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http://mbs.jp/voice/【VOICE】
http://mbs.jp/voice/special/200602/22_2137.shtml
財政危機が叫ばれる中、年間205兆円もの特別会計予算のずさんな使い方が問題となっている。
私たちが失業した時に備えて納めている“雇用保険料”もその一つ。
失業対策とは直接関係のない事業につぎ込まれる巨額の保険料、その先には、感覚をマヒさせた天下り官僚たちの姿が浮かび上がる。
貧富の差がますます広がる、格差社会。
有効求人倍率は1を超え、数字の上では改善したとされる雇用だが、現実には中高年を中心に厳しい状況が続いている。
「全然ダメ」
「何十回と紹介してもらって面接行ってるんですけどね…」
失業した時のため、私たち国民が負担しているのが“雇用保険”。
しかし、その保険料は失業対策とは直接関係のないものにも使われている。
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京都府精華町にある「私のしごと館」。
8万3,000平方メートルの広大な敷地に3年前、建設された。
総事業費は、実に581億円。
札幌ドーム(約540億円)をも上回る事業費だが、すべて私たちの“雇用保険料”でまかなわれた。
中に入ってみると…
「これはシュミレーター?」
「電車の関係です。いろいろ指示が入ってきますので、その指示に従って運行する」
「『電車でGO』みたいなもんですね?」
「『電車でGO』というのは、それはちょっと…」
電車運転シュミレーターに、テレビスタジオでニュースキャスター体験。
そして、消防士体験。
子どもたちに様々な職業を擬似体験してもらい、職業意識を高めてもらうというもの。
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ところが、費用の割りに目的と効果が見えにくい展示物も少なくない。
「旅行代理店の関係で、で実際の旅行代理店の仕事を理解していただこうと」
海外旅行のパンフレットに、壁には売り上げ目標。
旅行代理店の事務室を再現したというが、この張りぼてのような展示に9,000万円もかかっているという。
「これは旅行代理店の事務室じゃないですか。これで果たして旅行代理店の仕事がわかるのか」
「それはあると思います。ですから、そういうところは“映像情報”で補うしかない」
結局、ビデオを見ろということか。
「これは宇宙船の関係でございまして、交信してロボットアームで物をつかむと…」
宇宙開発の仕事。ロボットアームの操作を体験するという。
そして、「宇宙船」。
制作費は、なんと5億8,000万円。
展示制作費の実態は、今回の取材で初めて明らかになった。
TVスタジオ体験コーナーの費用は、2億7,800万円。
消防士コーナーの制作には、2億8,900万円かかっていた。
もちろん、財源は私たちの“雇用保険料”だ。
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極めつけは、この「歴史・未来ゾーン」。
時代の変遷とともに、仕事がどう変わってきたかを紹介するゾーンだが…
「電卓を持っていますが、セールスマンの人形だそうです」
展示されているのは「人形」。
銀行員に、客室乗務員。メガネの男はコンピュータープログラマーだという。
「これはデザイナー?人形が置いてあるだけで、デザイナーの仕事はわからないですよね?人形そのものに何の意味があるのか?」
「どこの博物館行っても、それぞれ意味ありますかと言っても、それぞれは意味はなくてもですね、仕事というのは『ああ、こういうものだな。こんな仕事もあるんだな』ということを理解していただくようなものとして、並べたんだと思います」
人形(大)は、79体で2億,8000万円。
1体あたり356万円の計算だ。小さい人形は、1体260万円。
(Q.この施設が失業者を出さないための施設か?)
「ここを訪れることで、仕事に対する理解を深めることができれば、(失業も)ずいぶん変わってくる話」
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しかし、「私のしごと館」は入場料などの収入が、年間1億1,000億円なのに対し、支出は20億8,000万円。
19億7,000万円もの赤字は、“雇用保険料”で補てんされている。
(Q.20億の赤字だが?)
「我々は、かなり公的な施設、教育的施設と思っています。決して、我が館が無駄遣いしてることにはならない」
とは言え、常勤職員27人の人件費は、およそ2億5,000万円。
1人あたりの年収は、915万円という厚遇ぶりだ。
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なぜ、このような金の遣い方ができるのか。
旧労働省所管の特殊法人の元職員で、ジャーナリストの若林亜紀さんは言う。
「そもそも、厚労省の官僚は雇用保険収入のことを“自前収入”と呼んでいる。預かったものと言うより、自分たちが考えた“うまい仕組み”。それをどう使おうと、自分たちの勝手だと」
厚生労働省は、雇用保険料として、年間およそ2兆5,000億円を集めている。
ところが、このうち5,000億円余りは失業者への給付とは別で、官僚たちがその使い道を自由に決められる仕組みになっていたのだ。
これを「雇用三事業分」という。
その結果、“勤労者の福祉施設”だとして「スパウザ小田原」などのリゾート施設が建設され、赤字を垂れ流した挙句に、二束三文で自治体などにたたき売られた。
455億円を費やした「スパウザ」は、8億円で売却。
兵庫県加古川市のプールに至っては、なんと1万円だ。
雇用保険料では、こうした箱モノが4,500億円分建設されたが、回収できたのはわずか122億円に過ぎない。
「保険料が無駄という発想は全くありません。お金を使い切れてよかったという発想しかありません」
内閣府の規制改革推進会議の委員を務める福井教授も、こう批判する。
「年間の保険料収入が一定程度、恒常的に見込まれる。そうすると、それであがった保険料をとにかく使ってしまう。組織が増える、予算が増える、自分たちの再雇用の心配もない、高給も取れる」
事実、雇用保険から補助金を受けている公益法人などには、厚生労働省からのべ161人が天下りしている
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「私のしごと館」も例外ではない。
先ほどの事務局長も、厚生労働省の元官僚だ。
「公務員がみんな責任者なのか。それとも政治家が責任者なのか。ここを作れ作れと言った自治体の首長が責任者なのか。誰が責任者なんでしょうか」
副館長には旧労働省の元官房審議官で、これまで3度の天下りで、1億円以上の報酬を得ている人物が就任している。
「しごと館」の建設にも深く関与したとされ、直接話を聞いてみた。
(Q.「私のしごと館」の運営状況をどう考えているのか?)
「一生懸命やってます」
(Q.年間20億の赤字だが?)
「予算のことは本部に聞いてください」
(Q.「雇用・能力開発機構」に再々就職されているのは、どうしてなんでしょうか?)
「……」
コメントは得られなかった。
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雇用保険料は官僚組織にとって、“打出の小槌(こづち)”なのか。
失業対策とは関係のない事業が続けられていく。