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(財)自治体国際化協会 CLAIR REPORT NUMBER 059 (JAN.20,1993)
はじめに
第1章 州の全面的財政金融援助による財政再建
−ニューヨーク市の場合−
第2章 州破産管財人による財政再建
−マサチューセッツ州チェルシー市の場合−
第3章 連邦破産制度による財政再建
−ネブラスカ州宅地開発整備特別区の場合−
第4章 連邦破産制度による財政再建策を模索されたケース
−コネティカット州ブリッジポート市の場合−
おわりに
財団法人 自治体国際化協会
(ニューヨーク事務所)
目 次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第1章 州の全面的財政金融援助による財政再建・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
−ニューヨーク市の場合−
第2章 州破産管財人による財政再建・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
−マサチューセッツ州チェルシー市の場合−
第3章 連邦破産制度による財政再建・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
−ネブラスカ州宅地開発整備特別区の場合−
第4章 連邦破産制度による財政再建策を模索されたケース・・・・・・・・・・・・・
−コネティカット州ブリッジポート市の場合−
おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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はじめに
ここ数年間、全米各地で地方政府(市町村、学校区、特別区等)の財政危機が深刻化している。経済不況の長期化による税収減に加え、連邦や州からの補助金の大幅な削減、福祉、警察等の行政需要の増大、財源配分なしに連邦や州から委任される委任事務の増加、固定資産税を中心とした市町村税構造への不動産不況の影響等、地方政府が頭を悩ませる問題は多い。こうした問題は、1991年の春から夏にかけて一気に表面化することとなった。ニューヨーク市は1975年以来の深刻な財政危機を迎え、一時は州の財政統制委員会の復活や破産の可能性まで囁かれた。コネティカット州では新会計年度に入っても予算が採択されず、一時的に州庁舎を閉鎖するなどの異例の措置がとられ、財政状態の深刻さを強く一般に印象づけた。そのコネティカット州にあるブリッジポート市では同年6月、人口規模14万人という中規模の普通地方公共団体としては始めて連邦破産裁判所に破産を申請し、これは全米はもちろんのこと、日本の一部マスコミによっても報道され、大きな話題を呼んだ。また、マサチューセッツ州のチェルシー市は市長が解任され、市政が州の任命による破産管財人のもとに置かれるなど、実質的に地方自治を失い州の管理下に入った。
日本人がうける「破産」というイメージは、会社更生による再建ではなく、破産管財人のもとでの財産の精算、団体の解散といった事柄であろうが、米国の連邦制度としての地方政府の破産とは、日本で考える破産とは内容を異にし、一種の会社更生、財政再建であり、ましてや地方政府の解散を意味するものではなく、また、適用団体のほとんどは特別地方公共団体である。米国において地方政府の破産と言った場合、州の関与によるものと連邦の関与によるものとの2種類に大別でき、連邦関与の破産申請は過去11年間に69であり、州関与の破産は統計がなく確認できないが、ここ数年で少なくとも2例が存在する。
このクレア・レポートでは米国の地方政府の破産による財政再建を、州の関与による場合、連邦の関与による場合の二種類に大別して、その実体と問題点について考察する。
なお、文中に使用した「破産」には、連邦破産制度によるもののみを意味する「狭義の破産(Municipal Bankruptcy)」と、州の破産管財人制度をも含んだ「広義の破産」との2種類があるが、ここでは、狭義の破産を意味する場合でかつ広義の破産との混同が予想される場合に限り、「連邦破産制度による破産」という言葉を使用し、混同を避けた。
また、文中の「地方政府」は市町村、学校区、その他の特別区等を意味しており、州の代理として州の仕事を行うカウンティ政府は含んでいない。
なお、連邦破産制度に関しては、ネブラスカ連邦破産裁判所裁判官から数多くの助言と協力を得た。
http://www.clair.or.jp/j/forum/c_report/html/cr059/