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[2006年02月22日付]
東京穀物商品取引所と関西商品取引所から米の先物取引試験上場の申請が出ている問題で、農水省は3月29日〜4月28日の間に認可・不認可の判断を下すことにしている。商品取引所法の基準は1.十分な取引量が見込まれない 2.生産および流通に著しく支障を及ぼし、または及ぼすおそれがある――に該当しない場合は認可することになっている。米の先物取引上場は、以下の理由から「生産・流通に重大な支障を及ぼす」ことは明確で、仮にも申請を認可するようなことがあってはならないと考える。主要な論点は3つある。
第1の問題は、生産現場に無用な混乱をもたらす。米の先物取引上場を「最後の大型商品」として市場活性化に活用しようとしている両取引所の思惑は別にして、その狙いは市場原理に基づく価格変動のリスクヘッジ(危険回避)と、市場シグナルによる作付け誘導にある。しかし、現実には米は潜在的に過剰で転作率は4割に上り、全国で110万ヘクタール規模の減反が行われている。先物市場での投機資金による相場形成は、生産調整の推進を大きな混乱に陥れかねない。
同時に、2007年度に導入する品目横断的経営安定対策にあわせた米政策改革の検証、構造改革の途上にある。生産者が主体的に水田農業ビジョンを作成、担い手に農地を集積、需要にあった計画生産を進め、「米づくりのあるべき姿」を実現することになっている。価格変動を前提にした投機目的の先物取引は、生産調整参加者への所得補てん、過剰米処理など需給安定を図る現行制度の目的と矛盾し、整合性を保てない。
第2の問題は、現物市場があまりにも未成熟なことである。農水省は2月に、先物取引導入に先立つ判断の必要が背景にあって「コメ価格センターの取引のあり方に関する検討会」を立ち上げた。同センターは昨年から義務上場制を復活するなど、先物とは対照的な規制強化に批判が出された。現物市場は朝令暮改の改革を繰り返すのではなく、透明性・公平性ある取引ルールを確立しない限り、先物市場との両立はできない。
第3の問題は、政府米の扱いである。政府米は回転備蓄を基本としており、買い入れと同量が売り渡される。しかも03年の不作時のように、価格対策として売り浴びせもする。先物取引では作柄はもとより、政府米管理のあり方が思惑を呼び、情報格差となり相場形成を混乱させる。政府の市場介入ルールすらない中での先物は考えられない。
ほかに、国境措置、輸入米の扱いなど米市場改革の課題は山積している。生産者が意欲に燃えて売れる米づくりにいそしめ、主食の米を消費者が安定した価格で安心して購入できる生産・流通システムの確立こそが先決課題である。両取引所からの申請は断じて認めてはならない。
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0602/22.html