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格差広がる雇用環境/短期的な対策が不可欠
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景況感と並び雇用環境も地域間格差が拡大している。先に厚生労働省が発表した2005年12月の国内の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.01ポイント上昇の1.00倍となり、13年3カ月ぶりに1倍を回復したが、東北は0.71倍どまり。企業の「勝ち組」「負け組」と同様に二極分化傾向が強まっている。
東北の雇用改善の鈍さは、(1)景気回復をけん引している製造業の基盤が弱い(2)公共事業への依存性が強い建設業などの構造転換が遅れている(3)地方都市の空洞化などでサービス産業の受け皿が縮小している―などが要因として挙げられる。
地域別にみると、好調な自動車産業の恩恵を受ける東海(1.43倍)の半分の水準にとどまり、1年前と比較すると、国内全体が0.1ポイント改善しているのに対し、東北は半分の0.05ポイント。さまざまな比較データが東北の遅れを裏付けている。
政府は青森、秋田など回復が遅れている7道県を対象に臨時的な雇用対策を取ることを明言したが、悪循環のどこにメスを入れて、転換を図ろうというのか、現時点ではまったく不透明なままだ。
47都道府県で、昨年10月まで連続40カ月最下位だった青森県(12月は46位の0.44倍)。日銀青森支店は昨年、2つの異例のリポートを公表した。一つは「青森県内の雇用・所得環境の現状と今後の課題」と題する報告書で、もう一つは「青森県農業の現状と課題」だ。
「雇用・所得環境」では、抜本的対策として、製造業の蓄積や観光・情報技術(IT)分野の振興による雇用の受け皿づくりを訴えつつも、厳しい現状を回避するために「県内でフリーターやニート化するよりも、県外で就職し、専門性や技術力を身に付ける方が有利」と提言。即戦力の人材に育てばUターンの道も広がるという考え方だ。
「農業」では、アグリビジネス化を推進する上で、公共事業削減にあえぐ建設業者に農業参入を促す「建設帰農」を打ち出した。いずれも雇用改善の点で即効性のある戦略と言える。
青森労働局が初めて公表した正社員のみの有効求人倍率(12月)は0.25倍という低水準だった。仕方なく非正社員として働くケースも目立ち、雇用のミスマッチが深刻化している。このままの現状に甘んじれば、人口が他地域に流出するだけ。雇用改善を軌道に乗せるためには長期的ビジョンと短期的ビジョンを組み合わせる戦略を講じなければならないだろう。
今後の雇用環境をめぐっては、07年から始まる団塊の世代の定年退職などで求人が飛躍的に増すなどという楽観論もある。だが、これは都市部の競争力のある企業において成り立つシナリオであり、地方の体力のない中小企業にどれだけ波及するかは疑問だ。企業間競争と産業構造の変化が激しい中で、成長性のある企業を地域にどれだけ育てられるか。まさに東北は「勝ち」「負け」の岐路に立たされている。
2006年02月10日金曜日
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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2006/02/20060211s01.htm