準が低下することも想定されます。

 また、年金生活者の割合が高まることによって、社会全体の貯蓄率が低下すること
も懸念されます。この点については、一部の経済専門家から、かなり悲観的な問題提
起がなされています。そうした状況になるか否かは兎も角として、長期的に貯蓄が減
少すると、国内の資金だけでは国債の消化が困難になり、長期金利が上昇して、経済
成長を低下させることも考えられます。この点については、貯蓄率の動向等を注視す
る必要があります。

 もう一つ、懸念されているファクターがあります。それは、コンピューターのソフ
トなどに関して、知識や技術の移転が進んでいない点です。ソフト等の作成・補修に
ついては、口伝的な要素が多いといわれています。団塊世代に蓄積したノウハウが、
それ以降の世代へあまり移転されていないという指摘があります。この点について、
業界の人にヒアリングしたことがありますが、「確かに、昔作成したソフトの補修な
どは、かなり難しい」との答えでした。

 団塊世代の退職は、わが国にとってはかなり大きな転機になることが予想されま
す。たぶん、個別の企業や業界などには、一時的に生産性が落ちたり、生産工程に狂
いが生じることが考えられます。しかし、それらの多くは、時間が解決してくれる問
題でしょう。最大の問題は、今後、わが国の出生率が加速度的に低下する場合には、
私たちが考えていたよりも早く、本格的な少子高齢化社会にと突入することだと考え
ます。今は、その準備が十分整っているとは考えにくく、社会全体の制度、経済活動
の面においてフリクションが発生する可能性は高いと思います。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

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 ■ 金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務

 2007年から2010年にかけて、一般的な企業の定年である60歳を迎える世
代の人口は、平成12年の国勢調査によると、およそ男女合計で905万人とされて
います。この中で就業者数は709万人とされていますが、さらに家事のかたわら働
いている人などを除き、仕事を主とする就業者数としては601万人という数字にな
ります。

 ここで、これらの「団塊の世代」が定年などの退職年齢を迎えることによる影響を
試算するために、平成12年の国勢調査の時点での就業状況を参考として見ますと、
60歳を境にその前後の5歳台での仕事を主とする就業の率は61%から40%へと
約2割程度の低下が見られることが分かります。これを基に、2007年から201
0年にかけての「団塊の世代」の大量退職に伴う就業者数の減少は120万人前後と
推測されます。

 このような労働力人口の縮小による実質GDPへの影響としては、16兆円程度の
影響、すなわち経済成長へ与える影響度としては3%程度との圧し下げ要因と推測さ
れています。ただし、平成17年版「労働経済白書」でも、実質GDP成長において
労働寄与分は既に1995年以降ではマイナス寄与となっているとの指摘もあり、労
働力人口の縮小による経済成長への影響については既に所与のものと考えてよいでし
ょう。

 さらに、「団塊の世代」の大量退職は生産面での直接の影響以外にも、退職に伴う
退職金支払等の企業負担、一時的なオフィス需要の後退、退職者の消費購買行動の変
化など、多方面への影響が想定されることから、実際の影響度と試算との間には相当
の幅が出るもの考えられます。

 また、「団塊の世代」の大量退職を含めた高齢化の影響としては、構造的な貯蓄率
の低下にも注意が必要です。「家計調査」などミクロベースで見た家計の貯蓄性向は
90年代を通じて上昇傾向を辿り2000年代に入ってからも必ずしも大幅な低下は
見られていません。しかし、高齢化の影響を反映した「国民経済計算」などマクロベ
ースでの貯蓄率は1990年代以降低下傾向にあり、1991年度の15%から20
04年度には3%まで大幅に低下しており、今後さらに低下してマイナスとなる可能
性も高いといえます。

 このように、経常収支の黒字による貯蓄超過を通じて自国内で成長をファイナンス
する構造は、これまで日本の経済成長を支えてきた成長要素のひとつでしたが、これ
も転換点を迎えていることが指摘されます。

 もちろん、「団塊の世代」の大量退職については、試算上のマイナスの影響ばかり
を指摘するのは必ずしもフェアではありません。確かに、短期間で100万人を超え
る就業者の減少による経済への影響は無視できません。また、「団塊の世代」の雇用
数が相対的に多い製造業などでの技能の継承など、個別企業レベルでの影響もあるで
しょう。しかし一方で、「団塊の世代」の大量退職により、若年層の雇用が拡大する
余地が生じるのではあれば、社会的には必ずしも悪いことではありません。

 一般的に、退職年齢と平均寿命の差が広がることは、公的年金や生活保護などの高
齢者社会保障への依存期間を増加させ、社会保障負担を上昇させるというリスクが伴
います。そのため、退職年齢者の雇用延長あるいは定年退職後の再雇用などの就労機
会の確保についても、関心が高まっています。しかし、この点についても、年金およ
び社会保障制度を担うべき若年層にとっての雇用機会との競合もあり、一概に高齢者
の就労機会の拡大を優先すべきなのかは自明ではありません。

 高齢者層である55ー64歳の雇用率では、日本は既に欧州諸国との比較では10
%近く高い水準にあり、若年層の就労率の低迷を差し置いて、さらに高齢者に高水準
の就労機会を提供することが必要か、との議論もあります。しかし、一方で、これら
の欧州諸国では、特にフランスなどが代表的ですが、かつては若年層の就労機会拡大
の意図および国民文化的な背景から制度的には早期退職を奨励してきましたが、結果
的には若年層の雇用問題は改善せず、これまでの早期退職奨励の政策を見直していま
す。

 こうした点を考慮しますと、高齢者の定年退職後の就労機会確保については、若年
層の雇用機会を損なうことがないよう、また企業の過度の負担とならないよう留意し
つつも、何らかの対策を講じる必要があると考えられます。その場合には、雇用にお
ける年齢差別の禁止、高齢者への職業訓練の機会提供の拡大、多様な雇用形態の導
入、あるいは一定の収入の範囲内であれば就労しながらの年金受給を可能にする、な
どの緩やかな対策が好ましいと言えます。

 もちろん、高齢者にとっての就労機会は単に経済的な側面だけではなく、本人にと
っての生き甲斐として、高齢者の生活の質という観点からも検討されるべき問題で
す。この点に関しては、「団塊の世代」などでも経済的に余裕のある層では、NPO
など非営利団体でのボランティア活動などに関心が高まっています。これは、社会へ
の貢献および本人の生活満足の向上と言う観点からは、非常に好ましいことです。

 しかし、こうした非営利の活動が、民間の営利事業と競合する場面が必ずしもない
わけではなく、結果的に若年層の雇用機会を奪う、あるいは所得に対して引き下げ圧
力となることも否定できません。また、高齢者のボランティア活動についても、ボラ
ンティアを提供する側の意向(例えば、英語や野球を教えたい)と、受け手の側のニ
ーズ(英語は外国人に習いたい、サッカーをやりたい)が合わす、頓挫するケースも
少なくないと言われています。

 このように、「団塊の世代」の大量退職による日本経済への影響については、正確
には読み切れない要素も大きいと思われます。これは、「団塊の世代」自身が、今後
の生き方を決められない状況とも重なっています。

                外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎

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 ■ 菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト

 政府の国立社会保障・人口問題研究所は2002年時点で、総人口は2006年に
ピークを迎えると予想していましたが、2005年に死亡者数が出生数を上回り、当
初予想よりも2年早く日本は人口減少時代に入りました。これまで打ち出されてきた
少子化対策は有効でありませんでしたが、危機感を強めた政府は3月23日に少子化
対策を議論する政府・与党協議会の初会合を開催し、6月に対策をとりまとめるとい
います。

 以前から様々な2007年問題が指摘されていましたが、2006年に入り、団塊
世代(1947ー49年生まれ)の2007ー10年の大量退職が改めてクローズア
ップされてきました。団塊世代は合計700万人と、他の世代に比べると2−5割も
多いといわれています。団塊世代は、所得が右肩上がりに増えるという高度経済成長
時代を満喫し、終身雇用や年功序列など日本的雇用に守られ、バブル以前に住宅を購
入しバブル崩壊の痛手を受けておらず、年金もまだかなり貰える時代に老後生活に入
るなどの面で、ポスト団塊世代より相対的に恵まれた人生といえます。団塊世代の大
量退職は、労働市場、消費や貯蓄、企業収益、不動産市況などに大きな影響を与える
でしょう。

 団塊世代の大量退職が経済や資本市場へ与える影響を強気に考えるか弱気に考える
かは、見方が分かれています。日本経済研究センターの八代尚宏理事長(当時)は
「団塊世代の引退行動がマクロ経済に及ぼす影響について」の中で、「団塊世代の引
退は、引退前の労働力率を維持すると考えた場合と比べて、最大限130万人の労働
力供給を減少させる。これは7兆円の雇用者報酬、16兆円の実質GDPが失われる
ことを意味する」と弱気の見方を述べられました。しかし、私は2050年までの人
口減少は年率約0.5%程度にすぎず、成長志向の高まりと生産性向上で十分補える
と考えます。吉川洋東大教授も「このまま人口が減り続けても労働生産性向上で2%
程度の成長は可能」と述べられています。

 人口減少時代の経済成長では、高齢者や女性の有効活用や、これまで才能と機会を
抑制されてきた若年層の台頭が鍵となるでしょう。今年4月からは段階的に65歳ま
での雇用継続を企業に努力義務を求める改正高年齢者雇用安定法が施行されます。最
近は女性の経済的役割の高まりに注目するウーマノミックスという言葉も流行してき
ました。2007年度の大卒採用計画は3年連続で20%台の高い伸びになるという
ことで、若年層の雇用機会は大きく改善しています。昨年4月に10.3%だった1
5−24歳の失業率は、今年1月に7.8%へ2.5%も低下しました。

 団塊世代の大量退職は企業収益にも好影響を与えると予想されます。日本では年功
序列賃金により50歳台前半が賃金カーブのピークになっているため、団塊世代が退
職すれば、企業の支払賃金総額が減少すると予想されます。賃金カーブが一定と仮定
すると、年齢別人口構成のシフトによって、2010年にかけて企業全体の人件費総
額は3%程度減少することになります。多くの上場企業は従業員の平均年令だけを公
表しており、年齢別構成を公表している企業はほとんどありませんが、従業員の平均
年令を業種別に加重平均すると、鉄鋼、化学、建設、陸運、機械などの平均年令が高
く、団塊世代の退職による人件費削減効果が大きいと推測されます。

 団塊世代の大量退職は株式需給にも良い影響を与えると予想されます。団塊世代は
約50兆円もの退職金を受け取るといわれています。電通シニアプロジェクトのアン
ケート調査によると、退職後にしたい行動としては旅行が1番ですが、2番目はマネ
ープラン作成と株式投資になっています。団塊世代はパソコンを使える人も多いう
え、株式投資について考える時間的余裕もできることから、インターネットを通じた
株式取引が一層盛んになるでしょう。

               メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊

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 ■ 津田栄  :経済評論家

 2007年から始まる団塊世代の定年退職は、700万人といわれる数字を見る限
り、日本経済にはさまざまな影響がでると予想されています。しかし、何事もコイン
の表裏のようなもので、どういう影響かは見方によってプラスだったり、マイナスだ
ったりで、内容が異なるのではないでしょうか。

 まず、団塊世代の大量定年退職は、それだけで雇用者の減少となりますから、その
分成長力は低下するという見方があります。とはいっても、一方で毎年100万人以
上の、中学、高校、大学など卒業した若者が雇用者などになって経済に寄与してきま
す。また、最近のIT技術の進展で労働も効率的になってきていますから、団塊世代
が就職し始めた時ほどの大量の雇用者を日本経済が求めているわけではないはずで
す。最近の企業は団塊世代の大量退職を控えて、人材確保のために積極的な新卒採用
や若年層の途中採用に走っていますが、当時ほどの大量は必要ありません。

 また、団塊世代は、定年退職しても原則5年後でないと年金受給資格が得られませ
んので、その間退職金で生活するか、あるいは、体力的に働く元気と意欲があれば、
継続的に働くことになります。不確定な将来のことを考えれば、後者を選ぶ団塊世代
が多いのではないかと思います。企業も60歳定年制を採用しながらも、後輩への技
術や経験などの知識を伝授してもらうために、定年退職後も再雇用する動きが広がっ
ており、その点でも、団塊世代は退職するといっても、同じ職場で、あるいは同じ職
種で働く姿が見られるのではないかと思います。つまり、大量定年退職で急激な雇用
の変化が起こるという悲観的な動きはないと思います。

 一方、企業にとって見れば、大量の定年退職は、例年以上の退職金支払い債務が発
生します。一時的には企業の業績悪化を招き、経済にマイナスになるといわれていま
すが、企業もそうした債務の発生を前もって予想しているはずで、そのために資金等
は準備しているはずです(もししていなければ経営者の怠慢です)。また、これまで
の定年間近の雇用者に払う高い給与などは退職と同時に消える一方、新規採用の若年
層の給与は一般的に低いことや定年退職後の再雇用での給与も大きく減ることから、
その分長期的にコスト削減につながるのではないかと見られ、そういった点からも、
企業収益への悪影響は、一時的であって、過大に見る必要はないように思います。

 マクロ的に見ると、団塊世代の大量定年退職は、年金、貯蓄、消費などに影響を与
えると思われますが、彼らがどう行動するか、またそれにあわせた政策がどう採られ
るかによって経済にはプラスにもマイナスにもなります。その意味で、ここでこうだ
と言い切ることは難しいです。

 まず、年金では、団塊世代が年金を受給するのは2012年からということにな
り、その意味でその時点から政府に膨大な年金支払い債務が発生します。そして、政
府の予想以上の少子化の進展は、賦課方式の年金制度がもはや維持不可能な状況を強
めて、政府負担が膨らみます。その意味で、今後、年金制度の抜本的改革を行なわな
ければ、政府の財政破綻を招きます。それは、年金受給者の就労を促しながら、その
所得分を年金支払いに反映させて減額するなど、政府負担を減らし、掛け金を払う現
役世代の負担を幾ばくかでも軽くするような政策が求められましょう。そのための退
職後の雇用や就労の支援の政策が重要です(もちろん現役世代の職を奪わないような
配慮は必要です)。またそれは働くことで健康管理も可能になり、長い目で見れば
健康保険負担の減少にもなります。

 一方、最近、高齢化の進展とともに、貯蓄を取り崩し消費に回す動きが広がり、貯
蓄率が低下していると言われています。確かに国民経済計算で見た貯蓄率は90年初
めの15%台から、最近では5%を割る水準にまで低下してきています。この流れは
大きく変わらないかもしれませんが、今回団塊世代が受け取る大量の退職金は一時的
に貯蓄に回ると予想され(いわゆる企業から個人への一時的な所得移転ということで
す)、その時点では、貯蓄率の低下が止まると見ています。ただ、またいずれ貯蓄
から消費などに回りますから、低下の流れは始まります。特に、年金支給額が減額な
どされれば、一段と進むかもしれません。

 一方で、それは消費を通じて経済にプラスに働きます。企業収益が堅調であれば、
現役世代の所得が増えますから、一概に貯蓄率の低下を持って、マイナスの影響だと
断定できないといえます。ただ、将来不安が加速するならば、貯蓄の低下は止まる一
方、消費も冷え込む可能性があります。それも将来の不透明さをどこまで消せるかに
かかっています。高い貯蓄率は、融資を通じて企業の設備投資を支えてきた面があり
ます。一方、日本の大量の国債発行を問題なく国内消化してきたことも事実であり、
この低下が今後予想される雪だるま式に増える国債発行を支えきれなくなる恐れがあ
ります。

 つまり、政府をできるだけスリム化して国債の大量発行を食い止めなければ、国債
の需給悪化により金利が上昇し、さらに財政悪化を招き、資金が海外に逃げて、円安
によるインフレと経済低迷につながることも起こりえます。結局、今直面している問
題は、現実に存在し、時間の経過とともに進行しています。そして、問題を客観的に
捉え、国民にその抜本的改革のための政策を提示して早く実行しなければ、団塊世
代の大量定年退職は一気に深刻化する爆弾にも、逆に、それができるならば、それは
日本経済の起爆剤にもなりえます。

 私個人としては、団塊の世代の大量定年退職が日本経済に思ったほどマイナスの影
響を与えるとは思っていません。むしろこれからの私たちの行動で、物事は、プラス
にもマイナスにもなりえます。つまり、それは、そのことを受け入れる体制がどうな
っているか、そして今回の場合、定年退職する団塊世代がどう行動するかで決まりま
す。その意味で、政府は、団塊の世代が積極的に経済、社会に関われるような環境を
整え、政策的に問題の解消の道筋を早くから示し、将来に対する不安や不透明さを緩
和することが求められているといえましょう。
 
                             経済評論家:津田栄

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 ■ 山崎元  :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

 団塊の世代の大量退職は、広く理解され予想されていることなので、ただちに大き
な影響がある、ということではないように思います。

 団塊世代退職というイベントの直接的な影響としては、公的年金と企業年金の両方
で受給者が急増するということでしょうが、当面、年金の支払いに困るというような
事態は起こりそうにはありません。彼らの受給額は、以前から予想されており、年金
債務として認識されており、彼らが現実に退職したことによって、予想外に年金財政
が悪化する訳ではありません。また、企業における退職金支払いの問題も、先の不況
の間に、先を見越して、既に退職金を軽量化した企業が多く、団塊世代への退職金支
払いが、多くの企業の経営を大きく傾ける要因になるとは思えません。

 注目されるのは、貯蓄率への影響ですが、団塊世代は長期的には高齢化して貯蓄を
取り崩すので、彼らの存在は貯蓄率の低下要因として働きそうですが、当面は、退職
金を手にするので、むしろ貯蓄率を上昇させる要因として働く公算が大きいと思いま
す。日本の貯蓄率は、現在、急速な低下トレンドにあり、2004年度には2.8%
まで下がっています。団塊世代だけの問題ではないと思いますが、今後、貯蓄率がマ
イナスの領域に入ることも考えられ、その頃には(数年ないし十数年後と思われる)、

現在のような企業部門の資金余剰がなければ、金利が上昇しやすくなっているでしょ
うし、国内の貯蓄で不足するファイナンスが、外国人によってなされるということな
ので、日本の経常収支が赤字になっている可能性が大きいと思います。

 一部では、企業の技術伝承の問題が上手く行かないのではないかということが心配
されているようですが、団塊世代で、伝承が不十分で必要な技術を持っている人は、
何らかの条件で再雇用されるでしょう。

 また。高齢時の体力や仕事の能力には大きな個人差があると思われますが、たとえ
ば60歳でも元気な人は大いに元気で能力があるので、団塊世代の退職者の起業とい
ったことも大いに期待したいところですし、現実に現れてくるのではないかと思いま
す。ただし、一般論としては、ビジネスのスタートには大きなエネルギーが必要なの
で、定年を迎えてから起業に取りかかるよりは、もっと前から、ビジネスを始めた
り、少なくとも準備をしていたり、といった、将来の働き方のために周到な準備をす
る姿勢が大切ではないかと思います(兼業が可能ならリスクを抑えられて好都合な場
合が多い筈です。企業は社員の「兼業」をもっと積極的に認めるべきでしょう)。

 ところで、「定年」という年齢によって社員を解雇する仕組みは、個々の解雇の手
間を省いて、円滑に企業を運営する仕組みですが、業務上の能力ではない理由で、社
員を差別するものであり、本来望ましいものではないと思います。

 また、この「定年」という制度の存在を後押しする役割を果たしている、「退職
金」という制度も望ましいものではありません。これは、退職金対する課税率が非常
に低いことから広く利用されている制度であり、税制に支えられたいびつな制度です
が(天下って何度も退職金を貰う高級官僚などにとっては好都合な制度です)、労働
の提供とその対価の支払い時点が大きく離れるために、円滑な人材の移動を阻害して
いますし、同じ所得であっても給与や賞与なら税率が高く、退職金の形を取ると税率
が低い、という税制上の不公平をもたらしています。

 団塊の世代の退職で「定年」に関心が集まることをきっかけに、「定年」「退職
金」といった好ましくない制度が見直されることを期待したいと思います。

              経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元

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 ■ 岡本慎一  :生命保険会社勤務

 団塊の世代(1947〜1949年生まれ、806万人)が60歳定年に突入しよ
うとしています。団塊世代の大量退職は社会保障問題に大きな影響を与えます。支え
る人と支えられる人の割合が大きく変わるのですから社会保障の財布が苦しくなるの
は当然です。社会保障の仕組みは、少子高齢化に順応できる様に見直していくべきで
す。

 ただ、アンケート調査では、団塊の世代が「支えられる人」には、なりたくないと
考えている実体が浮かび上がります。シニアプラン開発機構の「団塊の世代の定年後
における労・生活のあり方に関する研究(中間報告)」(H17年度)によれば、団
塊世代の60歳代前半の生活において9割近くが就労意欲をもってます。

 働きたい理由としては、40歳以上の全世代への調査では、「他の収入だけでは生
活費が不足するため」という理由が55.7%で最も多く、次いで「生活費以外の小
遣い等ゆとりのある生活をおくるため」が40.0%となっています。しかし、団塊
世代に限っては、第二の理由に「社会や人とつながっていたいから」が挙げられてい
ます。「社会に貢献するため」という理由も22.8%と全世代平均14.4%を大
きく上回っています。調査結果は幅をもってみる必要がありますが、団塊世代は、他
の世代にない特有の就労観念をもっている様です。

 団塊世代は日本経済を牽引してきた中核世代であり、若年世代にはない経験や技術
を持っています。その様な貴重な労働力が収入獲得だけに拘泥せず、強い就労意欲を
持っていることは日本企業にとっては大きなチャンスです。政府が雇用延長等を制度
化するまでもなく、すすんで彼らの受け皿となろうとする企業が必ず出てくるでしょ
う。急激な労働者不足に陥るリスクは小さいと思います。

 また、仮に退職世代が大きく増えたとしても、そこには新たなビジネスチャンスが
生まれます。高齢者が消費するサービスには潜在的に大きな需要があるはずです。健
康・医療、住宅リフォーム、旅行など、工夫次第で高齢者を惹き付けるあらたな市場
が創造されるでしょう。

 団塊世代の退職という「ピンチ」は、供給面からも需要面からも、「チャンス」に
変えられる可能性が大きいと思います。団塊世代の退職でGDPが10兆円以上も喪
失するとの試算もある様ですが、私はその影響は今考えられているよりも、ずっと小
さいものにとどまると考えます。

 団塊世代の退職が日本経済全体に与える影響は限定的だと考えます。しかし、冒頭
述べた様に、社会保障という配分の問題には、避けられない大きな影響を与えるはず
です。団塊世代の大量退職によって発生する本当の危機は、日本経済の成長力の低下
ではなく、配分の見直しを迫られることで生じる「世代間の対立」になると考えます。


                         生命保険会社勤務:岡本慎一

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 ■ 杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務

 まだデフレだった2年前には、年金制度の崩壊の恐怖もピークに達していました。
団塊の世代の退職は、貧しい老齢人口の増加、働き手の減少から新たなるデフレ圧力
と捉えられ戦々恐々としていましたが、ここにきて経済がはっきりと回復を始めるに
およんで、彼らの退職も暗い面ばかりではないことが語られるようになりました。

 もちろん格差社会でもありますから個人差も大きいながら、彼らはなんといっても
前後の世代に比べて明らかにハッピーリタイアメントを迎えることができます。高度
成長の恩恵を受ける形で成人し、日本経済の成熟していく過程で資産形成ができ、バ
ブルの影響を受けない時期に第一次の住宅取得を終えています。住宅を確保し、潤沢
な金融資産とまだ水準を維持している年金制度に支えられながら定年を迎える団塊の
世代は、他の世代からみるとうらやましい限りです。かれらのようなハッピーリタイ
アメントは、もう望むべくはないのですから。

 うらやましいですが、若い世代がこの世代の退職に期待できることもあります。彼
らは、企業内では給与が高くて、職位も高かったはずですから、退職により若年層の
雇用増、賃金ベースアップ、あるいは企業収益アップの要因になります。また社内の
職位で、これまで頭を抑えていた階層が大量に抜けるわけですから、風通しが良くな
り下の世代の労働意欲を刺激する可能性があります。企業の風土の刷新の良い機会と
なることでしょう。

 団塊の世代が比較的富裕であるのなら、その金が経済全体に回ることが必要となり
ます。そのために、まず団塊の世代は良い消費者になることが期待されています。彼
らの購買力は、非常に魅力的ですので、百貨店でも、専門店でもこの世代向けの商品
の開発や、販売部隊の設置が相次いでいます。耐久消費財メーカーもこの世代のニー
ズに照準を合わせてくるはずです。再雇用の道があるかないかで、消費余力の格差も
大きいとは思いますが、これまでの女性や団塊ジュニアに握られていた、消費の主導
権が彼らに回ってくることでしょう。

 退職後の段階の世代は、また良い投資家になることができるかもしれません。この
世代の中での勝ち組は、大きな投資余力を持っています。米国で発達した、エンジェ
ルといわれる投資家層は、ベンチャー企業に投資するとともに、経営ノウハウも提供
します。これの日本版です。リスクをとる資金の供給源として、すでに子育てや住宅
取得を終えた退職後の余裕資金はちょうどよいと思われることに加えて、団塊の世代
の培った経験が、未熟な新興企業の必要とする経営ノウハウに上手く当てはまるケー
スがあると思われます。厚みのある個人投資家・エンジェル層を形成する可能性も期
待して良さそうです。

 団塊の世代の社会参加の手段の方法として、NPOを通じた道が議論されていま
す。営利活動だけでは解決しない様々な経済局面、たとえば福祉や環境問題の解決の
ためNPOの可能性が語られることが多いのですが、人材と資金は常に悩みの種で
す。ここに意欲と資金、ノウハウを持った人が大量に参加することの意義は大きいと
おもわれます。彼らの残された資源とエネルギーが、これまで振り返ることの少なか
った、地域社会や政治に回帰していくことがあれば、更にハッピーな人生の展開にな
ることでしょう。

                       生命保険関連会社勤務:杉岡秋美

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 ■ 三ツ谷誠  :三菱UFJ証券 IRコンサルティング室長

「サティスファクションの夜」

 3月22日、肌寒い夜の雨にもかかわらず、東京ドームには明らかに仕事帰りと思
われるサラリーマン達が独特の熱気に包まれて参集していました。1963年生まれ
の私より、少しだけ年齢が高めのゾーンが観客の大半だったでしょうか。午後7時に
予定された開演は、やっぱり1時間遅れましたが、オープニング・ナンバーの「ジャ
ンピング・ジャック・フラッシュ」から、途中「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」
(!)のサービスまであって、ラスト・ナンバーの「サティスファクション」まで、
ローリング・ストーンズはとても高いプロ意識を見せ付けながら、我々の前を文字通
り「駆け抜けて」いきました。

 キース・リチャーズの所作振る舞いには、少しだけ年齢の影が付き纏いましたが、
ミック・ジャガーに関しては、これはもうミック・ジャガーという名前の別の生き物
にしか見えない「カッコ良さ」で、あらためて彼の凄さを認識したものです。

 ロック・ミュージックが10代のものだと思われた時代を経て、ロックは成熟し、
なんべんやっても満足できない、という叫びを62歳になったミックが叫んでも、そ
れに応え「俺たちもそうだ」と叫びあげる40代、50代の聴衆が違和感なく受け留
められる時代が切り拓かれたのです。

 勿論、それを「成熟」というのか、「幼稚化」というのかは、微妙な処でしょう。
しかし、たぶん東京ドームに集まった聴衆は、ストーンズと一緒に、70年代、80
年代、そして90年代をそれぞれの場所で体験し、愛しい者を失う「ワイルド・ホー
シズ」の痛みや、それぞれが絶交の淵で「友を待つ」午後や、寂しくて仕方なく狂お
しいほどおまえを思う(「ミス・ユー」)夜を、やり過ごしてきたのでしょう。だか
ら、そこには10代後半の叫びとはまた別の意味での満足できないという感覚が横た
わっている、同じ科白に幼稚ではない経験が塗り込められている、それが結局は「成
熟」ということなのだと思います。

 厳密に言えばストーンズは「団塊の世代」の少しだけ先輩にあたる年齢のバンドで
しょう。しかし、いまなおストーンズがストーンズであり続け、変わることなく、叫
び続ける世界にあっては、まだまだ本当は何も終わっていないことに「団塊の世代」
自体が気付くべきではないか、と私は思います。

 ウッドストックで世界は変えられると感じた世代が、結局は体制化し、否定しよう
とした資本主義的な生産体制を寧ろ強化拡大する尖兵としてここまで働いて、そして
いま資本主義的生産機構の中枢を成す企業社会からリタイアする年齢になった。しか
し、ストーンズは商業化、産業化されたロックビジネスの世界の中で、しぶとくした
たかに生き続け、勿論、ビジネスに徹しながらも、伝道師としての叫びを喪うことな
く、叫び続けている、世界を変える呪符のようなリフをキースは刻み続けている。そ
れは世界はやはり変えられるということを象徴するものとして、とても重要なことだ
と私は思います。そして、そのような世界を実現したのもまた、或る意味で消費者と
しての「団塊の世代」だったと考えることもできるでしょう。

 随分長く、前書きのような文章が続きましたが、「団塊世代のリタイア」が日本経
済に与える影響を考える上では、今後彼らがどのような人生を選択していくのか、と
いう要素が決定的に重要になる、そしてそれは統計的に読み切れるものではない、と
いうことだと思います。勿論、経済活動の主役を成す企業サイドは、団塊のリタイア
の影響を既に読み込んで計画的な利益計画を作りつつあるでしょうし、政府もマクロ
的な観点からその影響を読み込みつつあるでしょう。家計がどう動くかが不確定要素
になるのかも知れませんが、それもマクロ的な統計の世界では様々なシュミレーショ
ンが繰り返されているでしょう。

 しかし、経済というものが、何かを成したい、満足を得たいという人間の想いから
織り成されるものだと考えれば、まだまだ満足できないんだ、と叫ぶ団塊世代には大
きな可能性があると私は思います。彼等が資本主義的な既存の生産機構ではなく、N
POや或る意味誰でも作れるようになった株式会社や、また別な組合組織の器を活用
し、これまで老人はすべからくそうなると考えられた「隠棲者」になるのではなく、
ウッドストックで見た夢をまだ実現できると考えて世界に踏みとどまるならば、そこ
で創造される「価値」は日本経済を別な回路で活性化させる大きな要素となるのでは
ないか、と思います。

                三菱UFJ証券 IRコンサルティング室長:三ツ谷誠

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■■編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:703への回答ありがとうございました。今中国の杭州の西湖のほとりにいま
す。いくつかの人工湖を巡らせたリゾート地で、その規模の巨大さに驚きました。

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Q:704
 どの業種や職種にも、「成功者」と言われる人がいます。経済誌などでは数多くの
「成功譚」が語られています。成功者は、他人が決して真似のできない部分と、他人
にも参考になる部分を持っているはずです。わたしたちは「成功者」のどういった部
分を学べばいいのでしょうか。カーネギーやフォード、カルロス・ゴーンやビル・ゲ
イツ、本田宗一郎や孫正義など、具体例を挙げていただいてもけっこうです。それで
可能なら、「精神論」ではない回答をお願いできればと思います。

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                                   村上龍

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                   まぐまぐ: 15,221部
                   melma! : 8,677部
                   発行部数:128,653部(05年8月1日現在)

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