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[2006年03月13日付]
東京都中央卸売市場で営業する仲卸業者の経営は、二極化の傾向を一層強めている。市場開設者である東京都がまとめた2004年の経営状況調査によると、青果物を扱う業者の44%が2年連続の営業黒字だった半面、30%が2年連続の赤字となった。経営健全性の目安となる自己資本比率50%を超す業者が2割以上ある一方で、債務超過の業者も依然として3割を超していた。農水省は、改正卸売市場法で仲卸の財務基準を定めたが、増資などの経営改善指導が極めて難しいだけに、代金支払いの根幹となる代払い制度の危うさは今後も続く。
仲卸業者の経営悪化はバブル崩壊以降続いているが、デフレ(持続的な物価の下落)が本格化した1994年前後から一層加速した。同省の調査では中央卸売市場青果部で営業する2000業者の約4割が赤字経営を続けており、年間50社ほどが廃業や倒産に追い込まれている。東京市場は集散機能が強いために全国の2割の業者が集中しているが、小売りの大型化による支払期間の長期化や価格の低迷で経営悪化に陥る業者が最近増えている。
東京都の調査によると、仲卸の04年の経営状況は一部で改善の兆しが見えてきたと言えなくもない。営業赤字や債務超過の割合が減り、借入金比率も減少するなど財務指標のいくつかは確かに好転した。だが、それは経営悪化の業者が廃業や倒産で市場から退いたためで、全体として改善方向にあるとは言い難い。
経営の先行きの不安材料はいくつかある。その一つが、売掛債権回転日数(販売代金回収期間)と買掛債務回転日数(仕入れ代金支払期間)の差が、7.06日から7.59日へと広がったことだ。2000年当時のように8日を超すほどの大きな差ではないが、運転資金を補うために借入金を増やす業者が04年も6割を超した。自転車操業は依然として続いており、資金難に落ち込む可能は常にある。
また、財務面からも見逃せない点がある。農水省が示した財務基準(自己資本比率10%未満、流動比率100%未満、3期連続経常損失)のいずれかに該当する業者が、前年と同様全体の半数に上った。特に、業務改善命令の発動対象となる3基準にあてはまる業者が前年より増え、7%を超した。仲卸の場合、零細で家族的な経営が多いため、増資や統合・合併が極めて難しい。このため、財務の弱体化は廃業につながる可能性が高い。それだけに、経営動向から目が離せない。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0603/13.html