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日経金融新聞
http://www.nikkei.co.jp/ks/
ドイツで株高が続いている。ドイツ株式指数（ＤＡＸ）は今年に入っても上昇を続け、四年半ぶりの六〇〇〇台乗せが視野に入ってきた。株高の背景には好調な企業業績があるが、主要企業が軒並み増配に踏み切っていることも一因になっている。
ＤＡＸを構成する三十社中、これまでに配当の据え置きを決めたのはダイムラークライスラー（一・五ユーロ＝約二百十円）とインフィニオン・テクノロジーズ（無配）の二社だけ。すでに決算発表を終えたか、配当方針を明らかにした会社は現在二十三社あるが、うち二十一社が株主総会に増配の提案することを決めている。最終的には増配企業は九割近くに達する見通しだ。
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主要企業が増配を決めている背景には、好業績があるのは当然だが、もうひとつドイツで急速に進んだ株主構成の変化が見逃せない。かつて主要企業の株主は大手の銀行や大企業が安定株主として保有していたが、日本同様、この株式持ち合いは急速に崩れた。その一方でここ数年顕著になってきたのが、上位株主に投資ファンドや年金基金などの機関投資家が登場し、圧倒的なウエートを占めるようになってきたことだ。
長期保有を前提とした大手銀行は、配当による社外流出よりも、長期的な成長をにらんで内部留保や再投資を企業に求めた。これに対して、投資ファンドなどは短期のリターンを要求する傾向が強い。利回りに直結する配当の積み増し要求は、年々厳しくなっている。
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典型的な例がフランクフルト証券取引所などを運営するドイツ取引所だ。二〇〇〇年の決算時には一株〇・三六ユーロだった配当を毎年増やし、昨年（〇四年決算）は〇・七ユーロの配当を実施した。それが今年（〇五年決算）は何と一気に三倍の二・一ユーロへと大幅な増配を余儀なくされた。
実はドイツ取引所の株主構成はこの五年で激変している。〇一年末時点で株式の五一％は銀行などの当初出資者が持っていた。機関投資家の割合は四七％に過ぎなかったが、翌年末には七六％、〇三年末には九三％、昨年末には九七％に達した。
しかも〇一年には六八％がドイツ国内の株主の保有だったが、現在は一〇％まで減った。四二％が英国、二七％が米国と過半数を英米の投資家が持つようになった。「投資ファンドと保険会社などの機関投資家をしゅん別するのは難しい」（ドイツ取引所幹部）という理由で、分類はしていないが、かなりの割合を投資ファンドが持っているとみられる。
昨年、ロンドン証券取引所の買収に動いたドイツ取引所は、筆頭株主に登場した投資ファンドなどの猛反対に遭った。これで買収を断念したばかりか、買収戦略を進めたザイフェルトＣＥＯ（最高経営責任者）は任期途中の辞任に追い込まれた。「買収に回す内部留保があるなら増配せよ」というのが大株主の要求で、それを受け入れたわけだ。加えて三百九十万株の自社株消却も決めている。
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このほか、大幅な増配は金融機関に目立つ。同様にここ数年で持ち合いが消え、投資ファンドなどの株式保有が増えた。銀行最大手のドイツ銀行が一・七ユーロから二・五ユーロ、保険最大手アリアンツが一・七五ユーロから二・〇ユーロ、再保険最大手のミュンヘン再保険が二・〇ユーロから三・一ユーロへといったところだ。
短期の利益動向を重視するファンドなどの株主が増えたことで、ドイツでも四半期決算の公表が一般化した。配当の積み増し要求も一段と強まりそうだ。株主構成の変化は、ますます経営者を短期志向に駆り立てるようにみえる。
（フランクフルト
＝磯山友幸）
【表】ドイツの主要企業の配当推移（単位ユーロ、年は対象決算期）
社名（業種） ２００１ ２００２ ２００３ ２００４ ２００５
ドイツ取引所（取引所） ０．３６ ０．４４ ０．５５ ０．７ ２．１
ドイツ銀行（銀行） １．３ １．３ １．５ １．７ ２．５
アリアンツ（保険） １．３５７ １．５ １．５ １．７５ ２．０
ミュンヘン再保険（再保険） １．１８９ １．１８９ １．２５ ２．０ ３．１
ＲＷＥ（エネルギー） １．０ １．１ １．２５ １．５０ １．７５
シーメンス（重電） １．０ １．０ １．１ １．２５ １．３５
マン（商用車） ０．６ ０．６ ０．７５ １．０５ １．３５
リンデ（機械） １．１３ １．１３ １．１３ １．２５ １．４０
ＢＡＳＦ（化学） １．３ １．４ １．４ １．７ ２．０
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。