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http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200603020011a.nwc
全人代「第11次五カ年計画」採択へ 発展バランス重視
2006/3/2 TrackBack( 0 )
■実務型成長に転換
中国は五日から始まる全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で二〇一〇年まで五年間にわたる経済政策の基本方針を定めた「第十一次五カ年計画」を採択する。審議される草案では都市部と農村部の発展バランスを初めて重視するなど、新たな経済成長パターンへの政策転換を図るのが特徴だ。政務の透明性など政治改革を伴う施策も盛り込まれ、理念的だった経済計画が実務型にシフトする可能性がある。(河崎真澄)
五年前に規定された第十次五カ年計画の期間中には(1)GDP(国内総生産)十五兆元突破(2)年平均8・8%の経済成長達成(3)世界貿易機関(WTO)加盟による経済の国際化−など十項目にわたる業績をあげた。この期間中に中国には累計二千七百億米ドルの外国直接投資があり、中国は世界経済の成長に不可欠の存在と認められた格好だ。
≪脱「先富論」≫
一方で、都市部と農村部の貧富の格差の拡大が情勢不安を招き、投資過熱や不良債権問題などが経済混乱を引き起こすリスクを、中国政府自ら意識するようになった。このため第十一次五カ年計画の草案では、成長が可能な沿岸部から先に発展する「先富論」から脱却し、持続的な経済成長の軌道に乗せる制度面での充実が課題になった。
審議される草案に「六大重点」項目が示されている。まず第一に「経済成長パターンの転換」として、都市と農村や国内発展と対外開放など五項目でバランスのとれた政策や、行政管理体制の改革推進などをめざす。第二に「産業構造の調整と最適化」でサービス産業の発展やインフラ建設の強化。第三に「農業問題の解決」として、農地請負権の流動性など農業の多様化と近代経営へのシフトを盛り込んで、農民の収入アップを狙う。
また第四に「健全な都市化推進」のため、税制や行政管理、公共サービス制度を充実する。第五に「地域間の協調的発展の促進」として、内陸部の開発政策の継続や社会的弱者が多い地域の経済発展を支援。そして第六に「調和の取れた社会建設強化」では就業機会の拡大や社会的な保険制度の充実に加え、〇八年の北京五輪と一〇年の上海万博の成功も上げた。
≪制度の欠陥把握≫
この草案について、みずほ総合研究所の伊藤信悟主任研究員は、「中国当局が自らの制度的欠陥をしっかり把握していることを示している」と評価する一方、「利害関係の調整や公平な制度の構築と運用がどこまでできるか、政治プロセスに課題が残される」とみている。
なかでも中国共産党の幹部や長老につながる既得権益をもつ抵抗勢力をどう打破するか。波乱要因も残されている。
また草案には「法制改革と行政意思決定メカニズムの構築」「政務の透明性向上と国民の知る権利や民主化の促進」「司法改革」といった“法治国家”に駒を進めるための基礎固めが色濃く盛られている。この中で中国政府が警戒を緩めていない報道や言論の自由にも結びつく「知る権利」を入れたことは異例だ。
政治改革の実践が新五カ年計画期間中にどこまで進み、中国の経済発展にどのような影響を与えるのか、注目される。
◇
【草案の6大重点】
(1)経済成長パターンの転換
(2)産業構造の調整と最適化
(3)農業問題の解決
(4)健全な都市化の推進
(5)地域間の協調的発展の促進
(6)調和の取れた社会の建設強化
(みずほ総研資料から作成)