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商法改正への提言 2000年10月17日 【 日本経団連】
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/352.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 2 月 18 日 04:41:12: ogcGl0q1DMbpk
 

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商法改正への提言
2000年10月17日
(社)経済団体連合会

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2000/050/honbun.html
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はじめに

経済のグローバル化やIT革命の進展、産業構造の転換、資本市場の拡大などわが国経済環境は変革の大きなうねりの中にある。こうした経済社会の変化に対応して、企業活動を支えるインフラたる商法は、わが国産業の国際競争力の向上のために、機動的に再編、整備されることが必要である。欧州各国では、既に自国の競争力強化に向けた商法の改正が進められており、諸外国の動向を参考にしつつ、わが国も早急に企業関連法制の改正に着手し、世界をリードするスタンダードづくりに繋げることが強く求められる。
本年9月、法制審議会商法部会は、企業統治の実効性の確保、高度情報化社会への対応、資金調達手段の改善、企業活動の国際化への対応、商法典の現代語化という視点から、商法、特に会社法制の大幅な見直しを行い、2002年の通常国会への法案の提出を目途に検討を行うとの方針を決定した。内外の環境の激変に対応して、緊急課題については立法作業の前倒しによる政策の実現を求めたい。また、国民の声を広く取り入れようという最近の法制審議会の改革の動きは歓迎すべきものであるが、新しい時代にふさわしい立法体制の整備が必要であり、これらについては別途の機会に提案したい。

商法改正の基本目標

商法改正にあたっては、以下の5つを基本目標に据えるべきである。

強行法規性の緩和と市場重視の法整備−企業の国際競争力の確保
企業の創意工夫を活かし、競争力を確保する観点から、商法改正は、「強行法規性の緩和」と「市場重視」を理念として進められるべきである。この改正の方向は世界的な潮流であり、これと整合性を図りつつ、むしろ世界のスタンダードをリードするよう、再編、整備を進めるべきである。具体的には、強行法規性の緩和を推し進めるとともに、市場重視の観点から、近年の資本市場の自由化に適合した(公開)会社法制を構築することが必要である。

事業・組織の再編に資する法整備

わが国企業の競争力強化のためには、事業再編や産業構造の転換を円滑に進めうる環境整備が必要である。近年、整備が進んだ一連の企業組織再編法制の実効性を上げるためには、例えばストック・オプション制度の改善などの周辺法制の見直しが必要である。

資金調達手段の多様化、効率化

企業が成長を遂げていくためには、インフラとしての商法を自由化、多様化の進む資本市場の動向に適合させ、市場の発展を促す方向で整備・拡充することが不可欠である。現在、CP、社債、株券などの直接金融手段のペーパーレス化や有価証券の受渡・決済システムの合理化・効率化、自己株式に関わる規制緩和、その他新たな資金調達手段の容認などが議論されている。特に、CPのペーパーレス化については、発行、流通、償還の全段階における完全な電子化を出来るだけ早く実現するべきである。

ベンチャー・ビジネスの育成

わが国がさらなる飛躍を遂げるためには、次代を担うベンチャー・ビジネスを育成する環境整備が必要である。ベンチャー企業の育成に向けて、起業家がアイデアさえあればリスクを冒すことを厭わずに新事業に挑戦出来る仕組みづくりが必要である。

IT活用の推進

経済・社会の効率化を図る上でITの活用は不可欠の課題である。政府は「IT革命を本格的に推進するために必要な法律案の策定作業を急ぐ」としているが、特に商法においては、書面の電子化を進めることが急務である。社会のIT化の進展を待ってから法制上の対応を図るのではなく、企業や個人がIT化を率先して進めたり、受け入れたりできる環境整備の一環として法整備を位置づけ、IT化推進の牽引車としての役割を果たすべきである。

以上の目標を実現する観点から、今回、法制審議会が取り上げた具体的な検討事項を見ると、経済界の多くの主張が取り上げられている一方で、欠落しているものも見受けられる。そこで、経団連として、早期に成立を求める事項、2年間で確実に実行すべき事項を以下の通り列挙した。
なお、コーポレート・ガバナンスに関する商法改正については、監査役制度の強化と代表訴訟制度の合理化((1)定款等による取締役の責任の軽減、(2)会社による被告取締役への訴訟支援や補助参加、(3)原告適格の見直し〔行為時株主の原則〕)に向けて、与野党の関係議員により議員立法が検討されてきたところであり、既に改正案要綱が策定され、来年の通常国会での成立に向けた努力が続けられている。経済界としても早期かつ確実な立法のため、強くこれを支持、推進していきたい。

早期に成立を求める事項

早期成立が求められる項目は次の5つである。これらについては、商法の抜本改正の中でも比較的、切り離して実現可能な項目ではないかと考えられ、特に(1)〜(3)は、近年の企業再編法制の効果を高めるなどの観点から緊急性があると考えられる。
なお、先の通常国会で成立した会社分割法制については、1日も早い施行が求められる。少なくとも来年4月の新年度当初から活用出来るよう、停止条件付で手続が行えるよう柔軟な運用をすることが必要である。

(1) ストック・オプション制度の整備

ストック・オプション制度は取締役や従業員の利益と株主の利益を一致させ、株主重視の経営、業績向上へのインセンティブとして有効な制度である。今後のグループ経営の進展を踏まえ、ストック・オプション制度をより活用しやすい制度にするために、次の改善が求められる。

子会社・関連会社の役員・使用人に付与出来るようにすべきである。
現行法はストック・オプション付与対象者全員の名前について株主総会の招集通知で知らせ、承認することを求めているが、これを簡素化し、対象となる者の数や内訳を示すことで足るとすべきである。
株主総会の特別決議が必要とされている新株引受権方式については、適正な権利行使価額を設定することから有利発行とは言えず、自己株式方式同様、普通決議とすべきである。
ストック・オプションの付与が人材確保に決定的な意味を持つベンチャー企業は、発行株式数が少ない。そこで、発行済株式総数の10分の1という付与上限を撤廃すべきである。

(2) 株式分割の際の純資産額規制の撤廃

現行制度においては、株式分割の際の一株あたりの純資産額は5万円以上とされている。しかし、純資産額の小さい急成長企業は、株価が高止まりした場合、株式分割により株式の流動性を高める必要があり、株式分割の際の一株あたりの純資産額規制、とりわけ無額面株式についての純資産額規制を撤廃すべきである。また、大幅な株式分割時の障害となる授権資本枠規制を緩和すべきである。

(3) 検査役の調査の見直し

現物出資、事後設立、財産引受の場合、検査役の調査が必要となるが、それにかかる期間が不明確であり、またその間、設立中の会社は不安定な状況におかれざるを得ない。裁判所の選任する検査役に代わって会社の取締役または発起人が選任する弁護士、公認会計士等が財産の調査を行い、それを検査役の調査に代えることができる仕組みを導入すべきである。また、産業活力再生特別措置法における措置にならい、新たに設立される会社が出資を受け、または譲り受ける全ての財産の時価の合計額が、簿価以上であることを証明すれば財産の調査を不要とすべきである。

(4) CPの電子登録方式による完全ペーパーレス化

企業は、機動的に資金調達をしていかねばならない。コマーシャル・ペーパー(CP)は、短期資金調達の有効な手段であるが、券面の発行・管理・運搬などを伴うためにコストがかかり、リスクも増すという問題点がある。機動的な発行の利点を活かしながら、CPの発行・流通・償還の全段階における完全なペーパーレス化を電子登録方式によって実現すべきである。

(5) IT時代にふさわしい商法の再編

IT革命に対応するためには、商法改正によってIT法制の積極的導入を促すことが必要である。
例えば、外国人株主などの議決権行使を容易にし、また株主総会に係る事務手続コストを削減するために、電子メールによる招集通知の発送、議決権行使を認めるべきである。具体的には、(1)招集通知、添付書類の書面要件の緩和、(2)株主名簿記載の電子メールアドレスへの発信により通知の到達とみなす規定の整備、(3)押印要件の撤廃等の措置が講じられるべきである。
また、24時間、世界中どこからでもアクセスが可能で、今や「官報」よりも簡易な手段ともいえる電子媒体による公告を認めることにより、利用者の事務コスト、時間コストを軽減すべきである。

確実に実現すべき具体的事項

強行法規性の緩和と市場重視の法整備

国際的な企業間競争のただ中にある企業においては、積極的に組織再編を進めるなど、大胆な意思決定を迅速に行いつつ、加速化する市場の動きに対応し、内外の投資家から評価が得られるような仕組みづくりが必要となっている。そこで、迅速で柔軟な経営を行いうる改正を実行すべきである。

(1) 株主総会の定足数の見直し等

外国人株主の増加など株主構成の変化により、株主総会の定足数(特に特別決議に必要な発行済株式総数の過半数)を満たすことの困難な会社が増えている。特に合併・会社分割などの組織再編では迅速な意思決定が求められるため、株主総会の定足数確保がこの障害となることがあってはならない。
そこで、特別決議の定足数については、例えば取締役の選任決議同様、定款で発行済株式総数の3分の1まで切り下げる等の措置を考えるべきである。
また、招集通知の発送を早期に実施出来るよう、株主提案権の期限を現行の6週間前から8週間前まで繰り上げるべきである。

(2) 株主総会決議事項の取締役会への委譲

迅速な意思決定に資するため、株主総会の決議事項はできるだけ簡素化し、取締役の選任など重要事項以外については、取締役会に権限を委譲すべきである(取締役・監査役の報酬決定、退職慰労金の決定、利益処分案の承認等)。

(3) 資本準備金による自己株式消却の特例の恒久化と未公開株式への拡大

1998年3月に議員立法で導入された、資本準備金による自己株式消却の特例は、株主価値の実現と資本コストの効率化に重要な役割を果たしている。例えば、98年度には全自己株式消却の24%、また、99年度には27%が資本準備金を財源とするものであり、その実績が評価され2年間の延長が定められた(2002年3月末まで)。また、その折の国会附帯決議で、今後2年を目途に社会情勢の変化に対応できるものとなるよう具体策を検討するとされた。この際、本特例の恒久化を求める。
併せて、未公開株式についても、資本準備金による自己株式消却を認めるべきである。

(4) 商法開示と証券取引法開示の調整

現在、市場重視の観点から、公開会社における会社機関のあり方が検討されている。こうした取り組みを進める一方、開示のあり方についても検討を行う必要がある。公開会社においては、証券取引法上開示が求められている連結財務諸表が、財政状態、経営成績の把握において中心的地位を占める。しかしながら商法の計算書類等は、個別財務諸表によっており、経営の実態を反映していない。連結中心主義での会計に相応しい形で、商法開示と証券取引法開示との調整を図るべきである。

事業・組織の再編に資する法整備

(1) 有限責任事業組合(仮称:LLC・LLP)制度の導入

米国では、州法によるLLC(Limited Liability Company)、LLP(Limited Liability Partnership)といった事業形態が認められている。これは、匿名組合のように、設立された事業体の段階では所得課税を行わず、その損益を出資者の損益と通算する税制の導管としての利点を持つ。また、全ての出資者を有限責任とし、事業体が自身として財産の所有、業務執行を行う有限責任会社の利点を併せ持つ。複数の企業が共同して、リスクの高い新規事業に進出するため、あるいは事業の再構築を進めるための手段として有効である。同様の仕組みをわが国にも導入すべきである。

(2) 自己株式の取得・保有(金庫株)の容認

将来の環境変化に備えるなど経営の選択肢を拡大するため、目的を限定しない自己株式の取得と保有(いわゆる金庫株)を容認すべきである。少なくとも、TOB、合併、株式交換・株式移転、会社分割等の組織再編に際して、副次的に親会社の株式を保有することとなった子会社について、相当な時期に親会社株式の処分を求めるような規制は撤廃すべきである。

(3) ストック・オプション制度の整備(III-(1)参照)

(4) 株式の強制買取制度およびキャッシュアウト・マージャーの導入

完全子会社を設立する上で、全ての株主に対して同一条件で株式買付することを条件として、株式買付に反対する少数株主の有する株式を現金等で強制的に買い取ることを許容する強制株式買取制度を創設することが求められる。
また、組織再編を柔軟、円滑に進めるためには、合併等により消滅する法人の株主に対して、当該消滅法人の株式の対価として、合併等により存続する法人または新設される法人の株式に代えて、あるいはそれに加えて合併比率の調整に必要な限度を超えて現金等を交付する形態の合併(キャッシュアウト・マージャー)を許容すべきである。

(5) 種類株式の多様化、弾力化

  ─ トラッキング・ストックと議決権行使に関わる種類株式の創設
経営の選択肢を増やしたり、柔軟な事業編成を可能にしたりするためには、設計自由度の高い株式を発行出来るようにすべきである。
まず、有望な事業部門や完全子会社に対する市場評価の高さを活かし、資金調達を行うことができる、いわゆるトラッキング・ストックを導入すべきである。そのためには、配当、議決権、償還・転換などについて、自由に設計できるような法整備をすべきである。
また、ベンチャー企業を支援するベンチャー・キャピタルが、投資先企業に取締役を派遣したり、会社の経営に重要な影響がある案件について事前承諾権や拒否権を取得したりすることが可能となるよう、議決権行使に関わる種類株式を創設すべきである。

(6) 検査役の調査の見直し(III-(3)参照)

(7) 定款記載目的の柔軟化

株式会社の定款の絶対的記載事項とされている会社の目的については、具体的な記載が求められるが、機動的に事業を行う上での障害となっており、柔軟な運用を行うべきである。

資金調達手段の多様化、効率化

(1) CPの電子登録方式による完全ペーパーレス化(III-(4)参照)

(2) 種類株式の多様化、弾力化(IV-2-(5)参照)

ベンチャー・ビジネスの育成

企業が有する人材、技術、資本等を新たな事業機会の獲得に結び付け、社内活性化と自己改革を促すコーポレート・ベンチャーを推進し、あるいは新たな起業や事業再編を支援する仕組みとして下記の措置を手当てすべきである。

(1) ストック・オプション制度の整備(III-(1)参照)

(2) 株式分割の際の純資産額規制の撤廃(III-(2)参照)

(3) 種類株式の多様化、弾力化(IV-2-(5)参照)

(4) 有限責任事業組合(仮称:LLC・LLP)制度の導入(IV-2-(1)参照)

IT活用の推進

ITを活用した経営の効率化に向けて、株主総会や公告の電子化を進めることが求められる。こうした施策の実現は、IT活用のメリットを、株主、投資家が実感をもって享受することが出来、政府の提唱する「日本型IT社会」の実現を促進する効果が期待できる。(III-(5)参照)

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2000/050/honbun.html

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